~水戸と牧ノ原のお茶について~なぜ茨城県水戸市のお茶屋の屋号が牧ノ原なのか?皆さん、不思議に思いませんか。そこには、激動の幕末の出来事が大きく関係しています。 お茶処である「静岡牧之原」と「水戸」の関係について簡単ではありますがご紹介いたします。そもそも静岡県でお茶の栽培が本格的になったのは、明治になってからでした。その栽培の中心人物が「中條金之助景昭」です。景昭は将軍家に仕え、武術を指南する剣術・柔術世話心得などを歴任していました。大政奉還の後、慶喜の身辺を危ぶんだ勝海舟らが慶喜を警護するために「精鋭隊」を発足させ、その頭として抜擢されたのが景昭でした。景昭は、江戸開城の際や慶喜が水戸に退く時にも、精鋭隊の頭として同行。そののち慶喜や徳川宗家が駿府(静岡県静岡市)へ強制移住される際にも、慶喜に従い精鋭隊やその家族と共に移住しました。明治2年7月、徳川宗家の許可を得て金谷以南の原野を金谷原開墾方として元幕臣とともに開墾を開始。当時、開国した新政府は外貨獲得の輸出品として生糸と茶に注目しており、勝海舟らの提言もあってお茶の生産を決めました。牧之原荒野の慣れない開拓開墾は苦難の連続でしたが、見事に茶園として開拓され、茶の一大生産地となったのは景昭をはじめとする関係者の努力の賜物です。中條景昭像公園よりそぼ降る雨の牧之原茶園を望む ※2023.4.15撮影水戸と静岡県牧之原台地に広がる大茶園には、徳川慶喜と警護の要である精鋭隊の頭である中條金之助景昭との関係があり、その後のお茶処静岡の礎を築く物語がありました。茨城県水戸市で屋号が牧ノ原のお茶屋。茨城県の水戸徳川家と静岡県の駿府、さらに茶園整備。歴史を紐解くと思いがけないつながり・縁があったのです。
「牧ノ原のお茶」を仕上げてくれている「茶匠」と言われる職人達についてご紹介してみたいと思います。茶舗 牧ノ原の深蒸し茶の工場は、静岡県島田市にあります。その「仕上げ工場」では、どんな作業が行われているのか?キーマンとなる2人の「職人」について書いていきますね。まずは「火入れ職人」ローストマイスター!牧ノ原の深蒸し茶には「青っぽさ」を引き出した「弱火」のお茶から「香ばしさ」を引き出した「強火」のお茶まで様々な特徴をもったお茶がありますが、その「火入れ」を担当するのがこの「職人」です。工場には2種類の「火入れ機」があります。上の画像の機械が「火入れ機」なんですが、これは「オチアイ式」と言われる電気式の火入れ機で、通称「オチアイ」と呼んでます。カンタンにいってしまうと「電子レンジ」みたいなもので、電気的に熱を加えていく感じの機械ですね。電気式と言うと「誰でもスイッチひとつでカンタン火入れ!」みたいなイメージを持たれるかもしれませんが、いやいやいや。(^_^;)ボクもこの機械の操作をやらせてもらったことありますが、機械に投入する茶葉の量、スピード、そして温度のコントロールと、まぁ~簡単じゃありません。さらに、この機械は3台あるんですが、それぞれ「クセ」みたいなものがあるので、それらを熟知したうえで「火入れ」を安定的に行い、目指す「味」に仕上げていくのはまさに「職人技」です。こちらは、もう全国的にもここにしかないのでは?という直火式の「ヨコヤマ式火入れ機」。通称「ヨコヤマ」です。「電気式」になっている「ヨコヤマ式」のものはまだ現存しているようですが、画像の「重油バーナー」を使ったものは恐らくここにしかないと思います。コーヒーに似ているかもしれませんが、やはり「直火」のローストは難しい分、味わいも深いです。この機械では、とにかく「温度コントロール」が神業です。それは、茶葉の量、水分、気温、湿度など様々な条件によって「同じ火入れ」が至難の技であること、それらを「感覚的」に判断しながらコントロールできるのは、現在では彼しかいません。