地域金融機関、特に信用金庫や信用組合に地域課題の解決にもっと関心を持ってもらい、参画しやすい状況を一緒につくっていけないかと考え、製作・発行した『お金の地産地消白書2017』。そんな思いが込められた『白書2017』の発行記念イベントを、2018年3月28日に開催しました。 オープニングで、『白書2017』製作委員会の代表で、コミュニティ・ユース・バンクmomo理事の木村真樹は「協同組織金融機関の原点を示す言葉に『貸すも親切、貸さぬも親切』がありますが、信金・信組がこの言葉を実践していればmomoという組織は要らなかったはず。地域の課題解決に地域の“志金”を生かす「お金の地産地消」のさらなる推進をめざして、この白書を製作させていただきました」と話しました。そして、「『白書2017』を製作する中で、“対話”が地域金融機関が変わっていくためのキーワードであると強く感じました。なので、本書をお披露目するこのイベントでは対話をしようということで、『対話する銀行』の著者でもある江上広行さんにこの場の進行をお願いしています」と続けました。 ここから進行は江上広行さんにバトンタッチ。「Active Book Dialog(ABD)」という読書法で本イベントの進行をお願いしました。ABDに入る前に、対話の前提として「考えるな、感じろ」「肩書、立場は関係なし」「『正しい』はない」「誰が言ったかは関係ない」「みんなが話す」といったグランドルールの説明から始まり、チェックインとして、そばにいる3名で「ここ最近の自分に起きている変化」「最近感じたどうしても許せないこと」「話してスッキリしたいこと」のうちどれか話したい話題一つを話し、参加者同士で共有しました。 そして、ABDの説明をした後、実際に参加者全員がABDを体感しました。ABDでは、(1)コーサマライズ:一冊の本(ここでは『白書2017』)を参加者が5グループに分かれ、各グループがパートを読み、要約文を作ります。(写真1) 写真1:(1)コーサマライズで作成された要約文 そして、(2)リレープレゼン:リレー形式で各グループが要約文をプレゼンします。(写真2) 写真2:(2)リレープレゼンでのプレゼン風景 最後に、(3)ダイアログ:問いを立てて、感想や質問について話し合い、深めます。(写真3) 写真3:(3)ダイアログ:それぞれの立場から感想、質問を共有 ダイアログでは、『白書2017』の内容について、実際に自分自身が「賛同している⇔していない」「行動している⇔していない」軸(写真4)に分けた上で、自分がどの範囲に属しているかを区別し、「わかってほしい気持ち」や「ぶっちゃけ思っていること」を共有しました。また、試験的に違う範囲に属してみることで、その人がどんな気持ちかを実感する時間も参加者同士で共有しました。「賛同している」けど「行動していない」範囲にいる人からは、「行動できている人がうらやましい」といった感想や、「賛同していない」けど「行動している」範囲にいる人からは、「やらされ感があり、息苦しい」といった感想をいただきました。 写真4:『白書2017』の内容に対して「行動」と「賛同」の軸を引いた時の度合いを表した図 最後にチェックアウトとして、全体を通しての感想を参加者同士で共有し、本イベントを終了しました。イベント後のアンケートでは、「対話とは何か、自分の中に眠る本音や、その場にいない人の声も拾うような場を体験しながら考えられました」「こうした対話を含めた場をもっとつくっていきたいと改めて思いました」といった声をいただき、対話に対する関心の高まりを実感しました。 なお、本イベントにご参加いただいた人の中で、一番数が多かった属性は遠方の金融庁からお越しいただいたみなさまでした。冒頭のごあいさつで熊崎貴之さんからは、「momoが存在しているということは、従来の行政・金融機関は現状の地域課題に対応できていないぞ、と問題点を投げかけているのではないでしょうか。地域金融機関は白書に書かれている問題意識のもとで、新たな答えをつくる取り組みを進めるべきです。あるべき金融の姿は、事業者や社会の役に立っているかであり、地域金融機関がイニチアティブを取って事業者に向き合っていくことが肝要であると考えます。この取り組みを広げていきましょう」とのお言葉をいただきました。地域課題の解決に向けた仕組みづくり、また地域金融機関に対する強い想いを感じました。 