ドールン役の水上武です。チェーホフの作品に出演すると毎回思う。どう演じても正解だし、何をやっても間違っている、と。それくらい広く深く人間が描かれている。今回やらせていただくドールンは聖人君子として演じられる事が多い。それはそれで間違っていないと思う。だってそんな感じで描かれているから。でも、蕩児愚人(とうじぐじん)の僕には、そんなドールンは演じられない。だから僕なりのドールンを演じようと思っています。たぶんチェーホフには怒られると思う。でもそれも面白いねって言ってもらえる気がする。だって、彼の描いた人物たちは何をやっても成立するから。コロナ禍の今の状況で劇場に足を運んで下さいとは言えないのですが、個性豊かな役者たちが、稽古でワクワクする芝居を演じております。正解ではないかもしれませんが面白い『かもめ』になると思いますので、是非ライブで観ていただけたらと思っております。
写真は「かもめ」第3幕のアルカージナ(鳥越さやか)とソーリン(三木美毅)。作品の中では兄妹の二人。昨日の稽古では、その関係性を越えたものがそこにはありました。2人は27年前に同じ学び舎で出会い、以後、いくつもの即興劇をし、慕い、慕われ、本当の兄妹ように関係を築いてきました。何年もの空白があっても、隣にいるだけで温かく守ってくれるような、そんな存在。演出のまんぼも「いつかはこの2人のアルカージナとソーリンを見てみたい」と願っていました。そして、ソーリン家で、流行作家トリゴーリンに決闘を申し込む騒ぎを起こすトレープレフ(佐山尚)とアルカージナ。作品の中では親子。たくさんの葛藤や悩み、救いを求め、泣くトレープレフに「泣くな」と一喝しつつも正面から息子を受け止めるアルカージナ。母と息子、時に複雑な感情がぶつかり合い、反発したり、脱したり、でも誰よりも理解者で、ひと言では言い尽くせない愛情を注いでくれる。ここにいたのは、演技を越えて、紛れもなく、目を見て、心の内をあらわに出した本当の親子でした。兄妹、親子、それぞれの関係性やを目にした自分たちには踏み込めない2人だけの空気がありました。そしてこの稽古場にいたみんなが存在の偉大さに心の中に熱いものを感じ、涙しました。作品の良さとは違う大切なものを感じることができた空間でした。プロジェクト終了まで35日となりました。一人でも多くの方にこの作品を観ていただきたく、キャスト、スタッフ日々試行錯誤しながら精進しております。達成に向けて、皆様の少しのお力をお借りできれば幸いに存じます。何卒よろしくお願いいたします。
アンヌシュカ役の鈴木千賀子です。目の前には湖がある長閑な田舎暮らしの中、女優のアルカジーナが愛人と共に帰って来た事をかわきりに、あっちでもこっちでも事件が起こるんです。どんな事件かって。それはもう何てったって、恋です。ただひたすら恋焦がれる悲恋もあれば、若い相思相愛から、移り気な恋、はたまた強引な恋、そして、大人の恋…それぞれの登場人物の「掴み所のない不安」に葛藤する姿は、どの登場人物にも感情移入する事が出来ます。老いも若きも熱い情熱には、年齢は関係ない様ですねぇ。ちょっと気になりましたでしょ決っして古典だから、チェーホフだから、堅苦しい、などとは思わないで観劇なさって下さい。どの登場人物に感情移入しても良いですし、すんなり出来ますし、どんな解釈をしても成り立つ自由度がある様に思えます。ですから、逆に難しいと言われるかもしれませんが、どんな解釈をしても自由で良いです。それじゃ〜、チェーホフに叱られる。大丈夫ですよもう、亡くなっていますから(笑)これは稽古の時、今回の演出家マンボ氏の語録からです。是非、劇場にお運び頂き、想いを巡らしお楽しみください。心からお待ち致しております。有難う御座います。
こんにちは。Art-Loving広報宣伝の三上です。私たちArt-Lovingが活動報告や告知、新着情報の共有の場としておこなっているライブ配信「Art-Loving Lab」。今晩よる9時半よりスタート!本作品「かもめ」演出であり、当カンパニー代表のまんぼと、演出助手の西村めぐみがゲストを迎えて、トークを繰り広げていきます。本日のゲストは、ソーリン役として、出演する、合同会社ミキミキ・コネクション代表の三木美毅さん。3月末の本番に向けて、リハーサル中の「かもめ」について熱く語ります。どうぞ、お見逃しなく!お時間ございましたら、Art-Loving YouTubeチャンネルならびにTwitter等でご覧ください。YouTubeはこちら▼https://youtu.be/R26Zj2akZn8過去の配信もアーカイブとしてご覧頂けます。良かったらYouTubeのチャンネル登録、Twitterのフォローもお願いします。
Art-Lovingプロデュース公演 vol.6「かもめ」は、今、本番に向けて一歩一歩進んでいます。その一歩一歩は、ただ作品を面白く、良いものにするということだけではなく、キャスト一人ひとりが演じている役とともに、その俳優自身をも一緒に成長しています。そして、正解、不正解ということよりも、その役がこの作品でどう生きているのか、どう生きていきたいのかを模索しながら、日々、探究しています。チームワークの良さはもちろんのこと、お互いが尊重しあい、何か迷いが生じれば、お互いで意見を出し合いながら、時に厳しくも、そこには温かさがあり、信頼があり、それが糧となり、そこから答えを見つけて、そして、またチャレンジしていく。一つのものに向かっていくキャストの「絆」が稽古場で垣間見られます。現在、このプロジェクトは、目標達成まで、もう少しで50%に到達しますが、まだまだ先は長く、達成するには皆様のお力添えが必要となります。皆様の少しのお力が、キャスト、スタッフの励みとなり、このプロジェクトの達成へとつながります。また、各リターンのご支援により、私たちは、演劇に、この作品に興味のある小学生、中学生、高校生、専門学生、演劇養成所生、大学生の中から後日、ご応募の方いただいた方には無料で鑑賞できるチケットをご提供したく、ご支援を募っております。何卒よろしくお願いいたします。