「電気式」は「中」から火が入るのに対して、「直火式」は「外」から火が入るイメージです。この機械の使い分けができるのも、彼の「職人」としてのレベルの高さを表しています。次に「ブレンド職人」ブレンドマイスター!実は、味を作っていく上で、この「職人」の存在が一番の「要」なんです。牧ノ原として仕上げたい「味」に対して、素材となる「荒茶」を吟味して、火を入れたらどんな味わいを引き出せるのかを「イメージ」しながら選び、組み合わせていきます。ここにはもちろんボクも関わらせて貰っています。お茶は植物であるが故、毎年同じ「味」になるわけがありませんし、価格とのバランスもあります。一つの銘柄に対して、ブレンドする「荒茶」は、十数種類の時もあれば、数十種類に及ぶ時もあります。単に多くの「荒茶」をブレンドすればいいってもんじゃありません。「荒茶」の状態で色々飲んでいく中で「コレどう?使えそうじゃない?」とか「コレ牧ノ原っぽいねー」とかやり取りしてます。さらに、ブレンドしてからまとめて火入れするのか、別々に火入れした後にブレンドするのか、「荒茶」の状態に合わせて温度帯をどの辺りにするのか、などなど、彼の感覚・センスなしでは仕上げられません。お茶を仕上げていく中で、「感覚」とか「イメージ」の共有がかかせないのですが、そここそ一番難しいところで、ボクらの会話は一般の方々からは理解されないだろうな~と思います。(笑)だって「もうちょっとPOPにしたいね~」とか「味が暗いね。明るさだそう!」とか「トンガリがあっていいね!」とか「これだと丸すぎるね。も少し角つけよう」とか、そんな感じのやりとりですから。。(笑)そんなやり取りで解かり合えますし、しっかり目指した味わいに仕上げられるのは、彼らだからこそなんです!どこのメーカーでもいい、誰でもいいって訳にはいかないんですねぇ~。アタマの中のイメージを共有して具現化する。具現化したものを更にアレンジしていく。ひとつの「作品としてのお茶」を創り出すという意味では、お茶づくりはアートだとボクは思っています。
静岡の新茶 それも「特別美味い新茶」を届けたいプロジェクトオーナーの茶舗 牧ノ原 二代目店主 五條 誠司です。プロジェクトへご支援、応援メッセージ、誠にありがとうございます。これから発売する新茶についてご説明したいと思います。茶舗 牧ノ原では『新茶とはその年その年の【旬】を味わう特別なお茶』として、通年販売している銘柄の「年間もの」とは別に、「新茶」を限定販売しています。野菜や果物をなど、今やいつでも手に入れることができるのは、消費者にとってはありがたいことですし、それらは農家さんたちの努力の賜物だと思います。ただ、一方で『日本の【旬】を味わう文化』が曖昧になってきてしまっているようにも感じています。正直、ボクも野菜や果物などで【旬】がいつなのか?知らないものも多いです。。そんな中、「日本茶」においてはその「新茶」の時期が広く知られて、【旬】を楽しむものの一つとして定着していると思います。牧ノ原では、そのことは「大切なこと」だと思いますし、廃れてしまわないよう、曖昧になってしまわないよう、「文化」として後世に伝えて行くべきと考えています。前置きが長くなってしまいましたが、そんな想いから「新茶」をもっともっと盛り上げたいと思っているんです!そこで、店頭販売している「新茶」とは別の特別な新茶を味わっていただきたく、今回のプロジェクトを立ち上げました。限定とすることで、味や香りにとことんこだわり納得のいく「新茶」を作り上げる予定です。茶葉の摘み取りは早くても4月中頃(暖冬により少し早くなりそうです)からになり、3月上旬の現在は、「お茶の木」の新芽の状態は確認できませんが、出来上がった荒茶の中からより良いものを選び極上の「特別美味い新茶」をお届けさせていただきます。楽しみにお待ちくださいませ。