2021/07/16 08:00
「酷寒の中の光」
5月、沖縄はすでに若夏。飛行機を乗り継いて朱鞠内へ。空知から雨竜川に沿う道中の雪景色が夢のように美しかった。光顕寺には、僧侶の殿平善彦さんが案内してくださった。沖縄で雪の重みでお寺が傾いたこと、そしてそこに毎年、東アジアの若者が集い交流してきたことなどを伺ったとき、どうしても朱鞠内に行かねばと思いがつのっていた。雪下ろしで、これまで何人も骨折したという。そのような酷寒の中、ダムを掘った人々を想う。
犠牲になった人々の遺骨や位牌は、隣の庫裏に移されていて、殿平さんはその一つ一つを抱きかかえるように語りかけていた。沖縄戦で亡くなった朝鮮や台湾、中国の人々の遺骨は、まだ地中や海底に埋もれたままである。早く故郷におかえししたい。せめて真実を掘り起こし、後世に伝えたい。
北と南の島々は歴史的に多くの共通点をもつ。「笹の墓標展示館」そこに集う若者たち・人々との出会いは、東アジアの平和への希望と光である。
NPO法人 沖縄恨之碑の会代表
安里英子