「藍染めという仕事はどんな内容なんだろう…?」という方も少なくないかもしれません。
かく言うわたしも気仙沼に来るまで染めをしたことがありませんでしたし、ましてやそれが仕事になるだなんて、思ってもいませんでした。
でも、想像してみてください。
植物から天然青色色素がとれる様子を。その青色で、生地がみるみる染まっていく様子を。息を呑むほど、世にもうつくしい仕上がりのブルーを。
こんな魔法みたいなことがあるのだろうかと初めて見たときから魅了され、今に至るまでずっと、藍染めの奥深い魅力に、心身ともに惹かれ続けています。
わたしたちの工房は、気仙沼市新町(あらまち)の三角かどに建ち、国登録有形文化財として道ゆく方々をお出迎えしています。こちらも同じく、初めて見たときからひとめぼれの建物でした。
夏は、2階の干し場の窓を開け放ちます。街なかの壁一枚隔てたところに、自然な営みとして藍染め工房があることがお分かりになるかと思います。
ふだんは藍甕(あいがめ)を手入れし、ぬか床のように育てています。色・香り・粘度などから染料の様子を観察し、良い発色が得られそうだと思った日に染めを開始。
染め師の仕事には、この、”藍の機微を聴く”のがとても大切だと考えています。
インディゴ気仙沼の看板アイテムである、やわらかなボタニカルストール。
染め終えた直後は藍を濃くまとい、陽光のなかで陰影を醸し出します。この光景がなんとも言えず流麗で。
そして、染め仕事をしたあとの染め師の手。
染料のその日の塩梅や、染めている最中の生地の繊細なうねりなどが分かりにくいため、素手で染めます。
2-3日は、青い手袋をつけているようなこの手のまま。
街なかでギョッとされることもしばしばです(笑)