ある日、親しい児童書専門店の店主の方からメッセージ。
「友人が仲間とこんな本を作りました。
とてもよくって、出版できないかなと思って、
一度見てもらえないでしょうか??」
それは自費出版のワークブック絵本「子どもの権利と新型コロナ」でした。
今回コロナ下で、非常時に特にないがしろにされる
「人権」や「子どもの権利」のことがすごーく気になっていた私。
「緊急事態」というマジックワードにまどわされ
一方的な制約や指示に対しても、
俯瞰的思考をせずに「思考停止」していたら
ほんとうに大切な子供の声をうけとめることを忘れてしまいそう。
そんなこんなで、つなげていただき、
この本を一般の本屋さんでも販売でき
公共図書館や公共施設にも配架してもらえるように
単行本として編み直すお手伝いをすることに。
その瞬間、
ふっとひらめいた、ふたつのお顔。
八王子で「伝えたいことは、いのち、平和、幸せ」
を胸にたちあげられた子どもの本の
ひとり出版社「ひだまり舎」の中村さん。
文庫もやっていて、素敵な本をたくさん出版中。
じつは、御挨拶をしたことくらいしかなかったのだけど
野生の勘というのでしょうか。
そして、国分寺・国立市で子育てしながら、
いろいろな場作りに関わり、
国立(くにたち)にまつわる町のお仕事をされている
デザイナー・カメラマン・ライターの小林未央さん。
子どもという生き物をよーく知っている人に
本をデザインしてもらいたいと思ったときに
信頼する友人からご紹介いただいて
「たべものやさん しりとりたいかい かいさいします」という
愉快な絵本のデザインを依頼したことから始まったご縁。
ありがたいことに、それぞれご快諾。
このおふたりと、このワークブックチームをおつなげしたことで、
私の仕事、ほぼ終わったね!という気になった。
一瞬、満足して乾杯!でもしたい気分になったけれど
「こどもの権利」というちょっと難しく感じるテーマを、
どうわかりやすく編み直すかに取り組み出すと、いやはや……
ものすごく面白いけれど、ものすごい難問をといている、
数学者のような気持ちになった。
スタートしてからは毎週、
リライトしては東京と京都をzoomでつないで討論するという
熱血「子どもの権利」道場!!がひらかれるように。
つきつめるほどに、沼のよう。
紐解いていくと、そもそも日本人の概念になかった
「人権」とか「権利」という用語に関する翻訳自体に、
わかりにくさとか問題があるんだなあ……
などということも分かってきたりして、一筋縄でいかないテーマ。
でもチーム全員、とにかく熱くて、めげない。
みなさんの熱意にはほんとうに感激した。
時間との闘いになったけれど、zoomでの数え切れない対話が
ほんとうに勉強になり、私の心に深く沁み入った。
たぶん、やむにやまれぬ思いから端を発し
それをむねに秘めて、すてきな笑顔で活動されてる方々ばかり。
ひるがえって、私の編集者としての今回の強みは「無知」。
「えっと、そもそもなんだっけ?」と
いちから勉強したときの納得や感動を、
おすそ分けみたいに本にすることを目標とした。
編集作業もいよいよ佳境となり
ゴールが見えてきて心底ホッとしている。
「きかせて あなたのきもち」というタイトルとなり
気持ちを描き込めるぬりえワークブックも付録についている。
(なんてお得……!)
難しい用語やら、概念や理論をこえて
「人ひとりがちゃんと大切にされること」という、
このきびしい現代を生きるときの大事な根本、
一輪の花みたいなことを、
ふっとふりかえるような時間を
この本でもってもらえたらいいなと思っている。
そして、まだ見ぬ本なのに
クラファンにご支援くださったみなさまに
大きな感謝と熱いハグを贈ります。
そして、どうぞクラファンをさらに、
拡散していただけましたら嬉しいです。
今回は書店で本を買ってもらえる子ばかりでない
たくさんの子どもたちに届けたいと、心から願っています。
https://camp-fire.jp/projects/view/416707