私の実家は「ミニスーパー ハヤシヤ」という地域のコンビニのような場所でした。店にはテレビが置いてあり、小さなベンチもあって、買物のあと、お年寄りが休んでいったり、近所の人とおしゃべりしたり、夏には野球の中継を一緒に見るような店でした。そこで店番をしながら育ったこともあり、今回、栄町に小さな共同書店ができること、そして自分も個人として「ミニ書店」を開けることを、大変うれしく思います。インターネットのない90年代のド田舎で育った私に、本は世界への関心を開いてくれました。その後、文学部に進み、留学し、演劇について学び、今は劇場で働きながら、ドイツ語翻訳者をしています。子どもの頃から、店で人の話を聞くことが好きで、その延長に読書がありました。高校生になって本を知ったときに驚いたのは、数百年、数千年前の、遠いどこかの誰かの話さえも聞くことができるということでした。自分とは異なる誰かの声を聞くことは、芸術の楽しみの根本であると同時に、地域で、世界でともに生きること、つまり政治の基礎でもあると思います。この共同書店のあり方と、本を読み、誰かに手渡す日々のいとなみが、人が互いに声を聞き合う世の中へとつながることを信じて、自分なりの参加をしたいと思っています。
ちょっと強引だけど、書店巡りは昆虫採集と似ている。探している本(虫)を求めて、ここぞという書店(森)にわけ入っていく。そのために遠くまで足を運ぶことも厭わない。そこに探している対象が「いる」とは限らない。一方で、思いもよらぬ出会いがある。そして一期一会…探検心をくすぐる場所が新しく那覇に生まれることをうれしく思う。末永く続くよう、心から応援しています。
本棚制作の動画を公開しました。栄町共同書店がだんだんと形になっていきます!栄町共同書店のSNSからご覧ください。https://x.com/sakaemachi_bc/status/1826551482176733397https://www.instagram.com/reel/C-95YKkPpki/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==
8月20日付沖縄タイムス朝刊に、栄町共同書店が掲載されました!ぜひお読みください。https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1418413?utm_source=twitter&utm_medium=Social&utm_campaign=20240820080946
※写真左端が運天修さん、中央がみどりさん、右端が共同書店運営メンバーの古波藏契。子供の頃、母の遣いでよく行った栄町市場。幼い娘と手をつなぎ散歩したスージグヮー。そんな思い出深い場所に新しい形の本屋ができるという。シェア型書店―小さな箱につまった一人一人の箱主のfavoritesや想いが集まって、ひとつの本屋空間を形づくるという...実に興味深い。大量の本がジャンルごとに区分けされ、目的を持って本を探す大きな書店やネットストアとは明らかに別の風景が目に浮かぶ。全く異なる小さな世界(箱)を旅する感覚を味わうのだろうか?それとも今まで知らなかった新しい世界への扉を開けてくれる一冊(箱主)に出会えるのだろうか?もしかしたら誰かの箱の中に自分のお気に入りを見つけ思わず笑顔になるかもしれない。そんなことを考えていたら、橘曙覧の歌が浮かんできた...たのしみは物識人に稀にあひて古しへ今を語りあふときたのしみはそぞろ読みゆく書の中に我とひとしき人をみしとき小さな箱が並んだ小さな本屋が人と本をつなぎ、人と人をつなぎ、人と地域をつなぐやわらかでたのしみの溢れる空間になる予感がして、只々嬉しく思う。また、栄町市場に行ってみよう。