2023/05/25 22:23

ロレックス、パネライ、オメガ、ジン、IWC、セイコーをはじめ、高級ブランドと称される時計ブランドの殆どは、軍事向けに時計を製作及び部品供給しておりました。皮肉な事に「時計」と「戦争」は切っても切れない縁にありまります。それどころか戦争が時計に磨きをかけたとも云われております。
諸説ありますが、世界が戦争に突入した時代、あるドイツ砲弾士官が懐中時計を腕に巻き付けたのがミリタリーウオッチの始まりと云われています。1899年~1902年に起こった第二次ボーア戦争でもイギリス軍兵士達が腕時計をしていた事がわかっています。しかし、1916年7月9日にニューヨークタイムズは「腕時計」に関する記事を掲載し、この中でヨーロッパの人々の時計が懐中時計から腕時計へと変化しつつあることを報じています。それまでは懐中時計をポケットに入れておくのが主流だったため、手首に時計を付けるヨーロッパ人を見たアメリカ人は一種のジョークだと感じたとのことが記されています。当時はヨーロッパとアメリカの間には、かなりの意識の差があった事が伺えます。
図らずも戦争が時計に磨きをかけた、理由は必要性からでした。
19世紀末期、通信手段がまだ開発途上であった当時、戦場における“正確な時間の把握は、最重要視すべき切実な課題でした。 前記の砲弾士官にとって、砲弾の到達距離を測るために時計は欠かせませんでした。パイロットは当地図とコンパス、そして時計を使って正確なルートを導き出していました。また時計は飛行時間を計測して距離や燃料を割り出すという重大な役目も担っていました。Buships時計も潜水活動の中で時間の把握により隊員の命を守りました。大規模な一斉射撃から時限式爆弾のセットまで、兵士がすべてのタイミングをそろえるには、時間の共有が不可欠だったのです。米軍では「HACK! ハック!」という掛け声で同時にリュウズを押込み時間を合わせていました。これが転じて、今でもリュウズを引っ張って秒針が止まる事をハック機能と呼びます。ちなみに日本軍は「じかーん!」と言って合わせたとか。どんな優秀な戦略も、それを実行する兵士たちが正確に動けなければ意味を成しません。時間の正確を保つ事は自らの命を守る事でもあったのです。
世界中で戦闘機の駆動音が轟き、爆風と粉塵にまみれた極限の状況下で、トレンチコートのポケットから時計を取り出し、蓋を開けて時間を確認、そしてまた戦場へ意識を戻す必要のあった懐中時計は時間を要する為、腕時計にとって変わったのも頷けます。
Bushipsは腕時計です、無駄な時間を要しません。
添付写真は1955年5月27日発行のCollier's the National Weekly Magazineの表紙の人物はBuships watchを着用しています。左下に記載のThe NAVY FROGMANとはUDTの隊員の呼び名であります。