ケニアのUNHCRは、LGBTIQ+難民の第三国定住(出身国から避難先を経て別の国への移住)にあまり積極的ではありませんでした。他の難民よりさらにひどい状況に置かれているLGBTIQ+難民が権利擁護、保護の声を強く上げていたことが関係しているかもしれません。
ところが、今回のプロジェクトが成功したこと、アメリカの援助団体ORAMやHIASの援助、技術支援を受けていることなどが影響して、UNHCRが態度を変化させ、第三国定住に向けて積極的な聞き取り調査をするようになったそうです。もちろん、LGBTIQ+難民を受け入れている先進各国の枠に限りがあるため、手続きが順調に進むかどうかはわかりませんが、LGBTIQ+難民の中でもケニアでの活動に制限のあるFHI代表のモーゼスだけでも、なんとか第三国定住を実現させたいです。
さらに、ケニア政府の態度にも少しですが変化があるようです。ケニア政府は、働いて税金を納めてくれる難民、ケニア国民のための雇用を創出する難民を歓迎するので、今回のプロジェクト成功が影響しているものと思われます。
たとえ第三国定住が進んだとしても、まだ後にはシェルターにすら入れていない難民が多く残っています。一人でも多くの難民を犯罪、性暴力、感染症、飢餓のリスクから救えるよう、引き続き皆様のご関心、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
ウサギ小屋の前で聞き取りをするUNHCRの職員。ウサギの飼育は、国際援助団体のORAMの支援で技術指導が行われました。シェルターの裏にある畑。わたくし植田が昨年9月に訪問した後で、ORAMの技術指導が行われ、12月に訪問したときには畑の面積が大幅に増えました。現在、近隣に住むケニア人の農民の手を借りて、ほうれん草、ケール、バナナなどの栽培を行っています。このシェルターのある一軒家からは2月中の退去を求められていますが、新しい物件が見つかれば、そのそばに土地を借りて鶏、ほろほろ鳥、番犬、ウサギの飼育、農業を続ける予定です。シェルターのメンバー全員の要望を取りまとめて書類を作成し、UNHCRの職員に手渡して、話を聞いてもらっています。第三国定住を望む人、ケニアで暮らし続けたい人など要望は様々です。