奥田シェフの、2017年の講演から、一部を抜粋してお伝えします。
「野菜というのは突然変異するのですが、人間にとって都合のいい種は残って、そうでない種は廃れていきます。そうして残っているのが現代野菜です。
庄内になぜ在来作物がいっぱい残っているかというと、隣の県に田中角栄というスーパースターが現れたからです。彼は東京用に、関越自動車道、上越自動車道、新幹線を作ったために東京用に野菜を作るために規模が大きくなっていったので、新潟の在来作物は廃れていったのです。しかしその結果、山形県の庄内地方はさらに陸の孤島化していったため、鶴岡市、酒田市の10万人に向けた在来野菜が残って、今は70種類あります。
いまはそれが鶴岡や庄内を押し上げることとなり、山形県内の観光客数で鶴岡はかつて第4位だったのですが、今は第1位になりました。これを私は「食べ物が起こす奇跡」と呼んでいます」
食べ物が奇跡を起こす。
地元で採れる作物や、穀物や、魚介類や肉を、地元の人たちが地元で消費して循環を回すことで、「あそこは何か元気だな」と、そのエネルギーに吸い寄せられるようにして外の地域から人々がやってくる。
「関係人口」と最近いわれますが、ファンがどんどん増えることで、大都市と地方とのダイナミックな人の行き来が増えていければいいな、と思っています。