こんにちは、故郷喪失アンソロジー主催者の藤井佯(ふじい・よう)です。
各作品のご紹介、第三弾です!
全4回にわけてご紹介していきます。
①いとーさん、城輪アズサさん、闇雲ねねさんの作品
②オザワシナコさん、江古田煩人さん、伊島糸雨さんの作品
③万庭苔子さん、藤井佯、湊乃はとさんの作品 ←今回はこちら
④灰都とおりさん、神木書房さん、犬山昇さん、玄川透さんの作品
故郷との繋がりに焦点を当てた作品が続きます。
万庭苔子「回転草(タンブルウィード)」(約9300字)
地球という惑星の陸地の面積は一億四千七百二十四万四千平方キロメートル、人口は約八十一億人。では国の数はいくつあるか。じつは公式な正解はない。なにをもって『国』とするのか、定義が必要となるからだ。
万庭苔子さんはエッセイや翻訳、小説を手がけられています。物語はドイツに住んでいたことのある「わたし」がドイツ語学校で知りあったイラク人、ナディールくんとの思い出話が中心となり、やがて人称を超えて世界の人々が混ざり合っていく祈りの地点へ着地します。今読まれるべき小説です。
藤井佯「安心で安全な場所」(約9400字)
高校時代の活動範囲は学校か家か塾。休日に家を出ることもなかった。誰と、どこに行って、何をするのか、親から根掘り葉掘り聞かれるのが嫌で、外出が億劫だった。とにかく非常に狭い世界で生きていた。
藤井佯は小説を書いています。今回はエッセイで参加しました。幼少期から難関大学に合格することを期待され、自身も地元を出ることしか考えられなかった時代を振り返っています。このような人はほかにもたくさんいるだろうと思って、身を削る思いで書きました。
湊乃はと「遺愛」(約5000字)
その一葉を再発見したのは、三寒四温の谷間の一日、酷く底冷えする板間で腰掛けた椅子の先、足の指を忙しげに擦り合わせているような時であった。
湊乃はとさんは小説を書いています。今回は、今からおよそ百年ほど前を舞台にした、故郷を捨てた男性の物語をお寄せいただきました。母の癇性を憎み郷里を捨てた寅次でしたが、一葉の手紙をきっかけに思い出した故郷の姿、母の姿は美化されたものでした。寅次の葛藤は時を超えて私たちにも強い共感を呼び覚ますはずです。
今回は以上となります。次回で作品紹介は終わりますが、引き続き活動報告を行っていく予定ですのでぜひまたチェックしてください!「まえがき」や「あとがきに代えた論考」の一部も公開予定です。
CAMPFIRE様曰く、いまは「コツコツ発信期」だそうです。言われた通りコツコツ発信していこうかと思います。そして、昨日も本日も複数の方からご支援をいただきました。関心をお寄せいただき、そしてご協力いただきありがとうございます。
それでは4月30日まで、引き続きご支援・ご検討よろしくお願いいたします!!