ーー今日は、作曲を担当している、久野 飛鳥さんにお話を聞いて見ましょう
久野飛鳥
1997年11月30日生まれ。東京都出身。東京藝術大学音楽学部作曲科2年在学中。5歳よりピアノ、6歳より作曲をヤマハ音楽教室にて学ぶ。これまでに多数のコンサート等に出演、自作初演も行っている。芸大ミュージカルエクスプレスやコンサート等で伴奏者としても幅広く活動中。
ーーそれではまず、この舞台に関わろうと思ったきっかけを教えてください!
音楽が顔といっても過言ではないくらい、一つ一つの楽曲が独り歩きできるほどの力を持ったミュージカルにおいて、音楽の形式に頼りすぎず芝居を重要視し舞台に深みを持たせようとしている稽古現場を見たことで、人間を深く掘り下げ表現する芝居に寄り添った音楽って何だろう、役者の技量に頼るだけでなく、音楽と芝居の間に溝が生じず、自然に一体となることができる舞台を制作側も追求するべきなのではないかと考えていた矢先に今回の音楽劇の話を頂きました。経験はまだ浅いですが、ただ依頼された曲を作るだけでなく、企画メンバーとしてものづくりを一からできるということは、考えていたことを表現する良い環境であると思い、参加しました。
ーーこの舞台の意気込みを教えてください!
カンパニーのメンバーがそれぞれの人生経験で得た力を最大限に発揮し、全ての分野が密接に関わり合った表現をすること。通常の商業的な仕事なら自分の専門分野だけを担当することが多いですが、今回は脚本、演出、音楽という専門分野を超えた意見をお互いが出し合う、非常にクリエイティブな制作を行っています。音楽という視点では、音楽が芝居の裏さらに役者一人一人の人生や人間性とも向き合った内容にすることで、与えられるという経験の多い役者も受け身にならず発信していけるような作品にしたいと考えています。
表現手段は違えども、この舞台を通して発信したいことを、企画に携わっているすべてのメンバーでお客様にお届けしたいです。
ーーこの舞台で表現したいことを教えてください
現代社会に生きる役者それぞれの考え方、心情、選択…つまり、生き様をお伝えしたいです。現在の若者ならではという描写がある一方、普遍的な人間性も存在しているというのが今の東京であると思うので、その絶妙なバランスを表現したいです。
オペラやミュージカルで役者から、曲のタイミングに感情をあてはめなければならないのが大変という話をよく聞きます。音楽と人間にずれが生じても、見せるものとしてまとまりを重視したこれまでの舞台文化は美しく魅力的である一方、現代社会の複雑で繊細な状況を描く手段としては、それだけでは伝わりきらない面があります。今を生きる表現者として、従来の方法だけではない音楽表現を目指します。
↑オーディション後。審査員の皆さんと
ーーこの舞台のテーマである「東京」の思い出を教えてください
2つあるんですが、2つ言ってもいいですか?
ーーもちろんです!どこですか?
地元のヤマハ、とサンリオピューロランドです。
ーーそうなんですね!どうしてですか?聞きたいです。
地元のヤマハは音楽の基礎を学び、自己表現を追求し、中高時代は1回も休まず通い続けた特別な場所です。最初は自分なんか数いる生徒の一人にすぎないと思っていましたが、先生方が真剣に向き合ってくれ、信頼関係を築くことができたという経験は、音楽を仕事にすることへの自信につながっています。
次にサンリオピューロランドですが、サンリオピューロランドに最初に行ったのはまだピアノを始める前だったので、初めて心に響いた音楽、エンターテイメントです。好きという感覚というよりは、自分を形成している一部として自然にある音楽です。思えば作曲家を志す前からずっと「楽しむ」よりも「創る」という視点で見てきたなと…!これもある意味で私の創作の原点なのかもしれません。
ーーそれでは最後に将来の夢を教えてください
特にどの分野でということにはこだわっていませんが、作曲家としてその時発信すべきことを表現するのに一番相応しい場所で創作活動を行い、それを他者と共有していきたいです。自分という軸、アイデンティティは勿論存分に生かしつつ、一人で表現できることには限界があるので、常に世の中に目を向け、貪欲に新しいものにチャレンジし、魅力のあるいろいろな人と関わることでお互い良い方向へ行ける活動をしていきたいと考えています。
また、舞台においては毎回違ったライブ感のある所が魅力だと感じているので、舞台音楽も生演奏にこだわっていきたいです。演奏者として、役者と一体となった演奏をできるようにすることも目標の一つです。
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久野さんありがとうございました。
久野さんオリジナル曲が舞台で聞けるのがとても楽しみです。