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エファは、20周年を記念し、心を動かされた本、人生を変えた本など、皆さんの大切な一冊を募集しています。→「私と本とのエピソード」の投稿はこちら40年前、エファの前身である自治労の子どもの家設立事業に携わられていた支援者様が、メッセージを添えて大切な本についてご紹介くださいました。『母』ゴーリキー 著 、横田 瑞穂 訳 岩波書店 1963年刊行 ほか▼支援者様のメッセージ心を強く動かされたり、人生に影響を与えた本はいくつかありますが、高校生の頃読んだゴーリキーやドストエフスキーなどちょっと暗い小説です。描かれているのはロシア帝政時代末期の人々の貧しさ、その中で「社会を変えよう」という意識の変革が社会の変革につながっていく人々の姿を描いたものが多かったと思います(一番印象に残ったのはゴーリキーの「母」という小説です)。 私がエファの前身である自治労の子どもの家を設立する調査に関わったのが今から40年前、当時ベトナム戦争終結から20年、カンボジアのポルポト政権崩壊から15年ほど経った頃でした。その時、私が現地を訪れて感じたのが「貧しさ」でした。それぞれの国の「貧しさ」に共通していたのは「物がない」「食べ物が足りない」「医療の貧困」などでしたが、それでも子供たちは目を輝かせて元気に遊んでいました。服はボロボロ、靴はない、本も文房具もほとんどない状態、それでも子供たちの目の輝きは日本の子どもたちよりよほど活き活きしてました。 その後を訪れる機会は何度かありましたが、国の変貌、街の変貌はそれぞれ違う方向に向かい、子供たちの姿も違って行くように見えました。カンボジアはいち早く中国経済と連携し経済成長を目指し、ラオスもそれを追うように中国と連携を強めながら経済を成長させようとしています。ベトナムは中国経済依存ではなく、独自のスタンスで経済成長を遂げようとしています。経済成長に伴う貧富の格差の広がりはどこも同じですが、私がいまだに息苦しくなるような貧しさを感じたのはカンボジアです。トレンサップ湖の周辺の家々や水上生活者、その子供たちの生活を見ると本当に心が痛みます。 いま世界中で戦争に巻き込まれ、貧困のどん底にあえいでいる計り知れない子供たちに何とか生き延びて学ぶ機会を持てるようエファをはじめたくさんのNPOが頑張っている活動に少しでも希望を託したいと思っています。 私がかつて本で読んだロシア帝政末期の貧困状態が今なお現実として存在し続けるこの世界をもう一度見つめなおす機会にしたいと思います。