今年の夏の参加学生にインタビューをする企画。第5弾は、建築学科1年のFさんです!ご本人のご希望によりお名前は伏せています。
今回、初めて旅ムサに参加したFさん。哲学や神話に関心があり、考えることが好きだそうです。静かで独自の感性を持ち、黙々と仕事に集中するFさんは、メンバーの雰囲気にも一石を投じてくれるような存在感がありました。
作品はこちら↓
建築学科の授業では、このような建築模型を制作します。
初日のお昼ご飯にて。最近は「言語化」のことで悩んでいると話すFさん。
自身の感性や感じたことを言葉で表すことがなかなか難しいそうです。
言語の外にあるようなものを、色や形、質感、光、空間に落とし込むことを学んでいる……とはいえ、表現者にも言語化が求められる現代において、多くの人が抱える悩みかもしれません。
先輩である里見さんに、「それなら、言語化ゲームやってみない?」と提案され、興味津々に。目の前の情景を、片っ端から言葉にしていくゲームだそうです。ワークショップでも使えそうな、面白い遊びですね!
Q. 初めての旅ムサでしたが、今回はなぜ参加されたのでしょう?
A. (Fさん)
今年の干支にもありますが、龍郷町という町名に龍が入っていて、親しみを感じました。そこから奄美の土地に興味を抱き、参加してみたいと思いました。
Q. 干支から興味を持つなんて、Fさんらしくて素敵です。対話鑑賞で持ち込んだ作品でも、龍が描かれていました。この作品について教えてください。
A. (Fさん)
暗闇の中に光の道筋をつくり、竜が一筋の光道を導いている。漆黒に染まる夜中、光を蒔いている。希望を運ぶ神の使いとして現れる姿を描きました。
Q. 対話鑑賞ではどんな意見が出ましたか?
光を強調して、救いに近いイメージで描きましたが、少し寂しそうな気もすると言ってくれた方がいました。龍とは、人にとって架空の神に近い位置づけかと思われましたが、どちらかというと、同じ人に近いような視点で見てもらえたかなと思います。
Q. なるほど…確かに、この絵の龍は親しみやすさが感じられるのかもしれませんね。
古くから奄美で信仰対象とされてきた「ノロ」や「ユタ」のお話を思い出しました。
Fさんにとって奄美の文化や自然はいかがでしたか?
A. (Fさん)
歴史や文化が風土にも残っているのかもしれませんが、奄美大島は絶滅危惧種など、希少価値の高い生物が生息しているのが印象的でした。夜にしか活動しない生物や奄美の気候によって生息できる植物をみて、場所によって生まれる価値を感じました。夜にしか見ることができないものが沢山ありました。
また、天体(星)やマングローブなどに触れ、自然の原点に回帰したような感覚がありました。その環境に身を置くことができ、感動しました。
(23時、「三太郎線」にて大量の黒ウサギを発見。)
赤尾木の海岸で見た満点の星空です。
そしてこれが翌日には……………
完成です!
手前の地球の表現にこだわり、じっくり丁寧に制作していたFさん。星の輝きが伝わってきますね!
Q. 今回、美大生として、奄美に美術教育を届けるということについてどう感じましたか?
A. (Fさん)
美術の鑑賞は、感性を広げて育てるものだと思いますが、「つくる」ことによって感性を開拓できることも美術の役割だと思います。
今回は黒板アートと対話鑑賞という形で、鑑賞による伝え方でしたが、その上で、児童の皆さんが何かを「つくる」ようなアウトプットの機会も設けることで、美術と人々の距離も近づくのかなと感じました。
Q.児童の皆さんと一緒に何かをつくるワークショップなども面白そうですよね。
A. (Fさん)
はい。今まで私は、ほぼ単独作業で他者の意見を介して作ることが少なかったので、共同で何かを作り上げる体験がしてみたいです。交流することによって、そこから生まれるものも、一緒に作り上げていくものも変わってくると思うので、面白そうだと思います。
Q. 今回、児童の皆さんと交流してみていかがでしたか?
A. (Fさん)
前向きに考えて率直に自分の感じたことを言葉で伝えることが上手だと思いました。絵画に関心を示している子が多い印象があり、美術の発展の可能性を感じました。また、子供と会話する機会があまりなかったので、子供ながらの意見を聞くことができて、懐かしい気持ちになりました。
–––––––––––学部1年生で初めて旅ムサに参加したFさん。奄美の自然や文化を感じ、また積極的に他者と交流し、考え、何かを得ようとしている姿に力強さを感じました。
今後の制作がとても楽しみです。
Fさん、ありがとうございました!
インタビューの企画は次回で最終回となります。
クラウドファンディングも残り8日となりました。ネクストゴールにむけ、さらなるご支援が集まり大変ありがたい限りです。
引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます!
インタビューアー:連携共創チーム 井下