『ドラクルオーガン』では、新たに4個のスタイルクラスが登場します。今回は、それらのクラスを紹介します。●スレイヤーノイン王国においては、暗殺者のほとんどは、王国騎士ブラックガントレットです。王命の代行者として、法による裁きを待たず、悪に直接裁きを与えることを許された彼らの技術は、ドライバー達の間には伝わってきませんでした。しかし、五龍皇国との全面戦争が始まり、ブラックガントレットから戦列に加わる者が増加するにつれて、彼らの戦闘スタイルもまた知られていくようになりました。スレイヤー特技はひたすら攻撃性能に特化しています。しかし、特技レベルを参照して攻撃能力を高める効果が多い関係上、中途半端にスレイヤーの技を学んだだけでは、大した成果には繋がらないでしょう。●セージこれまで、堕落獣研究は魔術学府が主導して進めていました。しかし、彼らの大半は戦うための技術を持ちませんでした。堕落獣が現れるまでは、戦う必要がある人間はハンターと騎士くらいしかいなかったためです。より深く堕落獣研究を進めるため、知識と知恵を戦力に転換する「戦う学者」、すなわちセージの数は、徐々に増えつつあります。セージ特技の中でも特徴的なのは、重複する回数が決められている「知見」特技です。戦闘中に特定の行為に成功することで、知見を深め、より高度な戦闘技術を生み出す。それがセージの戦い方です。●アヴェンジャー堕落獣との戦いが始まってから16年。家族や愛する人を、堕落獣によって失った人は数多くいます。彼らの一部は、復讐心を胸に抱き、堕落獣根絶のため、五龍皇国撃滅のため、そして自分と同じ悲しみを背負う者を少なくするため、戦うことを選びました。アヴェンジャー特技は攻撃にも防御にも応用が利くものが揃っています。また、自分が攻撃を受けることを前提条件にした特技を複数持つのも特徴です。●ウォーバードメロディアスウェポンという「音楽を力に変える武器」の存在が広く知れ渡るにつれて、ドライバーや工匠、そして吟遊詩人の間に、ある疑問が芽生えました。「オラクルエンジンに頼らず、歌を力に変えられないか」と。研究の末、魔力を込めた歌「戦歌」が生まれましたが、この戦歌が真に力を発揮するのは、歌う者のオラクルが最大限にまで活性化した時――すなわち死の淵にある時です。この危険な、しかし強力な歌を戦場に届ける「戦争吟遊詩人」、ウォーバードは、少しずつ数を増やしています。ウォーバード特技の「戦歌」は、ウォーバード自身がデンジャー状態である時に限り、上限なく効果が重複します。死と背中合わせの状態で歌い続けることは至難ですが、そのポテンシャルは計り知れません。
前回お伝えした通り、『ドラクルオーガン』では6個の種族クラスが追加されます。今回は、その種族クラスに関する情報公開です。■新ルール:鹵獲種族『ドラクルオーガン』に収録される6個の種族クラスは、異世界から五龍皇国に連れ去られ、ドラクルによって改造された「鹵獲種族」です。彼らはすでにノインに来訪している異世界人、イレギュラーとは異なり、その肉体や精神を様々な目的のために――より効率よくドラクルがエーテルを吸収するため、より強力な堕落獣を生み出すため、そして反逆の可能性を消すため――作り替えられています。これまでの種族クラスの【能力基本値】が合計4だったのに対し、鹵獲種族の6クラスは【能力基本値】が合計2です。これは、ドラクルによってその存在を歪められた結果、種族本来の力を発揮できない状態にあることを意味します。その上で、鹵獲種族にはこれまでの種族クラスにはない「自動取得特技」があります。その種族特有の能力を特技として最初から持っていることは、特に戦闘において役立つでしょう。鹵獲種族はドラクルの駒であり、戦場においては兵士として運用されることを想定されているからです。●アーケインアーケインは、本来は「天使」や「悪魔」といった、信仰に深く関わる種族です。彼らは元の世界では、信仰の対象となる存在に仕えたり、あるいは人々を導いたりといった役目を担っていました。五龍皇国においては、アーケインはエーテルを効率よく採集できる「搾取するにおいて優秀な資源」です。