この度、『白書2017』の製作に携わってくださったみなさん、クラウドファンディングで支援してくださったみなさん、お忙しい中ご参加いただいたみなさん、ゲストのみなさん、準備から片付けまでを手伝ってくれたmomoのみなさん、ありがとうございました。 なお、momoでは今後、本書をテキストにした信金・信組向けの職員研修も実施したいと考えています。参加者のリーダーシップを育むために、講師が知識や技術を教える講義形式ではなく、職員参加型のグループワークで対話を繰り返し、「お客様との共通価値の創造」の理解を深めます。ぜひ開催をご検討ください。(文責:コミュニティ・ユース・バンクmomo運営事務局・久野) ※『お金の地産地消白書2017』の購入方法や、信金・信組職員向け研修につきましては、下記URLをご参照ください。 http://www.momobank.net/news/2602/
『お金の地産地消白書2017』では、「人口減・収入減の未来に、信金・信組・労金ができること」をテーマに、以下の34名のみなさまからのメッセージを掲載予定です。 みなさま、どうぞ楽しみにお待ちください ◆協同組織金融機関等(17)【信用金庫】(6)●東濃信用金庫 理事長 市原好二さん●西武信用金庫 理事長 落合寛司さん●豊田信用金庫 理事長 黒田連さん●京都信用金庫 理事長 増田寿幸さん●瀬戸信用金庫 理事長 水野和郎さん●中日信用金庫 理事長 山田功さん【信用組合】(6)●いわき信用組合 理事長 江尻次郎さん●飛騨信用組合 理事長 大原誠さん●長崎県民信用組合 理事長 小村泰久さん●第一勧業信用組合 理事長 新田信行さん●岐阜商工信用組合 理事長 森嶋篤男さん●広島市信用組合 理事長 山本明弘さん【労働金庫】(4)●新潟労働金庫 理事長 江花和郎さん●中央労働金庫 理事長 松迫卓男さん●近畿労働金庫 理事長 山下博司さん●東海労働金庫 理事長 度会章仁さん【その他】(1)●株式会社日本政策金融公庫 国民生活事業本部 融資企画部 ソーシャルビジネス支援グループ 和田裕介さん ◆中央機関(3)●信金中央金庫 地域・中小企業研究所 しんきん地方創生支援センター センター長 石川孝さん●全国信用協同組合連合会 理事長 内藤純一さん●一般社団法人全国労働金庫協会 理事長 中江公人さん ◆金融庁(1)●金融庁 監督局 協同組織金融室 課長補佐(総括) 熊崎貴之さん ◆行政(2)●愛知県 産業労働部 産業労働政策課 主幹 犬塚晴久さん●名古屋市 市民経済局 地域振興部 市民活動推進センター 主査 渡邉弥里さん ◆マスコミ(3)●NHK 制作局 チーフプロデューサー 大野太輔さん●朝日新聞社 論説副主幹 田中雄一郎さん●共同通信社 経済部 記者/『捨てられる銀行』著者 橋本卓典さん ◆学識経験者(2)●岡山大学 地域総合研究センター長/大学院社会文化科学研究科 教授 三村聡さん●神戸大学 経済経営研究所 教授/金融庁 参与 家森信善さん ◆その他(6)●株式会社CAMPFIRE 代表取締役 家入一真さん●衆議院議員 石破茂さん●株式会社日本人材機構 代表取締役社長/金融庁 参与 小城武彦さん●構想日本 代表 加藤秀樹さん●一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス 代表理事 木下斉さん●プラスソーシャルインベストメント株式会社 代表取締役会長 深尾昌峰さん 以上
『お金の地産地消白書2014』のメディア掲載実績をご紹介します。 ●日本経済新聞:2015年1月7日付朝刊【社説】よい社会へビジネスの知恵生かせ 民が拓くニッポンhttp://www.nikkei.com/article/DGXKZO81652640X00C15A1EA1000/ ●ニッキン:2015年1月16日「東西南北:東海」NPO支援白書を発行 ●朝日新聞:2015年4月8日付朝刊【社説】地域の金融 お金の地産地消めざせ ●日本経済新聞:2015年6月24日付朝刊日経ソーシャルイニシアチブ大賞2015[国内部門賞]コミュニティ・ユース・バンクmomo、お金だって「地産地消」http://www.nikkei.com/article/DGXMZO88364090S5A620C1970M00/ ●中部経済新聞:2016年4月8日付地域の資金循環モデル解説一宮ソーシャルビジネス支援ネット 27日にセミナー ●中部経済新聞:2016年5月16日付東三河のソーシャルビジネス関連融資 