伊藤紗織(東京)が東京・京都からそれぞれピックアップされた3人の内側を探るリレーインタビュー企画、「なかへもぐる」。
第4回目は、東京チームで料理を担当する出口龍。
プログラムも終盤。果たして彼の熟考にピリオドは打たれたのか。
頭の真上に陽が昇る頃、渋谷のカフェで若者が数名、コタツ型の席で膝を交えていた。生姜の主張の激しい自家製ジンジャーエールで眠気の解消を試みるも、ただむせるばかり。何かはっきりとしたスタートの合図もなく、インタビューのような、雑談のようなものに、私たちは取り掛かった。
ー かなり漠然とした質問になりますが、このブルーキャンプを通して変化はありましたか?
龍さん:変化に対して意識的かっていうのはあるよね。変化にはさ、意識的な変化と無意識的な変化って二つあると思うんだよね。で、その意識的な変化というのを僕はまだ経験したことがない気がするんだよな。
…とりあえず和食は好きになったよね。今までも好きだったけど、より、好きになった。今なら「和食を食べるために日本に住んでいる」と自信を持って言える。
和食の精神、調理法、味は世界に類を見ないし、そんな和食の凄さを多くの人に知ってもらいたいし、そうすれば自然と魚の凄さにも気づくと思うんだよね。せっかく日本に住んでいるんだから美味しい魚を味わってほしいなと思う。
ー味わってほしいといえば、東大生である龍さんが料理チームにいることに疑問を覚える人もいると思うんですけど、最初から料理はするつもりだったんですか?
龍さん: もちろん。そりゃ、シェフに料理習いたいでしょ(笑) それに昔から料理は割とする方だし、魚もよく使ってたから。初めて魚を捌いたのは小学五年生とかだったかな。
ー レストランを企画していく中で心がけてきたことはありますか?
龍さん: 綺麗事にしないというのは絶対気をつけてた。上っ面だけの美辞麗句を並べたてることはしたくないなぁと思ってやってきてるけど、それ故に東京チームは議論が沼ってしまったよね(笑)
今後水産業がどうあるべきなのか、我々が消費者として何をするべきなのか、いまだに明快な答えは思いついていないけども、水産の今に関する難しさをありのままに伝えることが、現時点では自分たちにできるベストなんじゃないかなぁと思いますけどね。