もともと馬の養老牧場だったオープンセサミですが、今では豚や鶏、うさぎ、猫も保護しての大所帯です。私たちは飼い主のいない猫の不妊去勢手術をする地域猫活動(TNR)もしています。その中で怪我をしていたり病気で弱っている猫たちを保護して、セサミの猫舎には現在32頭の猫がいます。猟銃で撃たれた子やトラバサミ罠にかかり脚を失った子、交通事故で下半身不随になった子など、ハンディを抱えた子たちもいます。くろちゃんは猫風邪がひどく、保護した時には右目が飛び出すくらいに腫れ上がっていた生後2ヶ月ほどの子猫でした。病院から頂いた目薬や痛み止めの内服などを毎日我慢強く頑張っていました。目の症状は良くなったけど失明しているかもしれない状態で、でも室内で暮らすなら何の問題もないねと喜んでいました。10日ほど前から急に元気がなくなり、ごはんもあまり食べなくなったので病院へいくと、急性腎不全とのこと。入院して治療してもらい、ぴょんぴょん飛びはねるくらいにまで回復し、ごはんもしっかり食べられるまでになっていたのに。週明けに退院するはずでしたが、昨日突然に急変し、そのまま虹のはしへと旅立ってしまいました。小さなお花を両手で抱えるように持たせてもらって、キャリーの中で静かに横たわっているくろちゃん。先ほど猫舎に戻ってきました。「くろちゃん、お帰り」もう嫌だった目薬もお薬もないね。小さな体で、最後まで本当にお利口さんだったね。悲しいけど、しばしのお別れ。もっとくろちゃんと居たいけど、泣いてばかりはいられないから、また明日から馬小屋作り頑張るね。セサミに来てくれて、ありがとう。また会おうね。
台風による馬小屋の倒壊からもうすぐ1ヶ月になります。今は毎日、朝から夕暮れまで。気がついたらもう1ヶ月経つのかと驚いています。仮の馬小屋建設は毎日少しずつですが、沢山のボランティアさんの力を借りながら完成に向けて進んでいます。今日は外壁を取り付けるための樽木を30cm間隔で取り付けました。日中は夏に逆戻りしたような汗ばむ暑さ。地道な作業ですが、馬たちが喜ぶ姿を思い浮かべながらみんなで力を合わせて頑張っています。みなさまからの応援メッセージ、とても励まされています。引き続き応援よろしくお願いいたします。
セサミには、34歳、人間でいうと130歳の高齢馬がいます。名前はパンナコッタ 通称『ぱんちゃん』ももさんが、ある熊本の肥育牧場を訪れていた時に、北海道から沢山の肉馬がその牧場に送り込まれてきたのですが、その馬たちの中に、ぱんちゃんはいました。ももさんはすぐにぱんちゃんが妊娠していることに気付き、その牧場主に「あの馬は珍しい毛色をしている。妊娠しているみたいだから、子馬を産ませたらどうか」と持ちかけました。ぱんちゃんができるだけ肉になるのを回避できるチャンスを作りたかったのです。その肥育牧場では毎日のように、4~5頭の馬たちが肉にされるため屠殺場に送られていました。常時80頭近くいる馬たちが肉になるまで、そんなに日数はかかりません。ももさんの提案をのんでぱんちゃんに子供を生ませた牧場主は、ぱんちゃんと同じ珍しい毛色の子馬が生まれたらことを喜んでいました。乗馬クラブなどに売れば、高い金額になります。肥育牧場で、ぱんちゃんは産まれた我が子を一生懸命子育てしていました。しかし、温厚で優しいぱんちゃんは、他の気の強い馬から追い払われて、ごはんをなかなか食べることができません。そのため、ぱんちゃんの子馬は痩せほそり、しばらくして亡くなってしまいました。子馬を亡くしたパンちゃんは、生きる気力を失い、水も食べ物も何も口にしなくなり、痩せ細っていきました。子馬を失った悲しみから毎日毎日涙を流し、その場に倒れ込み起き上がらなくなってしまったのです。それを聞いたももさんが、肥育牧場のオーナーからパンちゃんを肉値で買い取り、ぱんちゃんはセサミにやってきました。セサミに来てからも、ぱんちゃんは悲しみに暮れて何も食べようとしませんでした。生きることを、拒んでいるかのように。当時ボランティアに来てくれていたみんなで、何を食べさせたら喜ぶかなぁと、笹の葉やいろいろな物を山からかき集めて、パンちゃんのために持ってきて励ましました。また、同じエリアにいた小雪ちゃんやチビちゃんなどのかわいいポニーたちが、パンちゃんには亡くなった子馬のように見えていたのかもしれません。みんなの思いや、かわいいポニーたちに励まされ、勇気づけられたパンちゃんは、次第にごはんを食べるようになり、少しずつ元気を取り戻していきました。ぱんちゃんがセサミに来てから、約13年になります。ももさんが辛く苦しかった時も、ずっと毎日そばで見守ってきたぱんちゃんです。悲しみを乗り越えた優しいぱんちゃんの眼差しは、セサミを訪れる人をいつもあたたかく迎えてくれます。ぱんちゃんは宝物。またまだ元気でおってな。MOMO
