公演関係者のからのコメントや、マームとジプシーがお世話になっている方々より応援コメントを続々といただいております。初めてマームとジプシーを知ってくださった方もいらっしゃると思いますので、コメントをいただいた方との関係性と共に活動報告にも日々紹介させていただきます。
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鮫島拓・鮫島睦子(一級建築士、ON THE SAME HOTELオーナー)
繰り返し聞こえてくるひかり
『演劇って、その劇場や役者や観客があって、その時その場でしか生まれないものなんです。』的なことを藤田さんが言っていた気がします。
初めてマームとジプシーの演劇を見たとき(演劇自体初めて見たのですが)ずっとその言葉が耳の奥で響いていて、舞台の前に座り、青柳さんが出てきた瞬間に空気が変わり、一気にその世界感に吸い込まれた時、本当にその通りだと思いました。
だけど同時に、たとえ臨場感や緊張感を失ったとしても、もっと多くの人に見てもらうべき素晴らしい作品なのにもったいないなと思いました。そのあと、cocoonを見た時も、全く同じことを考えていました。
Light houseとcocoonでは、全く違う空間がつくられていました。
Light houseが日常の無意識の世界に迫るものとすれば、cocoonは現実に過去に存在した世界に迷い込んだ様な混乱の世界に誘われるようでした。
その土地や人に耳を傾ける行為は地道、まさにフィールドワーク。そこから作り込まれる世界が洗練されているがゆえに、描かれる日常の何気なさは鋭さをもちます。
作家はこの一瞬を生み出すために本を作り、演者はその一瞬を表現するために息をし、観客はその一瞬を心にしっかりと繋ぎ止めるように見る。
我々は、建築士として都市や建物の空間を設計し、ホテル運営(といっても2室だけですが)を通じて沖縄を訪れる人たちと出会います。
空間から何か心に残るものを感じてもらうということを大切に活動しています。
演劇を”見ること”はとても瞬間的な出来事で、これまでにない経験でしたが、演劇を”つくること”とはどこか我々の作り方似ている様に感じていて、俯瞰的で、連続的な断片の繋ぎ合わせで、たくさんの人が関わって作り、様々な思いを重ねたり隠したりして、そして多くの誰かに届けようとして作られるもの。
マームとジプシー作品から感じるのは、目の前の人に向けて語られているような、にもかかわらず普遍的であるような、不思議な感覚。
繰り返し聞こえてくるセリフは、同じようで一つとして同じではない。それはとても共感できると共に、我々にたくさんの新しい視点を与えてくれるものでした。
作品が劇場を超えていく時代になってきたのか。
藤田さんの突出した才能と、それを支え実現していくマームとジプシーの総合力はなによりも信頼できると思います。
そして、沖縄を舞台に2つの作品を作ってくれたことをとても嬉しく思います。
このひかりが、多くの人に届きます様に。
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鮫島拓さん・睦子さんご夫妻とは「Light house」の際、沖縄で営みを持つ方々との対談シリーズでお話をさせていただきました。
お二人は那覇の松尾にあるON THE SAME HOTELを経営されています。もちろん、このホテルもお二人が設計されました。
マームとジプシーでも、以前「IL MIO TEMPO」というホテルを舞台にした作品を作っていますが、それにはホテルという空間がとても演劇的だという理由が一つありました。
その場所に何かを建てるということは、当然この街や人との関係性を考えることであり、それがホテルであれば、いつもはそこにいない人々の日々をデザインすることだと思います。
お二人と話をする中で、建物を建てるプロセスや空間性への視点など、演劇と重なり合う部分が照らし合わせるようにいくつも出てきました。
なはーとで公演をした際は、あまり演劇を観たことがないというお二人が「おもしろかった」と評価してくださったことで、一気に喜びと安心が込み上げてきました。
建築というお二人の視点から受けとられた作品への共感が嬉しかったこと、そして沖縄の街のことを日々考えながら営みを送られているお二人に、私たちが向き合ってきた沖縄のかたちを認めていただいたように感じました。
※こちらもぜひご覧ください。
おきなわいちば presents対談シリーズ 「沖縄での営みをめぐる」vol.5
鮫島拓・睦子(一級建築士、ON THE SAME HOTELオーナー)×藤田貴大