こんにちは、故郷喪失アンソロジー主催者の藤井佯(ふじい・よう)です。
各作品のご紹介、第二弾です!
全4回にわけてご紹介していきます。
①いとーさん、城輪アズサさん、闇雲ねねさんの作品
②オザワシナコさん、江古田煩人さん、伊島糸雨さんの作品 ←今回はこちら
③万庭苔子さん、藤井佯、湊乃はとさんの作品
④灰都とおりさん、神木書房さん、犬山昇さん、玄川透さんの作品
幻想、SF炸裂の中盤! ご期待ください。
オザワシナコ「採集作業」(約4400字)
生臭い草の匂いにくすぐられ、私は鼻を擦った。
許可を取って立ち入るのは里山なので、気温が高い中でも登り下りの大変さはさほどない。しかし、静かで樹木の多い奥のほうまで分け入らねばならない採集作業は、虫や爬虫類を恐れる都会育ちには不向きだ。
オザワシナコさんは小説を書かれています。今回は、耽美な世界観の掌編でご参加いただきました。人に寄生する虫、羽を生やして飛んでゆく子ども、皮だけになった人間の遺骸を回収するアルバイト……。全寮制の専門機関に通う「私」が見つけたのは、寄生されて死を待つのみの変わり果てた子どもの姿でした。故郷とは一体どこなのか、人は死を覚悟したときに何に縋るのか、考えさせられる作品です。
江古田煩人「帰郷の旅路」(約5700字)
お客さん、どちらまで?
地球ですか。火星から地球までってそれなりに距離があるでしょうに、こんな星間タクシーより高速宇宙船の方がずっと早く着きますよ。お客さんがお急ぎでなければ、私は構いませんけれども……
江古田煩人さんは小説を書いたり、手書きPOPを制作されたりと幅広く活動されています。今回はレトロフューチャーな世界を舞台に、火星から地球へと帰省する人々を乗せる星間タクシーで語られる物語でご参加いただきました。故郷の原風景が色鮮やかで印象に強く残ります。アンドロイドの心地よい語りに誘われ、星々の寂しくも懐かしい光が目の前に浮かぶようです。
伊島糸雨「塵巛声」(約10100字)
遠い地平の先々を、燃えるような霧の幕が覆っている。落日を隠し、夜を遅らせ、意志ある万象を解いてゆく、流転の潮汐が。
伊島糸雨さんは作家です。魄躰(はくたい)を持ち、言葉としてそれを切り分けながら生活する民たちの物語をお寄せいただきました。あらかじめ決められた喪失という宿命を前にして、人々はどのように振る舞うのか。主要人物三者の選択とその行く末をともに見届けてください。
今回は以上となります。引き続き作品紹介をお楽しみに!
ちなみに、本日でクラウドファンディングを開始してから15日が経過しました!そして、クラウドファンディング終了まで残すところあと15日となりました!ちょうど折り返し地点ですね。おかげさまで、支援者数は31名となり、目標達成率は40%を突破いたしました。ありがとうございます!引き続き4月30日までクラウドファンディングは実施されますので、今後ともご支援・ご検討よろしくお願いいたします!