障害者権利条約では障害者の生活におけるあらゆる権利が定められていて、その権利をもっと詳しく説明した「一般的意見」では、より生活の即した権利が具体的に書かれている。
例えば、アクセシビリティ(いわゆる物理的なバリアフリーや、視覚障害や聴覚障害など、あらゆる障害のある人が利用できる情報通信のアクセシビリティなど)を説明した「一般的意見第2号」では、障壁(バリア)の撤廃を締約国に義務付けている具体的な事項を次のように挙げている
「建物、道路、輸送機関その他の屋内外の施設(学校、住居、医療施設および職場を含む。)」「その他の屋内外施設には、とりわけ、法執行機関、裁判所及び刑務所、社会機関、社会的交流、娯楽、文化的、宗教的、政治的活動及びスポーツ活動の場と、買い物施設が含まれる。」
「情報サービス、通信サービスその他のサービス(電子サービス及び緊急時サービスを含む。)」
「その他のサービスには、とりわけ、郵便、銀行、電気通信及び情報サービスが含まれる。」
この部分を最初に読んだ時、正直、「こんなに細かいところまで書かなくてもいいのでは」と思った。でも改めて考えてみると、一見、細かく思えることも、娯楽やスポーツ活動など、一人の人間の人生においてはどれも欠かせないものである。そして、一見、些細なことに見えてしまうからこそ、本当は社会の環境が整っていないのが問題なのに、「このくらい我慢すればいい」と、障害者本人も周囲の人も思ってしまいがちなのではないか。障害者が自分たちの権利を定める形でできた障害者権利条約だからこそ、「どんな些細に見えることでも、障害のない人が当たり前にやっていることなら、障害者だって当たり前にやる権利があるのだ」と、はっきり意思表示できたのかなと、一般的意見第2号を読みながら思った。世界中の障害者リーダーたちが作った障害者権利条約だから、世界共通言語として、世界中の障害者をエンパワーメントすることができるのかなと。