こんにちは。毎日暑いですね。彫刻家の三輪途道です。
「みんなとつながる上毛かるた」を作ったことがきっかけで私は触察の研究に目覚めました。触察とは触って観察するという言葉の通り視覚障がい者の人にとって手は目であり触ることで事物を理解するためにできるだけわかりやすく触れるものを研究し提供するものだと考えております。
去年、初版版として「みんなとつながる上毛かるた」を作りました。絵札は44枚あり、44枚のさわり心地を変えることに苦戦しました。私自身が彫刻家であるがゆえに出来るだけ簡潔に彫ろうとは思ってはいたのですが、輪郭の部分を彫刻的についつい彫ってしまいました。視覚障害者にとって輪郭部はできるだけわかりやすく単純に作った方が形を理解しやすいです。ある意味、素人彫りと思えるほどに輪郭部は強調して彫った方が良いようです。改良版の「みんなとつながる上毛かるた」では、それをまず意識して彫りました。そのため一見、かたい彫り上がりになっています。かといって44枚すべてをかたく彫っても芸がないのです。時には極端なほどにやわらかく彫ったものが混ざると触り心地に差異が出てかるたを触り比べるには有効のようで
す。初版版を作った時にはそこまでは気づきませんでした。初版版を作り終わったからこそ気づいたのです。気づいたからこそ、どうしてももう一度彫りなおしたかったのです。どうか皆さん触り比べてみて下さい。
上毛かるたの次は触察絵本の研究に取り掛かりたいと思います。去年、谷川俊太郎さんと詩画集「かべとじめん」を出版しました。この詩画集の触察板を作り始めております。来年、2025年の1月25日から始まる展覧会にこの10枚の触察板を「みんなとつながる上毛かるた」と合わせ展示予定です。まだ、展覧会の細部は決まっていません。富岡の展覧会がひとまず始まりましたので、次なるは「かべとじめん」で次の段階に進めていければと思います。触察は〇か×ではない、わかるわからないではない、このあたりの話はまた後日書きます。
暑いのでみなさん気をつけてください。
一般社団法人メノキ代表 三輪途道