タンザニアの子ども達の生活について、タンザニアでTOFAの現地パートナーを務めるポール氏にお話を伺っています。
パート1では子どもたちの1日の過ごし方、パート2では子どもたちにとって学校とはどんな場所かを中心に伺いました。今回は、パート3となります。
*********************************************
Q.子どもたちが置かれている現在の状況で、何か心配事はありますか?
たとえば、男の子と女の子は平等に扱われていますか?
A.その問題は私たちの日常生活の一部です。
私たちの地域社会で女の子と男の子は平等に扱われていません。未だ古い考えにとらわれている家族もいるのです。例えば、家族に男の子と女の子がいたとしましょう。二人とも進学するのにふさわしい良い成績を上げていたとします。それでも、ほとんどの家族は女の子より男の子だけを進学させようとします。とはいえ、以前に比べれば近年は随分変わったほうです。
Q.今回の教科書プロジェクトを通じて、タンザニアの子ども達にどんな体験をしてほしいですか?
A.これは私にとってとても良い質問です。例えば、TOFAのメンバーを連れて何度か学校を訪問しているニャンブリでは、歓迎行事の合間に、学校の先生たちが子供たちに対して「外国の友人たちが、私たちの地域にいる野生動物を見にきて、教科書を持ってきてくれたよ」と話をします。
野生動物たちを大切にするからこそ、私たちはこれらの教科書をTOFAメンバーから受け取れるわけです。そうすることで子ども達が野生動物の保護の重要性に目を向けるようになるのがおわかりいただけるでしょう。
それとは別に、「頑張って勉強すれば、夢を叶えられるのではないか」と子ども達の心の扉、ひいては村の人たちの心の扉を開けるのです。
(おわり)
男女格差(ジェンダーギャップ)の問題は日本でも根強くありますが、農業を中心とした自給自足生活で、多産傾向(早婚傾向)で、という日本とは異なるライフスタイルを考えると、女の子にとって進学はより高い壁となっていることが容易に想像できます。
とはいえ、この問題について必ずしも日本が進んでいるわけではありません。
タンザニアでは、今年に入って初の女性大統領が誕生しました。
今年3月に世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ指数を見てみると、総合ではタンザニアが156か国中82位なのに対して、日本は120位でした。
教育分野では日本が92位に対しタンザニアが127位、政治分野に絞っていえば、タンザニアは63位、日本は147位です。
(190の国と地域を対象に仕事や結婚、育児などのライフイベントなどに関する法規制を基に算出する世界銀行版では、日本が80位、タンザニアが83位となっています。)
その背景や実際に男女格差が生み出す個々の事象が異なるとはいえ、日本にとってもタンザニアにとっても共通の課題を抱えていることが分かります。
さて、改めて、今回の教科書プロジェクトの意義についてですが、教科書を用いて教育の質を高める、ということは勿論のこと、ポールさんの言葉から、教科書を使った授業以前に、教科書を子供たちに手渡す行為自体が既に、子ども達の意識に変化をもたらす重要なきっかけであることが分かりました。
その手に初めて感じる、真新しい教科書の重み―。
1冊は大したことのない重みだとしても、そこには、野生動物たちの命の重み、
村の未来、国の未来を拓く子ども達の夢の重み、
勉強したくても叶わなかった、大人たちの涙の重みも含まれているかもしれませんね。
日本にいる私たちもその教科書の重みに心を寄せて、今は現地へ足を運ぶことは叶いませんが、遠くて近いタンザニアへ心からのエールを贈りたいと思います。
これまでにご支援頂いた皆様、誠にありがとうございました。
クラウドファンディング残りの期間である今月15日までは、次の小学校へ新たに500冊の教科書を贈ることをネクストゴールに据えて展開しております。
引き続き、皆様のご理解とご支援を宜しくお願い致します。