本著に寄稿する著者紹介をシリーズでお届けする”達人紹介 ”。
第3回目は、この2名の ”コーヒーの達人” をご紹介します。
狹間寛(はざまひろし)
1954年生まれ。珈琲見聞録代表。
半世紀近く専門紙記者としてコーヒー業界を担当、国内外の近現代史に精通。2015年に“珈琲界のマルコポーロ”目指して起業。
一杯が醸成する「やすらぎ」と「閃き」のアンビバレンツ(両面価値)に健康価値を加えたコーヒーの文化的多様性を深耕するため季刊誌『珈琲と文化』の編集に関わる。
持論は「どちらでもあり・どちらでもない」という『はざまの哲学』(野家啓一著)。つまりは優柔不断。
今回は『コーヒージャーナリズムとリテラシー』をテーマに寄稿。本稿では「国際コーヒー協定と国際政治」「半世紀の世界生産とNYC」「2050年問題」などに言及しました。
記者稼業の醍醐味は、スクープと会見の質疑応答での緊張感にあります。過去の会見で知り得たエピソードも満載しました。
小坂章子(こさかあきこ)
1974年長崎県壱岐市育ち、福岡県在住。
平屋に猫3匹と暮らしながら取材・執筆を行う。取材テーマは、自然の素材と人の手によってコツコツと育まれるものづくり。なかでも2007年以来、珈琲と喫茶店をとりまく人々とのご縁が深まる。2010年には、珈琲美美の森光マスターらとエチオピア視察旅行へ。著書に『福岡喫茶案内』『九州喫茶散歩』『九州喫茶案内』(いずれも書肆侃侃房)、企画した書籍に『珈琲屋』(新潮社)などがある
「喫茶逃避行」
タイトルの「喫茶逃避行」は、私が2007年に上梓した喫茶本『福岡喫茶散歩』の帯の一文である。喫茶店や珈琲まわりの取材を始めて、16年。自分にとっての心和む喫茶店は、安心して逃げ込める居場所なのだということを、今回の執筆を通して再認識させられた。そして珈琲について無知だった頃からずっと、個人的に好きな喫茶店のタイプは変わらない。それにしても私は、一体何から逃げたいのだろうか。締め切り? 世間体や常識? いつか訪れる別れや老い、死? あらゆる変化? 答えはひとつじゃなさそうだ。そう、万物は変わり続けるし、歳月とともに微かな変化を重ねながら培われてゆく普遍性というものに、私は大きな魅力を感じている。街になくてはならない喫茶店もそのひとつ。自分の心身の健康を守るシェルターのような存在である。今回は、そんな私の喫茶愛について独断と偏見で書いてみた。