1940年チャコスロバキアがナチスドイツに占領されると、屈指の戦闘能力をもっていたチェコスロバキア航空部隊はイギリスに亡命し、英国軍としてドイツと戦いました。これが英空軍初めての外国人編成航空隊"イギリス空軍第310飛行隊"です。彼らのモットーは"Fight to rebiuld" "再建の為に戦う”でした。結成当初はイギリス人のアレックス・ヘスとチェコスロバキア人のダグラス・ブラッグウッドの二人のリーダーのもと結成され1945年新しいチェコスロバキア空軍の飛行機隊として戻るまで活躍をしました。写真は1940年9月戦闘機ホーカー・ハリケーンの前に立つ310飛行隊のパイロット達です。
前列左のパイロットが腕にしているのがラージクッション時計がマジェテックウォッチです。イギリス軍配給物にはブロードアローと云う矢印”↑”マークがついています。それに代わるチェコスロバキア軍所有のマークが"cross blade" ”交差する剣”マークです。個体によっては裏蓋に刻印されているものや文字で軍所有(Majetek vojeke spravy ここからマジェテックと言われています)と刻印されています。その中でもごく少量ですがケース正面左ラグに"cross blade"が刻印されている個体があります。
正面の"cross blade"刻印の理由は諸説あります。
イギリス軍としてチェコスロバキアから亡命し祖国再建の為に戦う勇敢な彼をたたえて、"cross blade"刻印をした。
連合軍として戦っているがチェコスロバキア人として祖国再建を胸に秘めて"cross blade"を時計正面に刻印した。
その後もチェコスロバキア共和国は紆余曲折のつづく歴史に身を投じていきますが、1935年頃から1940年代にかけてわずかな期間のみ作られたウォッチですが、世界の名だたるパイロットウォッチの中でも屈指の性能を誇る時計であった事は間違いありません。
By Stanley Arthur Devon - http://media.iwm.org.uk/iwm/mediaLib//52/media-52909/large.jpgThis photograph CH 1299 comes from the collections of the Imperial War Museums., Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=24467548