前年度の倍に 日本公庫豊橋支店 ●中日新聞:2016年5月28日付朝刊広がるソーシャルビジネス公庫融資額 東三河、15年度2倍 ●中部経済新聞:2016年6月15日付地域の資金循環モデル探る多治見ソーシャルビジネスサポートネット来月19日セミナー ●伊勢新聞:2016年8月5日付地域資金の有効循環講座 24日、アスト津で ●伊勢新聞:2016年8月25日付ソーシャルビジネスの意義学ぶ日本政策金融公庫など津でセミナーNPOバンクの木村氏講演 ●東海愛知新聞:2016年11月8日付ソーシャルビジネス事業者支援セミナー10日豊田 ●中部経済新聞:2016年11月9日付10日に発足記念セミナー日本公庫岡崎などネットワーク ●中日新聞:2016年12月1日付朝刊NPO法人向けセミナー
「白書を読む会」の参加者からいただいた声をご紹介します。 ●「事業性評価」について ・30人がかりでプラス・マイナスを出し尽くす審査の方法がとても興味深かった。 ・momoさんの融資決定プロセスの話がたいへん勉強になりました。・融資の評価・判断を、多くの人の目で確かめて 社会的意義や重要性を判断している点が印象的でした。 ・NPOへの支援については、金融機関が今、力を入れている事業性評価そのものだと感じた。 今後、行政・金融機関・保証協会、すべてを巻き込んでのネットワークの構築を目指したい。 ・融資の際には人物の面接に時間を相当かけることで信頼感を高めることがわかった。・NPOの“志金”源についての説明がわかりやすかったです。 ・融資をする際の審査基準等がとても勉強になりました。 ・制度はあるものの、本当に役立つものにしていく必要があると感じた。 財務状況だけでなく、人を見る目を養うこと、ネットワークの重要性。 ・「まなざしの深さ」が預貸率アップです。 ・「本気で」参画することの重要性を気付いた。また、審査場のネックとなっていた事項として 「社会的審査」はNPOと連携していくことが有効と思った。 ・NPO向けに対する与信判断の話が聞けてよかった。 NPOの組織について、収入源についての理解が深まった。 ・NPOの審査時の重要な項目として、“本気度”を見るという点。 本業の融資と共通するところ、今後目を向けていく必要があるところを感じる時間でした。 ・NPOの融資について具体的なイメージを感じることができた。 ・地域金融機関として、今後NPOに目を向けていくことの大切さを学んだ。 またNPOだけでなく民間企業についても、決算書等の財務内容や担保に依存するのではなく、 経営者の思いやビジョンについて真に向き合い、課題解決に尽力したいと感じた。 「白書を読む会」 ●「地方創生」について ・金融機関ができること、やるべきことを改めて考えされられました。 地方創生を掲げていますが、今以上に地域に目を向けていくこと、銀行のものさしを いったんリセットし、さまざまな角度から地域を見つめることの重要性を感じました。 ・地域金融機関として、地域貢献の関わりかたの一策として大変参考になりました。 ・地元信用金庫です。地域資源や地域産業が活性化されなければ地域経済は元気になりません。 信用金庫としては運命共同体として、地域のNPO法人様と協力しながら共生していくことが 必要だと感じました。融資できるNPO法人様にともに育て、育てられていくことが大事かな。・「地方創生」やその一つである「NPO向け融資の推進」は、国・政府が企業側(銀行側)に 押しつけている印象を持っていた。しかしながら、今回の講義や白書、ディスカッションを 通して固定概念が少し崩れた。私たちに一石を投じる良い講義だったと思う。・5年先、10年先を見据えた地域密着型金融について模索する必要性を感じました。 ・NPO法人に対する融資もいろいろなことで取り組みをしていくことが大事だと思った。 われわれ地方銀行も、営利組織ではあるが、地方への貢献度を求められている中で、 NPO法人が対象とできれば、お互いにWin-Winになると思うので、 もっと広まればいいと思った。 ・地域金融機関として、地域貢献の関わり方の一策として大変参考になりました。・社会貢献性の評価(西武信金の取り組み)が印象に残りました。 ・職員の苦手意識克服や、金庫内の統一感は必要と感じ、変えていかなければならないと思う。 いろいろな動き、取り組みがあることを伝える必要性を感じた。 損得だけを考えていたら進まない。 ●「越境学習による人材育成」「共通価値の創造」について ・プロボノ(※1)は企業、社員、NPOの3者のニーズに応えられるのがすばらしいと感じました。 若い世代が社会に貢献したいという気持ちも高まっている際に、1つの手段になると思った。 ・「働く人の応援バンクろうきん」というフレーズは、事業性融資をNPO法人等に行うことで、 間接的にも働く人を応援できるものだと改めて感じました。 組織として、地域と人を育てることの大切さを実感しました。 ・プロボノに関心がある。自社の社員教育等に活用でき、 さらにその中からNPO法人との関わりができ、以降の取り組みにつながるのではと思った。 ・プロボノは当行も実施してほしいと思いました。 ・SROI(※2)はこれまで聞いたことがなく、実際どのように算出するのかについても難しい部分が あると思いましたが、今後の地方創生を考えていく上では有益な考えだと思いました。 ・「越境」というキーワードが印象に残りました。 若手社員にとってはとても大切なキーワードであり、果敢に越境していきたいと思いました。 ・プロボノはOJTとしてやっていきたいと感じた。 ・NPOを定量的に示す方法は決算書しかないと考えていたが、SROIの測定は印象に残った。 ・プロボノによる人財育成を実現する仕組みがすばらしい。 ・社会的価値の「見える化」の手法は非常に参考になりました。 地域金融機関はお金の地産地消への姿勢はある程度理解されていると思いますが、 問題はどう融資の一歩を踏み出せるかだと思うので。今日示された事例は まだ途上の部分もあると感じられましたが、この取り組みがより多くの人に知られて、 より完成度の高いものを作りあげてほしいと思いました。 ・SROI測定で金融機関とNPOとの壁をとりはらうことができるかもしれないと思いました。 融資実行後のフォローアップが大切だと思いました。 ※1:「公共善のために」を意味するラテン語“Pro Bono Publico”を語源とする言葉で、職業上の専門的なスキルやノウハウなどを持ち寄るボランティア活動のこと。※2:「Social Retuen on Investment」の略。社会的投資収益率 ●「NPO・ソーシャルビジネス」について ・ソーシャルビジネスの知識を収集できました。 ・NPO法人の取組姿勢に対する理解が深まった。 社会貢献のため、地域連携の重要性、役割などもっと検討する必要があると思う。 ・NPOのあり方について理解が進んだと感じました。 ・NPO・ソーシャルビジネスについて勉強になりました。 ・NPOのビジネスモデルについて確認できた点がとてもよかったと思います。・NPO活動は社会のまだ足りないところへの気づき。とても参考になりました。 ・金融機関の職員として意識改革の場となりました。 ・NPO法人に対する意識が深まった。地域密着をかかげる信用金庫にとって、 必要な取り組みであることを感じることができた。 ・NPOの4つの収入の意味と中間支援組織との連携の必要性が理解できた。・金融機関の持っているNPOへの融資の不安や、なぜもうからないのに動けるのか、 どう付き合っていけばいいのかという疑問を持っていることの再確認ができた。 職員向きのセミナーが必要。 ・非営利法人の団体に対して営利法人である銀行がどこまで関わっていけるのか 非常に興味がわいた講義でした。「ニーズがある」「数は右肩上がり」の中で、 どこに価値を見出して行けるか非常に新鮮に感じました。
地域の課題解決に地域の“志金”を生かす「お金の地産地消」のさらなる推進をめざして、NPOバンク「コミュニティ・ユース・バンクmomo」が2014年12月に発行した『お金の地産地消白書2014』をテキストとした「白書を読む会」を、これまで全国各地で開催してきました。 主に、ソーシャルビジネス支援ネットワークや自治体、中間支援組織、地域金融機関等での研修としてご活用いただいています。 ●「『お金の地産地消白書2014』を読む会」の開催状況開催回数:46回(27都府県)参加人数:1,215名参加金融機関:90(全国の(地域)金融機関の15%)満足度(5点満点/平均):※全ての回で満足度4.0以上(2017年11月末時点) 『白書2017』発行後も、『白書2017』をテキストとした「白書を読む会」を開催しますので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。 以上