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モロッコ風景絵本「はげたかの旅」出版:野鳥保全への貢献も目指して

2024年春、モロッコの風景を織り交ぜた絵本を出版します。幽閉と自由、母子愛、旅への憧れや帰郷をテーマとし、誰にでも必ずどこかしらで共感頂ける物語だと思います。コウノトリに育てられるハゲタカを主人公とするこの絵本出版からの収益は、モロッコの野鳥保全団体に寄付します。

現在の支援総額

821,000

76%

目標金額は1,068,300円

支援者数

118

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2024/01/16に募集を開始し、 118人の支援により 821,000円の資金を集め、 2024/03/12に募集を終了しました

エンタメ領域特化型クラファン

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モロッコ風景絵本「はげたかの旅」出版:野鳥保全への貢献も目指して

現在の支援総額

821,000

76%達成

終了

目標金額1,068,300

支援者数118

このプロジェクトは、2024/01/16に募集を開始し、 118人の支援により 821,000円の資金を集め、 2024/03/12に募集を終了しました

2024年春、モロッコの風景を織り交ぜた絵本を出版します。幽閉と自由、母子愛、旅への憧れや帰郷をテーマとし、誰にでも必ずどこかしらで共感頂ける物語だと思います。コウノトリに育てられるハゲタカを主人公とするこの絵本出版からの収益は、モロッコの野鳥保全団体に寄付します。

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Report Vol. 5 目次
1.Before & After
2.海のもの
3.丘のもの


1.Before & After

クラファン終了日(=校了&印刷所への入稿予定日)まで2週間を切りました。初校コメントを反映した再校原稿が先週上がってきて、編集作業も順調に進んでいます。

今回絵本が商業出版されるにあたり、編集者さんやデザイナーさんと相談の上、原作とは変更した部分が結構あります。もちろん、原作を見ていない人がほとんどなのですが、出版バージョンだけの主な工夫をご紹介します。

(1)命名

私の原作では、登場する鳥たちに名前はついていませんでした。「ハゲタカの若者」、「ハゲタカの女の子」、といった具合に。でも日本で出版するには、固有名詞をつけた方が読み手が感情移入しやすい(且つ文章もすっきりする)、という出版社側の繰り返しの助言により、名前をつけることになりました。

であれば、実際にモロッコで保護されている実存するハゲタカの名前にしては、と考え、バードライフ・モロッコの会長さんに相談したところ、名前はつけていない(番号で管理)、とのことでした。命名するなら、北アフリカ先住民の言語ベルベル語(モロッコ公用語の1つ)の名前がよいと思う、と、会長さんが一緒に考えてくれた名前とその意味は、以下の通り:

ハゲタカの若者 = アニル(Anyr):意味は「天使」
ハゲタカの女の子 = ララ(Lalla):「ご婦人」、"My Lady"
ララの娘 = ティティ(Titi):「悪行から遠ざかる者」

当初、私はハゲタカたちに名前をつけることには消極的だったのですが、良い名前が見つかったのでよかったと思っています。

(2)アジンの魔法の筆

お風呂に入っていて、ふと、表紙の題字をアラビア文字風にしたら面白いのでは、と思いつきました。編集者の方もそれはよいアイディアと言って下さったので、ロリと共にプノンペンでNowhere Art Studioを共同設立・運営するアーティストのシャルルフィクリ・サレ(通称アジン)にデザインを依頼することにしました。マレーシア出身の彼はアラビア文字にも馴染みがあり、しかもアートスクールでタイポグラフィーを教える先生でもあります。喜んで引き受けてくれました。

彼の創作が加わったことで、モスクを描いた表紙にイスラムっぽい個性がさらに加わり、異国情緒が増したと思っています。乞うご期待。

出版社側の編集者さんやデザイナーさん、営業担当さんも含め、これまで当プロジェクトのクリエイティブ・チームは全て女性だったので、初の男子参戦。ロリとアジンは私が尊敬するコンビなので、二人の共同作品ともなり、大変嬉しく思っています。

彼らのポップで愛らしい作品は、商品のラベルになったり国際空港で売られるようになったり、最近人気上昇中です。モロッコよりずっと近いカンボジアのプノンペンに行かれることがあったら、緑とアート作品でいっぱいの彼らのスタジオに、是非立ち寄ってみて下さい。

(3)幾何学の花

ラバト旧市街のモザイクタイル異国の雰囲気をより高めよう、と、モロッコの多くの建物を飾るイスラム幾何学モザイクタイル(ゼリッジ zellige)の模様を、見返しに入れていただきました。見返しは、本を開いたらぱっと目を引く黄系となる予定。アニルが、ララに贈る花を摘むために毎日飛んで行く花畑のようです。

日本では岐阜のローズガーデンに、モロッコから来た職人達が作った本場ゼリッジに飾られた庭園が一昨年オープンしています。

ラバト郊外の花畑

(4)「自由に生きるのも、ラクじゃないよ」

原作では、ハゲタカの若者が旅をする檻の外は、広くて美しい風景の広がる世界としてしか描かれていませんでした。編集者さんの提案で、外の世界の厳しさも感じさせる部分を、少しだけ追加しました。

でもアニルにとっての、外の世界の一番の厳しさは、大好きなお母さんとララと一緒にいられない、という事実なのだと思います。

(5)おでかけ仕様

私がモロッコで印刷した原作は、B5サイズでした。ロリが初めてデジタルで挑戦した挿絵も、B5の設定で描いてもらっていました。しかし、この出版社的には、彼女が設定した解像度ではB5サイズの絵本印刷には足りないとのこと。印刷の質に求められるスタンダードの違いを感じました。今後の大きな教訓です。結果、出版サイズはメインページで書いた通り、一回り小さくなってA5です。

