おはようございます。お元気にお過ごしでしょうか。お陰様で終了を前に目標額を達成することが出来ました。レコーディングに向けて調整が続いておりまして、御礼申し上げるのが遅くなりまして、失礼お許しくださいませ。昨日9日 【紅葉賀】レコーディングがひとまず無事終了しました。まずはスタジオで数時間打ち合わせとリハーサルの後、レコーディングルームに入りました。音楽と語りを別チャンネルで収録するためブースを分けての録音です。実際の雅楽演奏を聞きながら同時に語るのと、音無しで語るのとはきっと違うと思って、雅楽の有る無しで2テイク録音しようと思ったのですが、せっかくの音楽の力を戴こうと、流れを大事にして演奏と一緒に一気に録音しました。入るタイミング、間との兼ね合いなど、ライブ感のスリルも味わいつつ、物語りって山間の川歩きのようだと思いながら語り進めました。マイクとの距離や、ヘッドフォンから聞こえる雅楽、いつもと違う注意を払いながら同時に集中していく感覚が、本流に支流がいくつも交わってくる大きな流れにもにて、やっぱりここにも自然の摂理があるんだなあと、響きあう嬉しさを感じました。荒編集のために録音したのを聞く時間は、焼きたてのパンになったような気分でした。生の雅楽の演奏が入ると、ちょっとゾクッとして、やはり生の、雅楽の力って凄いものだ・・・!と思いました。2〜3日は聞くのを我慢して、ほとぼりが冷めて(どこまで客観的になれるかと思いますが)聞いてみて、修正するところをチェック、再来週にもう一度スタジオに入って完成させます。ジャケットやライナーノーツの作成も同時進行しています。雅楽ユニット天地空の雑喉泰行さんとの出会いから、昨年の秋、初めて共演し、そして今春の二度目の共演予定がコロナによって中止延期の憂き目を見ながら何度かのリハーサルをかさね、能楽堂公演の企画とクラウドファンディングを立ち上げ、こうして録音の日を迎えられたこと自体にも感動があったのでした。行動してみないとわからない明日への課題。それを感じる幸せをかみしめた1日でした。現在のベストを尽くして完成させ、味わって頂ける作品を作りたいと思います。クラウドファンディング終了まであと少し。引き続きよろしくお願い申し上げます。感謝をこめて 山下智子
皆様暑い日が続いております。お元気でしょうか。お陰様でご支援が90%を超え、皆様への感謝の思いで日々過ごしております。そして今、レコーディングの日がちかづいています。テキストである【京ことば源氏物語】は百年ほど前の、京都室町辺りの京ことばで訳されています。中井和子先生は尼門跡寺院に遺る御所ことばについての著作(共著)もありますが、御所ことばで訳すと、古文同様、読解がとても困難になって、多くの方に読んでいただける訳にはなりません。失われてゆく美しい京ことばの「今」を遺そう、と先生が生まれ育った市井のことばで訳されたので、宮中の物語りながら「〜どすえ」と「今女房」は語るのです。移り変わってゆく京都のことばは、だんだん「関西弁」に近くなってきているようです。五十年、百年後にはすっかり変わっているかもしれません。私は十八歳の時に無名塾のオーディションを受け、東京で役者の修業を始め、東京暮らしが長くなった頃に中井先生との出会いがありました。「あんたの読み方は、歳の割には古風な感じがするわ」と中井先生は仰ったのは、十八歳までに耳にしていた両親や親戚などの京ことばの響きを頼りに読んでいるからかもしれない、と気づきました。京ことば源氏物語を語るにあたって、ご年配の京都の方や先生にご指導いただいたこともありますが、なかなかこれが絶対正しい、と一つに絞れない場合があります。けれど百年ほど前の京ことばというなら、現在の普通よりも少し古風に語りたい、そう思い、その裏付けとして、国語学の教授で京ことばの研究を長く続けておられる丸田博之先生にご指導を仰ぎました。明治期以降に作られた熟語の存在や時代によって変わってきた高低アクセントの違い、泉のように尽きない興味深いお話しに引きこまれながら、物語の内容や文章の流れの中で、アクセントやイントネーションの微妙を探っています。宮中のお話しでもあるので、現在の日常会話よりも少しゆかしい風情をお聞きいただけたらと思います。探求するうちに、小さい頃になくなった祖母の録音された声や、母の実家であったお寺で催された法事の集まり、そこで耳にしていた会話の響きが蘇ってきます。自身が繋がっている遠いところへ旅するような心地です。よいものを作りたいとの思いが一層深まってきました。待っていてください。皆様暑い毎日、どうぞくれぐれもご自愛の上お過ごしくださいますよう。感謝をこめて 山下智子
ご案内ちらしには記載できませんでしたが、10月2日公演当日、ガラス作家 田上惠美子さんによる「蜻蛉玉源氏物語全五十四帖」を展示して頂くことになりました。紫苑語り会主催の語り会では何度か展示させて頂き、また蜻蛉玉を帯留めに作りかえて頂いた作品をご提供頂き、その帖の象徴、そして御守りのような気持ちで身につけさせて頂いており、ささやかながら展示もさせて戴いている作品ですが、今回は全五十四帖総てを舞台の正面に一列に並べてご覧戴く予定です。コロナ禍において、ご覧になる方が一つところに固まらずにご覧頂けるように、また、能舞台のラインの美しさにかさなるように五十四の巻それぞれの薫りを秘めた蜻蛉玉がずらりと並ぶのはきっと壮観だろうと思い、提案させて戴きました。 ガラスの様々な技法を駆使して、帖の魅力が小さなガラスの宇宙に籠められています。物語の中の、一般的な中心場面ではなく、田上惠美子さんが独自の切り口で感受された物語が表現されていて、そのお話しを伺う度に、「そこに着目〜!?\(^O^)/」と盛り上がったりしています。感性の人 田上惠美子さんの源氏物語世界を是非お楽しみ下さい。
皆様こんにちは。ありがとうございます。お陰様で現在目標の87%のご支援を戴いて、こうして楽しみにしてくださっていることを改めて心に刻みそれを力に繋げたいと思います。 さて、昨日17日、大江能楽堂さんに、大阪楽所の方がた、蜻蛉玉源氏物語全五十四帖を展示して下さる田上惠美子さん、紫苑語り会のスタッフチームアノニムで下見に参りました。これまでも何度か寄せて頂いておりますが、現在能楽堂は舞台の張り替えのため工事中、養生シートが張り巡らされておりました。その中で、舞人さんの立ち位置や楽人さんの位置、お支度用の控え室など確認して頂き、また当日の照明などの位置など、確認できる部分は致し、なにより今回の共演でご一緒するチームの顔合わせとなり、有り難いことでした。 長い歴史を誇るこの能舞台、110年以上の時の中で、演じられた能楽師さんのすり足によって、舞台の漆塗りの下木地が現れていました。これはまさしく貴重な時の刻み、ここに立たせて頂けたことも感動でしたが、今回の工事により舞台は新しく張り替えられ、9月初旬には大江能楽堂さん主催の能公演でお披露目されます。私たちもその新しい舞台をふませて頂くことになります。大江能楽堂さんの歴史の節目に触れさせて頂けることも幸せに感じます。どうぞお楽しみになさって下さい。