より効率的にエーテルを集められるよう、アーケインには自らの命をすり減らすことのできる力が与えられました。データ上は、アーケインは援護能力に長ける種族クラスです。しかし、その援護能力は自分には向けられません。●リッチリッチは「死を超越した存在」の総称です。世界によってリッチの在り方は千差万別で、死者の王と呼ばれることもあれば、吸血鬼とされることも、あるいは仙人と定義されることもあります。五龍皇国のリッチは、その不死性を利用して「資源の管理役」を任されています。永遠に続く、ドラクルにエーテルを献上する日々を管理するためには、リッチという「死んだ時に交換する必要がない部品」は都合がよいためです。リッチはその命の異質さから、他者からの【HP】回復を受け付けません。代わりに、その不死性を示す様々な特技により、妨害に強い戦い方を得意とします。●ドライアドドライアドは「植物の因子を持つ人間」です。植物が成長によって自我を得た者もいれば、元々人の形をして生まれてくる植物もいて、その定義は広範に渡ります。五龍皇国では、ドライアドは「下級の資源の一種」であり、基本的に特別な役割を与えられません――人体実験の材料にされる時以外は。ドライアドはダイスブレイクに関連する特技を多数持ちます。それらの特技は強力ですが、ドライアド自身に「幻惑」のバッドステータスを与えます。植物に起源を持つ彼らにとって、攻撃を避けるのは少々困難なようです。●キメラキメラは「人を捕食するモンスターの力を持つ人間」です。モンスターとは「人間を捕食して成長する力を持つ存在」ですが、キメラはその力を行使しないことを選んだ、モンスターの中の例外なのです。五龍皇国では、キメラはドライアド同様「下級の資源の一種」です。ただし、モンスターに由来する戦闘能力を見込まれ、他の世界に向けて兵器として、つまり堕落獣として「派兵」されることが多々あります。キメラの最大の特徴は、あらゆる判定にフリードライブを得られることです。その代償として、あらゆる判定のクリティカル値が+1されます。その挙動は〈熾烈〉なる堕落獣と酷似しています。●オートマータオートマータは、霊銀鋼(れいぎんはがね)という特殊な金属で構成された体を持つ「機械の体を持つ人間」です。霊銀鋼は、魔力を通わせることで自己再生する性質があります。五龍皇国において、オートマータは工場で生産される「備品」です。より効率よくエーテルを収集し、より効率よく他の世界を侵略し、より効率よく五龍皇国を拡大する。そういった目的のために、オートマータは製造されています。オートマータの特技やオーバードライブは、自身の【HP】に関するものが揃っています。その背景には、彼らが不死の軍勢の一員として作られた存在であることが伺えるでしょう。●アプサラスアプサラスは、本来であれば「人間の感情に寄り添う水の精」でした。我々の住む地球ではインド神話にその名前を見ることができますが、他の世界にもアプサラスは存在するのです。五龍皇国に鹵獲された彼らは、感情と自我を消し去る霊銀鋼製の拘束具を取り付けられ「不完全な資源」と定義され、下等な存在として扱われています。その一方で、アプサラスの涙には、ドラクルに消し去られた感情や自我を呼び起こす力があります。アプサラスの特技やオーバードライブには、ロールホイールに関連する効果がいくつかあります。これは、彼らの「人間の感情に寄り添う」性質と深く関わるものです。
『ドラクルオーガン』では、新たにカテゴリークラス3個、スタイルクラス4個、種族クラス6個が追加されます。今回から3回に分けて、それらの追加クラスの概要や特徴をお伝えします。■追加カテゴリークラス●エーテリアルオラクルとは似て非なる生体魔力、エーテル。五龍皇国において、ドラクルの支配下にある全ての生命は、ドラクルにエーテルを献上するための存在に過ぎません。五龍皇国には「民」はおらず、全ては「資源」なのです。このエーテルに関する技術と知識をノイン王国で研究した結果、己の自我や生命を犠牲にすることなく、比較的安全にエーテルを操って戦闘に利用する方法が確立されました。敵たる五龍皇国の技術をもって堕落獣を討つ、それがエーテリアルウェポンです。