早いもので、クラウドファンディング終了まで、のこり18日となりました。インタビュー第3弾は、バウシュ 杏奈さんです!
現在、デザイン情報学科2年のバウシュさん。今回、旅するムサビへは初めての参加となります。
作品はこちら↓
作品は、少しデカダンスを思わせるような、濃厚な雰囲気。
ドイツにルーツを持つバウシュさんは、同じ大学の空間演出デザイン学科のファッションを専攻する先輩からの依頼を受け、モデルの仕事もされたこともあるそうです。放つオーラに、「描く以前に、描かれる側の人ですよね…?!」とメンバーも旅の終始、惹きつけられていました。
初日の晩御飯では、「今年のパリオリンピックの開会式、とても良かった!」と話すバウシュさん。何気ない会話からも独自の感性が伺え、作品を見るとそれに納得できるのも、美大生らしいコミュニケーションのうちのひとつと言えるかもしれません。
Q. 今回の奄美のプロジェクトに参加するきっかけは何でしたか?
A.(バウシュ)
就活に役立つ課外活動を探していた時に、旅ムサを見つけました。美術教育が浸透していない地域にムサビ生が美術の魅力を伝える、という理念に大変共感し、大学で学んだことや自身のポテンシャルを発揮するチャンスだと考えて参加を決めました。奄美大島という、都会とは正反対の離島に行ってみたかったのです。
Q. デザイン系の学生の参加はどちらかというと少ない方で、今回旅ムサを知ってもらえて嬉しいです。参加して良かったことや、感想を教えてください。
A.(バウシュ)
奄美の自然、非日常を全身でめいっぱい感じられたことが何より良かったです。子どもたちとの触れ合い、自然の色彩や様子、現地で生きるアーティストの作品など、せまいキャンパスの常識を破るような経験ができましたが、すべて今後の制作に活きると思います。
また、現地での新しい出会いがどれも温かかったです。もちろん、学科も経験も違う旅ムサの仲間と出会えたのがこのうえなく嬉しいです。
(奄美の透き通るような海)
そして黒板は……
完成です!!
水の音、リズムが聞こえてくるようですね!
Q. 対話鑑賞は、バウシュさんはi pad上で作品の写真を見せていましたね。作品について教えてください。
A.(バウシュ)
タイトル:《石》(授業のモチーフでした。)
純白ロール紙、ダンボール、アクリルガッシュ、エアキャップ、砂利、ガムテープ等を使った大型作品。
人間の内面(心の中?)には色々な汚れとか傷とかがあるけど、みんな成長を経てそういった優しさを得ている。(後ろの壁一面のダンボールとかも無理やりツギハギに繋げてたりと、ひとつの形になっててもボロボロ)感情にのってそういう醜い部分が露呈するときもあるけど、私にとっては不完全なところが人間の美しさだと思う…というコンセプトがあります。
Q. 対話鑑賞で印象的だった意見はありますか?
A.(バウシュ)
展示している場所について、どこだろう?と興味を持ってくれました。空間に気をつけた作品なので、同じように空間に興味を持ってくれているのかな、と思うと嬉しかったです。
Q. 写真作で見せた場合でも、空間についての意見が出るのは鋭いですね!
バウシュさんは特に、児童の皆さんと積極的に交流されていました。感想や、子どもたちに伝えたかったことなどはありますか?
A.(バウシュ)
かわいい…。まだ自分の生活が世界の全てで、物事に限界があるなんてまだ思わない年齢。もしいつか何かに挫折したりしても、好きな方法で次のステージに進めることを知ってほしいです。対話鑑賞ではアートに正解はないことをたくさん伝えましたが、生活の上でもそれは同じだと思っていてほしいです。
(活動終了後、たくさんの子どもたちとipadで絵を描いて交流していました。)
(児童の皆さんと別れを惜しむバウシュさん。宿に帰ってからも、「本当に、ずっとあの場所にいたかった…」と、思い出を語っていました。)
Q. 今回初めて、奄美の地で、美術教育を届けるという活動をしてみて、どうでしたか?
A.(バウシュ)
奄美の人たちはとても温かく、美しい自然がそのまま人柄に表れているようでした。しかし、生まれ育ったゆえに恵まれた環境の魅力に気づいていない人々もいるのではないかと感じました。奄美大島の人たちに対して、奄美大島の魅力を伝えることへの意義を感じました。
美術は、見たことのあるものをさまざまな形で表現してその魅力を再認識できるところが醍醐味だと思います。そのような点では、黒板アートをはじめ、崎原での取り組みは現地に美術を伝える上で素晴らしいと感じました。
(昨年、壁画プロジェクトでお世話になった崎原小学校にご挨拶に伺いました。)
Q.奄美の自然で一番印象的だったものはありますか?
A.(バウシュ)
星空と海。東京に帰ってから、あのこぼれんばかりの豊かな風景が忘れられなくて恋しいです。毎晩夜空を見ちゃうくらいには…。都会では見えていないだけで同じ星空があることを考えて、いつも勇気をもらっています。
Q.バウシュさん自身、これから更にやってみたいと感じたことはありますか?
A.(バウシュ)
完成度や周りの目などのしがらみにとらわれず、もっと自由に制作をしたいです。自身の感性を信じてみたい。
また、次に奄美に行く機会があったら、今度は奄美の人たちと一緒にワークショップを通して制作したり、距離を縮め、もっと時間をかけて美術の魅力を伝えていきたいです。
(戸口小学校 森校長先生から、記念のお品と温かいメッセージをいただいてしまいました。)
–––––––––––––––人1倍旅を楽しみ、メンバーの雰囲気を前向きにしてくれたバウシュさん。奄美の子どもたちと触れ合っているときの幸せそうな表情、そして奄美の方々や、学生メンバーとの出会いを心から喜んでいる様子が強く印象に残りました。
可能性に溢れる2年生。豊かな感性で受け止めたことが、今後どのような活動や制作に繋がっていくのかとても楽しみですね。
バウシュさん、ありがとうございます!
インタビューも残るは3名となりました。次回も何卒、よろしくお願いいたします!
インタビューアー:連携共創チーム 井下