手軽に運べるこの絵本は、出版社の「おでかけBook」シリーズの仲間入り。邪魔にならない、ちょっとした贈り物にもしていただけそうです。

そして自費印刷版と大きく違うのは、上製本印刷でハードカバーになること。自分の創作が本として出版されることも夢のようですが、それがハードカバーなんて、本当にどきどきします。

2.海のもの

波を切る 大きな鉄の塊の船と 
海原に飲まれそうな 小さな釣り船を見ました。
岩場の潮たまりで 紫貝を拾う日焼けした男たちや
海に注ぐ川で 泳ぐ子供達を見ました。

― 「ハゲタカの旅」

ある冬の日の海岸で拾い集めた貝殻。右上の黒っぽいのがムール貝(稚貝)。紫貝、とは、いわゆるムール貝。この絵本の文章を書くにあたり初めて和名を調べて、素敵だなあと思いました。日本では余り食卓にのぼることはないかもしれませんが、パエリアの具や酒蒸しなど、ヨーロッパでは馴染みのある食材です(専門家によると、日本でもムール貝は採れますが、牡蠣養殖の邪魔となる嫌われ物だそうです)。私の住むラバトをはじめ、地中海・大西洋側どちらでも、ある季節になると海岸でムール貝を拾い集める人たちをみかけます。

私はずっと、それは食べるために集めているのだと思っていました。実際、海岸でそのまま茹でて食べている人たちもいます。でも実は、養殖でより大きくするための稚貝として集めているのだそうです。

ムール貝の養殖現場長い海岸線をもつモロッコでは、近年国家戦略として海上養殖が盛んに進められています。貝類養殖では、稚貝が国内調達できるのはムール貝のみ。その他の養殖対象種(牡蠣やアサリ)の稚貝は、現在のところ輸入に頼っているそうです。

ちなみにモロッコは牡蠣の稚貝をフランスから買いますが、その親となるフランスの牡蠣は、元々日本から入ったものです。1960年代末、フランス在来種の牡蠣が病気で死滅し、日本から稚貝を入れることにより牡蠣養殖業が復活されました。その牡蠣が地中海を渡り、モロッコで養殖されています。日本産と同じDNAを持つ美味しい牡蠣を、私たちはモロッコで食べることができています。ありがたや。

浜で休む漁船海の恵みは、もちろん貝だけではありません。お魚も色々な種類が市場で売られています。その9割は、小さな船に乗った漁師さんたちが沿岸漁で獲っているものです。

モロッコから日本に多く輸入されていることが知られるタコも、しかり。モロッコ沖と、お隣のモーリタニア沖で獲れたタコで、日本のタコ輸入量の半分以上を占めるそうです。モロッコと喧嘩したらタコ焼きが食べられなくなる、とも言えるほど、モロッコからの輸入に頼っているのです。

近所の魚屋

お魚定番料理のフリットとパエリア

漁港町のタコのタジン鍋屋の看板

養殖されたオゴノリ(寒天の原料)もう一つ、日本で多く食されているモロッコの海産物があります。寒天です。モロッコは寒天の世界有数の産地。日本国内シェアトップ(世界シェアも15%)の長野県の寒天企業さんも、モロッコで海藻から精製された質の高い原料を輸入しているとのこと(モロッコからの日本向け輸出はほぼ100%同社向け)。「寒天」として食べなくても、多くの食材や化粧品に添加されているので、これを読んで下さっている皆さんの中に、モロッコの海藻の恩恵を受けたことがない人はいないのでは。

寒天の原料となる海藻は、養殖もされていますが、地域および季節によっては海岸での採集が女性や子供のお小遣い稼ぎにもなっているそうです(海藻集めが主な活動の組合もあります)。

これだけ海産物に恵まれた国なのに、残念ながらお寿司などの日本食料理屋さんは、本当に少ない。親日の国でもあるので、ご関心のある方、是非進出のご検討を。

「青い空よりもっと青く輝く海と それを縁取る白い波を見ました」

3.丘のもの

苦いオリーブと 甘いオレンジの香りを嗅ぎ
色とりどりに咲く 花々の香りを 思い切り吸い込み
遠く向こうに 雪を被りそびえ立つ 山々を仰ぎました。

― 「ハゲタカの旅」

私はモロッコに来るまで、オリーブは本来苦いものであるとは知りませんでした。収穫した生のままでは、とても硬いし苦味が強くて食べられない。だから塩と水に数週間漬けて加工します。色々な風味のが売られていますが、自宅で漬ける家庭もあり、苦味が好きな人は、わざとそれを残す程度につけます。モロッコへの赴任直後、頂いた自家製オリーブ漬けがあまりにも苦くて食べられず、捨ててしまったことがありました。でも今は、好んで苦めのオリーブ漬けを買うようになっています。

色とりどり、風味様々のオリーブと、それを買い求める人たち。

オリーブ、そしてオリーブオイルをふんだんに使った食事の後は、街角あちこちで売っている甘いオレンジジュース。注文した後で絞るので、常に新鮮です。2−3年前は下町で1杯5ディルハム(現在の為替レートで約73円、円安前は約50円)で買えたのが、最近は渇水とインフレで7ディルハム(103円)に。一般庶民には結構な値上げです。


いつの季節でも色彩豊かな市場

FIN

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