今度はエンジン回りについて前回は走行抵抗を中心に対策をまとめましたが、今回はエンジン回りの抵抗と出力アップについてです。エンジンにおけるロス(損失)車に積まれるエンジンは、燃料を燃焼して得られた熱を動力に変換する機関です。しかし、生じた熱を100%無駄なく動力に変換させるのは現実的には不可能で、どうしても以下のような損失が発生します。・排気損失・冷却損失・機会損失・ポンプ損失排気損失燃焼してピストンを押した後のガスはまだまだ高温高圧です。この排気ガスに含まれる熱が排気損失となります。これはエンジンの圧縮比を上げることで減らすことが可能です。また、ターボを搭載すればこの排気エネルギーを一部回収して過給することができます。しかし、過給する際はノッキング対策として圧縮比を下げる傾向にあるため、これらの両立は難しいです。この他、ターボ発電やペルチェ素子などによって熱を電気に変える方法がありますが実用化はされていません。冷却損失燃焼温度と排気ガスの温度差が大きいほど、効率が良いと言えるのですが、燃焼温度が上がりすぎてもエンジンが耐えられなくなります。そのため冷却水をエンジン内部に流すことで温度を調節しています。つまり、せっかく得られた熱エネルギーの一部は冷却水に奪われてしまうということです。これを冷却損失といいます。機械損失これはフリクションロスとも呼ばれ、つまりピストンやコンロッド、クランクシャフトなどが動くことによって生じる摩擦です。対策としては当然、摩擦を減らすことです。この他、補器類の駆動による損失も含まれるため、オルタネーターを除く全ての補器の電動化が対策として挙げられます。ポンプ損失一言で言うなら、吸排気系における流体の流れにくさです。特にガソリンエンジンではスロットルで吸気量を調整するためポンプ損失が発生します。この対策としてEGRにより燃焼済みガスを吸気側に一部戻すことでポンプ損失の軽減が可能です。ヴィヴィオはどうする?排気損失については、既にスーパーチャージャーを搭載しているのでターボ等は考えていません。また、重量増も気になるので今回は排気効率(ポンプ損失)重視で行きます。冷却損失は、出力を下げないことには改善が期待できないのでスルーします。機械損失は、・レヴィテックのコーティング剤による摩擦低減・ウォーターポンプの電動化・油圧パワステの撤去(検討中)・エアコン撤去(検討中)以上の4点を考えています。ポンプ損失についてはまだまだ検討段階ですが、インテーク(吸気口)をエアクリボックス前上方に作り、ラム圧も利用できればと考えています。排気は、軽量化も含め最短経路でフロント排気を検討中です。最後に出力についてさて、最も肝心な出力ですが以下のように考えています。第一段階:ROMチューンとブーストアップで100ps第二段階:NOSを搭載して最終的に300psあくまでも街乗りメインで、ドラッグレースの時だけ羊の皮を脱ぐイメージなので、通常時は100ps程度にしておこうと思います。現在のスーパーチャージャーを維持しながら出力アップとなると部品と重量の増加も予想されるので。最後にこれで具体的な計画についてはひと通り述べられたと思います。今後は各種検討やテストをしていく予定です。よろしくお願いします。
車を速くするためにまず考えること普通に考えたら「馬力を上げる」となると思います。これはこれで間違いではありませんし、出力がボトルネックであるのならむしろ最優先事項です。しかし、速くする方法はこれだけではありません。①:車の軽量化少し数学(物理)の話になりますが、運動方程式では物体に与えた力を、その物体の質量で割った値が加速度になります。つまり、同じ力(出力)でも車体が軽くなればなるほど加速性能が向上します。ヴィヴィオGX-Tの車重はカタログ値で780kgです。現在は約40㎏の軽量化をして約740㎏と推定されます。費用や手間を考えず可能な限り軽量化をすれば600㎏を下回ることもできるでしょう。仮に600㎏となった場合は、加速性能が計算上1.3倍になります。②:走行抵抗について考える車の走行抵抗は以下の4つが挙げられます。・転がり抵抗・空気抵抗・勾配抵抗・加速抵抗このうち、勾配抵抗は環境によるものなので、その他の3つは車体側で軽減が可能です。③:転がり抵抗転がり抵抗は車両重量と転がり抵抗係数に依存します。転がり抵抗係数はタイヤと路面によって変化し、数値が小さいほど転がり抵抗は小さくなります。