エーテリアルウェポンの持ち主は、自分が振るダイスを常にチェックし、「攻撃のダメージロール以外で6の目が出た時」に【霊気値】を獲得します。これがエーテルを溜めている状態です。溜めた【霊気値】は、一部のエーテリアルパーツの使用時に支払うことで、強力な効果を発揮します。●アストラルノイン王国では長らく、夜空は死の国の光景である、と信じられていました。それは紛うことなき事実であり、死の国は広大なるノインという世界を内部に包み隠すように存在する領域だったのです。そして死の国は、広大なるノインが異世界との繋がりを持ちすぎないように封鎖する防壁でもあったのです。堕落獣との戦いが始まって16年の時が経ち、ついに神々は死の国の「防壁」を緩めることを決断しました。それは五龍皇国との全面戦争の始まりであると同時に、夜空に輝く数多の異世界との繋がりを得ることでもあります。世界と世界の間にある「アストラル界」を経由して、広大なるノインに流れ込む膨大な情報の中には、いくつもの「世界の終わりに立ち向かう力」があります。どの世界でも変わらずに存在する、世界の終わりに立ち向かうための武器。共通認識の産物。それがアストラルウェポンです。アストラルウェポンの持ち主は、自分が振ったダイスを[極星ダイス]として保存しておくことができます。違う出目の極星ダイスが集まるほどに、アストラル界に浮かぶ星々、すなわち異世界との繋がりは強くなります。このことは、アストラルパーツの性能を決める【極星値】の増加として表現されます。●ボルタイトノイン王国において幅広く利用されているエネルギー源、ボルタイト。それは宝石のような見た目をした、内部にエネルギーを溜め込むことのできる結晶です。ある工匠は、このボルタイトに限界以上にエネルギーを注ぎ込むと、極めて強力なエネルギーの放出を起こすことを突き止め、この現象を「力晶石激発現象」と名付けました。このボルタイトが生み出す力の奔流をオラクルウェポンに転用したのが、ボルタイトウェポンです。ボルタイトパーツの中には[激発値]が設定されているものがあります。攻撃を行う際、自分が攻撃に使ったパーツの[激発値]がプラスの値なら、エネルギーの奔流が発生し、敵に強力な一撃を叩き込むことができます。ただし、[激発値]が設定されていないパーツは、ボルタイトにエネルギーを伝えるためには邪魔になるため[激発値]が-1扱いされます。パーツを配置する時点で、ちゃんと激発が起きるように設計しなければならないのです。
『オラクルエンジン』におけるこれまでの戦いは「堕落獣出現から15年後」のノイン王国を舞台としてきました。今回『ドラクルオーガン』では、そこから1年が経過したところが物語の基点となります。堕落獣との戦いが16年目を迎える日、ノイン王国全土に布告が発されます。■ドラクルの支配する領域「五龍皇国」の公表これまでノイン王国は、どこからともなく現れる堕落獣に対し、対症療法的にドライバーを派遣していました。堕落獣の正体が何かも分からないまま、放置すれば国が亡びるという重大な戦いに身を投じてきたのです。ノイン王国と六神教会は、共同で布告を発しました。「堕落獣とは、破壊神ドラクルが支配する異世界[五龍皇国]がノイン侵略のために放った兵器である」「六神教会はこれまで死の国へ通じる道を秘匿していたが、今後は五龍皇国へ反撃するために、一部ドライバーに「死の国を経由して五龍皇国へ向かう道」を開放する」「今ここに、ノイン王国は五龍皇国との戦争状態にあることを明言し、これより五龍皇国への反撃を開始することを宣言する」敵の正体も分からないまま戦い続けてきた日々は終わり、広大なるノインの地は神話の時代以来となる戦争状態に突入します。●五龍皇国とは五龍皇国(ごりゅうこうこく)は、破壊神ドラクルが支配する世界であり、ノインとは死の国を隔てた位置にあります。かつて名を持たぬ死の神の一撃によって葬られたはずの破壊神ドラクルですが、その時に破壊されたのはドラクルの分身に過ぎず、本体は五龍皇国に存在したのです。ドラクルは広大なるノインという世界を侵略し支配するためには、時間を含めた様々なリソースが必要であると判断し、堕落獣を送り出すまでに様々な準備をしてきました。