本著に寄稿する著者紹介をシリーズでお届けする”達人紹介 ”。
第9回目は、この2名の ”コーヒーの達人” をご紹介します。
中根光敏(なかねみつとし)
美味しい珈琲を求め、珈琲店をめぐり歩いているうちに、職人が淹れる作品のような珈琲を自分で淹れることを目指して、自家焙煎珈琲店で修行したことをきっかけに、green beansを仕入れて自宅で焙煎を始める。
なぜかコーヒー農園に行かねばと思い込み、インドネシア・スマトラ島へ。生産地で、コピ・ルアクやエイジド・マンデリンなどに出会い、豊饒なコーヒー文化にすっかり魅了されて度々訪れることになる。
コーヒー農園で初めて口に含んだコーヒーチェリーの美味しさに魅了され、果実のような珈琲を作ることを目指して、green beansをAgingし、Own Wash・Own Dry・Own Roast・ネルドリップを手探りで模索している。
島根県浜田市ヨシタケコーヒー認証審査委員。一応、本職は社会学者なので、消費社会論の視角から、インドネシア、台湾、ソウル、シンガポール、ベルリン、ライプツィヒなどのカフェ文化も研究しているが、購入した生豆が2トンを超えてしまった。主著は『珈琲飲み』洛北出版。
細野修平(ほそのしゅうへい)
1959年に創業した昴珈琲店創業者の長男として、1967年、広島県呉市に生まれる。幼少時より、常に傍らにコーヒーが存在する空間で育つ。1992年、両親の後を継ぎ、同社代表に就任。
モノマネや、模倣を嫌悪し、独創を是とする「SUBARU・ISM」は、コーヒー業界内にあって、孤高の存在となりつつある。
創業早期より「日本は第二のコーヒー生産国である」と提唱し、数々のブレンドコーヒーを生み出してきたが、創造の根底にあるモノは、常時、ヒトの意思であり、流行や、ファッションからは、最も遠い位置に存在するコーヒーである。
ブレンドコーヒーとは、昴珈琲店の意思や思想を込めた「作品」と同義であり、それ故に、同じ匂いを嗅ぎ取った、映像、音楽、絵画の世界に棲むアーティストたちからのリクエストも多い。ブレンドコーヒーで「何か」を表現する、その片鱗が、ヒントとして文章に踊る。「他者と異なるコーヒー」をその手にしたいなら、必読と言っていい。