『ハローグッバイ』とタイトルを聞いて
思い出したのは遠藤賢司の同タイトルの名曲だった。
あれ?確かくるりも、そんな曲あったけな
ワンダーフォーゲルの歌詞だ。
この写真集を見て色んなハローグッバイを思い出した。
特にグッバイを。
先日友人が亡くなった。急すぎる話で心の整理もつかない。
グッバイを一方的に突きつけられた形だ。
『元気?』『またね!』と言ったのはいつだったけかな。
悲しくて辛い。思い出も上手く手繰り寄せれない。
そんな時に写真集についてコメントをと、大阪からグッバイした柿本くんに頼まれた。
何組もの出会いと別れが写っていた。
初めましてなのか、友人か知人かわからない、数時間だけの出会いと別れだったりもするのだろう。
当たり前のように出会いは少し緊張し、別れの時には少しほぐれている気がする。
緊張はカメラを向けられているせいでもあろう、緩和はお愛想かもしれない。
ほぐれる人、ほぐれない人、ほぐれたふりをする人
様々な気がした。ほんの少しだけその人達の人生に思いを馳せる。
カメラマンと被写体が、どんな時間を過ごしたのかは想像するより仕方がないが、その部分にはさして興味はなく
自分だったら絶対嫌だなこの時間と思ってしまった。
コロナ禍で戦争で先行きの見えない未来に不安を感じてなのか、男の更年期障害か、
もうハローもグッバイも疲れてしまってる。
50組のハローとグッバイにうんざりしてしまうのだ。
これが素直な感想だ。
それでも皆、騙し騙し明るめの声を出し楽しそうな話題を捻り出し、時に真面目に政治や文化の話をし
平穏な世界を演出するのに一役買ったつもりで過ごし、当たり前の状態を探しながら生活は続いていくのだろう。
この写真集は見ない方がいい人が沢山居る気がした。
それだけの主題でありそれだけ力があると思った。
データでしか見てないこの写真が、紙に印刷され手元に届いた時また違う感想を抱くかもしれない。
ページを捲る動作、紙質、匂い、色味、サイズなど本にならねば伝わらないものが沢山ある。
だから僕は、今の所苦手な主題のもと作られたこの写真集を楽しみにしている。
もしかしたら写真集を閉じた後、会えてない友達に『調子どう?』『元気?」なんて連絡しまくってるかもしれない。
涙を流しながら。
最後に、この文章を書くにあたりずっと頭の中から離れない言葉があった。
寺山修司でも井伏鱒二でも良いのだが
『さよならだけが人生だ』
高校時代に知った名言。
友人達よ、次会うのはいつになるかわからん
だからコップに並々の酒をついでおくれ。
「café & curry Buttah」店主・川崎誠二
https://www.instagram.com/currybuttah/
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大阪・東心斎橋の長屋の中にある今年で20年目に突入したカレー店「café & curry Buttah」の店主・川崎誠二 氏
大阪カレー文化の先駆けである。
カレーのファンはもちろん、カレー店というジャンルにとらわれない川崎氏。
さまざまなアーティストからの信頼はやはりこの方なしでは語れない。
ボタ独自のグッズ販売や毎年発売される『BIJIN CURRY CALENDAR』も全国区で大人気。
音楽とカレーのイベント『ボタとサーカス』も主催。
僕は20年近く川崎さんの、buttahのファンです。
この写真集を出すにあたり、まず写真を見てもらいたかった中のお一人。
川崎さんなくして僕の人生はまた違ったものになっていたと思います。
川崎さん、本当にありがとうございます。