その一環として、他の世界の住民を「鹵獲」して自我を奪い、五龍皇国を拡大する手駒として増殖させていきました。現在、五龍皇国には6つの種族が存在しますが、彼らは全てドラクルの操り人形です。■鹵獲種族の救出かつて神話の時代、ドラクルがノインの地を攻めた時、ドラクルはノインの住民を操り兵士として戦わせました。その時は、ドラクルに操られた者を救う手段はなく、広大なるノインは蹂躙されるがままでした。しかし今は、五龍皇国に鹵獲された者をドラクルの支配から解放する手段が分かっています。五龍皇国の戦力を削ぐため、そしてドラクルに操られた罪のない人々を救うため、ドライバー達の使命に「鹵獲された人々の救出」が加わりました。鹵獲種族のひとつである[アプサラス]の涙には、ドラクルによって消去された自我を取り戻させる力があります。この方法で自我を取り戻し、五龍皇国に対するレジスタンス活動を行っている組織「落涙同盟」と協同して、ドラクルの支配圏を少しずつ取り戻していく必要があります。『ドラクルオーガン』で追加される6個の種族クラスは、全て五龍皇国から救出された[鹵獲種族]です。彼らはドラクルの手によって、より戦闘に適した形に作り替えられています。このことは自動取得特技によって表現されています。
■完結巻『ドラクルオーガン』の追加ルール『オラクルエンジン』シリーズでは、これまで「その本で解禁される新しい要素がタイトルになっている」という法則がありました。その法則は今回も当てはまります。新しい追加ルール「ドラクルオーガン」を紹介しましょう。●新要素・フォーマット『ドラクルオーガン』では新たに[フォーマット]という、PC作成時の区分が設けられます。これは、そのキャラクターがどのルールに従って作成されているかを示すものです。これまでの、オラクルエンジンを使って戦うPCは[OCE]フォーマットとなります。そして、追加ルールであるドラクルオーガンを手にして戦うPCは[DCO]フォーマットです。この2つはどちらかしか選べません。●ドラクルオーガンルール「ドラクルオーガン」とは、破壊の化身たる堕落獣の体内にある、中核たる器官……と噂されていたものです。長らくその存在は仮説上のものでした。しかし堕落獣との戦いが16年目を迎えた日、ノイン王国と魔術学府、そして六神教会が共同で布告を発し、ドラクルオーガンの実在の証明と、その複製品の製造成功を伝えたのです。この日より、新たにドラクルオーガンを動力源とする武器「オーガンウェポン」が戦列に加わりました。[DCO]フォーマットで作成されたPCは、自身の武器のエネルギー源として、オラクルエンジンではなくドラクルオーガンを使用します。これにより、大きく3つのルール変更が入ります。◆Dクラッチ通常なら、各ラウンドの開始時(セットアッププロセス)に行うクラッチロールが、Dクラッチという処理に置き換わります。これは「1〜6の好きな値を宣言すると、自身のシフト値をその値にし、オラクルを大量回復する」というものです。本来なら敵である堕落獣だけしか行えないはずのDクラッチが、PCでもできることになります。もうクラッチロールで出目の悪さに泣きを見ることはありません!◆イナーシャルダメージただし、ドラクルオーガンの利用はリスクも伴います。本来ならラウンド終了時(クリンナッププロセス)に、シフトの高さに応じたオラクルを回復するイナーシャルゲインが[イナーシャルダメージ]に置き換わります。シフトが高ければ高いほど、より大きなダメージを受けるため、無計画にオラクルを消費していれば、文字通り命で代償を払うことになるでしょう。◆オーバードライブの制約ドラクルオーガンの力を持ってしても、PCが《※カーネイジ》をはじめとした「種別:DD」のオーバードライブを使用することはできません。もちろん《※ラストダンス》もです。さらに、オーガンウェポンは一部のオーバードライブへの不適合が確認されています。ダイス目という運を、オラクルの気合で制御して戦うオラクルウェポン。命を賭けて、自ら死地へと踏み込み戦うオーガンウェポン。どちらを選ぶかは、ドライバーであるあなた次第です。