まお君エリアの馬小屋が倒壊して12日目。解体作業、整地を終えて、仮の馬小屋を作る作業が続いています。骨組みを、保工業の精鋭さんたちに作って頂き、今日からは屋根にたる木を這わせる作業に入りました。ここからは、ボランティアさんたちと力を合わせながら作っていきます。馬たちの仮小屋を一緒に作りませんか?ボランティアさんいつでも大歓迎です。
セサミには優馬の他にも、神馬(しんちゃん)というハンディをもつ馬がいました。しんちゃんとの出逢いは、肥育牧場で働く女の子からの電話で「牧場に連れて帰ったが転んで自力で起きられないポニーがいる。手が掛かるから放置されている」と連絡が入ったのです。私(MOMO) は、セサミから2時間30分の道のりを急いでその場所に向かいました。何故なら、いつから倒れているかわからないし、ずっと放置されたままだと命に関わる熱中症にもなりかねない。「無事でいて」と祈りながら軽トラを走らせました。牧場に着くと、これまた小さな栗毛のポニーがヌカルミの中に転んでいました。近ずいてみるとあまり見たこともない程の重度の障害のある子馬でした。馬の特徴でもある長い首がなく、しんちゃんは頭のすぐ後ろに肩がありました。背中は丸く、前後から押し潰された様に見える姿でした。顔は、受け口のオランウータンと見違えるほど愛嬌のある顔でした。私は衝撃を受けながらその子馬を抱き抱え、そのまま軽トラに乗せて来た藁の中にしんちゃんを乗せました。その後立たせてみると、両前脚とも足首が全然曲がらず、何とか歩くけれど爪先立ちで前進するしかない歩行状態。しんちゃんを連れて帰ることに、迷いはありませんでした。大きさも優馬君と同じ位で、ハンディがあっても1頭も2頭も変わらん、と自分に渇を入れて連れて帰る事にしました。それは、想像を絶する介護の始まりでした。優馬くんと同じエリアに入ったしんちゃん。爪を切るのも寝転んだ状態で切らなければならず、爪を切っていると、他の足で容赦なく思いっきり蹴られる。優馬君は、寝転んでも自力で起きれますが、しんちゃんは転ぶと自分では起きあがることができません。夏場は日中に 転ぶと熱中症になったり、突然の雨に濡れて低体温になってしまったり。 一瞬たりとも気を抜く事の出来ない日々が続きました。夜は夏布団を四つ折にして四隅をゴムでずれないように絞り、しんちゃんはその布団の上で毎日寝転んでいました。20時、12時、3時、6時と、3~4時間おきにしんちゃんの体を抱え起こして体位変換しなければならず、自力で起き上がれないしんちゃんは、寝たままおしっこも糞もしてしまいます。毎日新しい布団に入れ替えなければなりませんでした。それでも 床擦れが出来てしまい、しんちゃんは褥瘡との戦いでした。それでもセサミにお客さんが来ると、優馬くんとしんちゃんは、一歩一歩、一生懸命歩いて みんなの所に出て来ていました。その一生懸命な姿が涙が出るほど愛おしく、介護の苦労も吹き飛ぶほど嬉しかったし、勇気づけられました。来たお客さんもこんなに頑張って生きてる二頭を見て、「私も負けずに頑張るよ~」とか「勇気出た~!可愛い!」と言っていました。優馬くんもしんちゃんも、セサミのアイドルでした。生まれながらのハンディキャップがあったしんちゃんも優馬くんは、沢山の人に勇気を与えました。オープンセサミで最後まで一生懸命共に生き抜いた、かけがえの無い家族です。今では虹の橋の住人、いや住馬ですが、きっと セサミの仲間達を見守ってくれていると思います。 しんちゃん ゆうちゃんたくさんの大きな愛をありがとう一緒に生きた事 絶対に忘れないよ