さて、前回は逞しく生きるヌーとシマウマのお話をしました。
知れば知るほど生きる尊さを教えてくれる野生動物達ですが、密猟と隣り合わせの環境で生きていることも事実です。
私たちが活動を開始したニャンブリ村はセレンゲティ国立公園に隣接したエリアで、ここに暮らす子供達は、生まれた頃から日常的に野生動物が当たり前にいる環境で育ちます。
タンザニア現地にいるポールによれば、ある子供は、家族の食糧用に、犬を使って小動物を追いかける狩りを始め、やがて村の人に肉を売ってお金を稼ぐための密猟となり、さらに手っ取り早く大金を得るための密猟を行うようになりました。
このように野生動物達があまりにも身近な存在である分、その尊さに気付かないまま罪の意識なく密猟の道へ足を踏み入れる状況があるそうです。
彼らが密猟以外の職業を選択することができ、それによって生活がよくなり、自然に密猟がなくなるきっかけこそ、「教育」であるとTOFAは考えています。
TOFAでは教科書支援の贈呈時、日本人メンバーが同行するように心がけています。
それは、動物たち、大自然が観光資源であること。
それを見るためにやってくる外国人がいること。
同時に、村の出身であるポールが、外国人と対等に話しをしている姿に驚きつつ”教育を受ければ自分もそうなれるかも知れない!”という子供達の夢に繋がるからです。
密猟はダメ!と押し付けられるのではなく、教育を受けることで、自分たちの暮らしている環境やそこに暮らす野生動物がいかに世界的に貴重で、守るべき存在なのかを自ずと知ると自然に密猟はなくせるのと信じています。
現在、ニャンブリ村を含むマラ州では、私たちの贈呈した教科書をきっかけに地域を挙げた教育改革の波が起こりつつあります。
一人でも多くの方に共感頂き、セレンゲティのエネルギー溢れる自然を次世代に残すきっかけづくりにご協力頂ければ、嬉しく思います。