転がり抵抗を小さくすることだけを考えるなら、「できるだけ幅が狭く外径の小さいエコタイヤ」を装着することで実現できますが、これはタイヤのグリップ力と相反します。十分なグリップ力がなければタイヤは空転してしまいます。このことを考慮すると、ドラッグレースに限りますが現実的には駆動輪にハイグリップタイヤ、そうでないタイヤはエコタイヤにするべきでしょう。また、グリップが必要以上に高くても、今度は転がり抵抗が増えていくだけなのでちょうど良いサイズを見つける必要があります。また、グリップ力はタイヤの空気圧にも依存するので、空気圧の調整も込みで可能な限り小さなタイヤが良いでしょう。④:空気抵抗空気抵抗を減らすには、「空気抵抗の小さい形状にする」、「前面投影面積を小さくする」の2通りがあります。空気抵抗の小さい形状とは流線形のことで、例えばレーシングカーや飛行機、新幹線が空気抵抗の小さい形状をしています。より具体的なことを言うと、車体表面を流れる空気の流れを、いかに剥離させず最後まで車体表面に流すかが重要です。これに関しては無料の流体解析ソフトがあるので、これを用いて探っていきます。前面投影面積については、一番お手軽なのはミラーの交換ですね。この他には、車種にもよりますが、バンパーカット、マフラー上げ等も効果が見込めます。また、大掛かりな手法としてはチョップドルーフというものがあり、これによって屋根、つまり全高を下げることが可能です。⑤:加速抵抗厳密には①の軽量化も含まれるのですが、ここでは回転系による抵抗について述べます。ここで言う回転系とは、ドライブシャフト、タイヤ、ホイール、ブレーキなどのことを指します。厳密には回転系の慣性モーメントを減らせば良いのですが、説明が長くなるので回転系の質量を減らせば良いと考えてください。これらの軽量化を行うことで、①で述べたように加速性能が向上します。で、具体的にどうするのか?以下、箇条書きで失礼します。・軽量化(加速抵抗の低減も含む)・各種外装パーツのドライカーボン化・MT化(+軽量フライホイール化)・ブレーキ、タイヤ、ホイールの10インチ化・インマニ、ダッシュボードのドライカーボン化・マフラーのフロント出し化・ラジエーターの小型化・ルーフバーを追加することで補強パーツの取り外し・ドグミッション化(4速を予定)・転がり抵抗の低減・フロントにハイグリップタイヤ、リアにエコタイヤというのは前述の通り。・フロントへの荷重を増やすためにフロントの車高を下げる。・空気抵抗の低減・GTミラーへの換装・チョップドルーフ(検討中)・リアバンパー、トランクリッドの形状変更最後にとりあえず以上です。エンジン回りの細かい部分については次回まとめます。
今回の目標について最終的な目標タイムはゼロヨンで10秒切りです。しかし、いきなりこのタイムを目指すのはハードルが高すぎるため、今回はまず15秒台、300mで13秒台を目標としています。この、400mを15秒というタイムはシミュレーション上は100psあれば達成できる見込みです。※ちなみに使用したのは「Automation」というゲームです。 一部ヴィヴィオと諸元が異なりますが、再現しきれなかったため予めご了承ください。2枚目の左下に1/4マイル(402m)におけるタイムが"14.47s"となっています。これは77.2kw(約105ps)、721kgにおける結果です。このゲームではスーパーチャージャーの設定がなかったため、ブースト圧からNA換算して排気量を1386ccとしています。現在のヴィヴィオに対して若干軽量ではありますが、おそらく15秒台は行けると考えています。また、タイヤのグリップを使い切れていない状態でこの結果なので、おそらく大丈夫でしょう。当日はタイヤの空気圧を下げ、タイヤを空転せず回していくつもりです。現在、ブーストアップに向けて進行中肝心の100ps化ですが、現在は吸排気系&ROMチューンのみにとどまっています。これに加えブーストアップ(0.8k→1.1k)することで100ps前後を目指します。残念なことにヴィヴィオGX-TはCVTであるためパワーチェックができません。そこに関しては改めて違う形で性能向上のご報告をさせていただきます。また、ブーストアップに向けて現在ショップとメールでやり取り中です。ゴールデンウィーク明けごろに実現すると思われます。さらにブーストアップと並行してウォーターポンプの電動化も実施します。これによりエンジンの駆動ロスが減り、若干のパワーアップと軽量化につながります。今回のご報告は以上となります、ありがとうございました。