最近は、断熱材がちゃんと入って、窓も気密がとれていて隙間風のない暖かい家が多いです。国もエネルギー効率のために「高気密・高断熱」住宅を推進しています。さて、一方の我が家。築140年、昭和にもリフォームをした跡はありましたが、断熱材らしきものはどこにも見当たりませんでした。今回の改修に当たって、床と天井には厚めの断熱材を入れることに。しかし、上と下を暖かくしたところで、横の3方向が縁側になっていて、さらに昔ながらの隙間だらけの木製建具をそのまま使っています。とても風情があって好きなのですが、ひどいところだと1cmくらいの隙間が…たとえるなら、もこもこの帽子をかぶってもこもこのズボンを履いているけれど、へそ出し、みたいな感じでしょうか。「我が家は気密断熱ではなく”気合”と”断念”やね。」と冗談を言っているのですが(笑)、でもやっぱり暖かい家がいい!というか、マイナス10度以下になることもあるこの地域では暖房をなんとかしないと死んでしまう!ということで、古民家らしさを生かしつつ、暖かい家にするために、薪ストーブ を導入することにしました。いろんな薪ストーブがある中で選んだのが、長野県筑北村で手作りの鋼板製ストーブを作られている 鳥倉ストーブ さんの薪ストーブ。一年前にご自宅で見させてもらった「南木曽」というクッキングストーブがついたストーブがまるでとことこ歩き出しそうで可愛くて、11か月待ちで購入しました。そしてついに10月の後半、屋根の煙突工事と薪ストーブの設置が完了しました!煙突工事ではスズメバチ飛び交う中で工事してくれました。ありがとうございます。380kgのストーブは、コロを使って数人がかりで少しずつ少しずつ動かし、なんとか予定していた位置に据え付けることができました。こだわって作った曲線の炉台に、薪ストーブがちょうどよい感じ。最後に火入れをおこないました。家を温めるほた火。見る人の心にもぽっと火が灯るような感じがしました。長野に住んでから火が身近になりました。ハンドルをひねればつくガスも、リモコンひとつで温め始めるエアコンも便利でいいけれど、薪を燃やす炎のゆらめきには、遠い昔を思い出すような、人の心を温める何かがありますね。炎が揺らめく薪ストーブをただ眺めながら、大事な人とのひとときを過ごして欲しいなぁ。
それはとっても美しい日でした。大工の息吹君が刻んだ木材をみんなで組んでいく。さっきまで石しかなかった場所に、たった数時間で建物らしきものができ上がってくる。「建て方」とは土台の上の梁や柱などの構造材を立てる作業のこと。前日に据えた6つの礎石の上に、6本の柱が立ちます。木材を組むのに釘やビスは使いません。木材を接合するために、それぞれホゾやホゾ穴が掘られた木材には「い」「ろ」「は」の附番がされています。最後は釘やビスを使わず「こみせん」という木の杭を打って、各木材を固定していきます。気持ちのいいくらいすっぽりとハマっていきます。最後に棟木(むなぎ)という屋根の一番上の材を入れさせてもらいました。棟上げ完了です。残りの屋根貼りは大工さんが。無垢の檜の板葺きです。野焼きの煙が午後の光を散らして、とにかく美しい時間でした。
公開から1週間、クラウドファンディングの目標の50万円を達成しました!ありがとうございます。いつも応援してくれているあの人や、懐かしいあの人、まさかのあの人や、友だちの友だちなどなど、応援してくれた人の一覧を見て嬉しさや驚きがありました。目標金額を50万円と控えめにしたのも、自分たちにそんなに応援してくれる人がいるのか…と自信がなかったからなのですが、こうやって快く応援してくれる人たちがいるというのが、とても励みになっています。(3000円、5000円の応援の方の名前が分からない設定なってしまっていたので、よかったら「応援しました!」と教えてもらえると嬉しいです。)さて、ひとまずの目標は達成しましたが、より多くの人にも知ってもらうため、ネクストゴールを設定しました。ぜひ引き続き、シェアをしていただけると嬉しいです7月のある日の漆喰ぬり
建築中のお風呂小屋の報告をします!今回お風呂小屋を建ててくれたのは、伝統工法の大工さんの伊吹君。あれ、いぶき?そうです、わたくしと同じ名前です。(私はひらがなですが)伊吹君は同い年にして、一人親方として大工さんをしています。2年程前に出会って、いつか伊吹君に家をお願いしたいなと思っていたので、今回外にお風呂小屋を建てよう!と決めた時に真っ先にお願いしました。ちょっと前までは屋号を持っていた伊吹君ですが、今は「肩書きを持たない」ようにしているらしい。それについて私もとっても同意することがあるのでまた今度書きます。さてさて、9月のある日に土台工事を行いました。<土台工事>伝統工法では、「石場建て(いしばだて)」という基礎工事を行います。土を掘って焼杭やぐり石をつめて、その上に大きな礎石を据え、その上に建物が乗ります。つまり建物と土台がくっついていないのです。(一般的な工法だと、枠を作ってコンクリートを流し込み、土台と上の建物は金物で固定されます。)実際に礎石を据える場所を掘ってみると、水が沸いてきました。元々、水はけが悪いなとは思っていたのですが、こんなに水が湧いてくるとは…今後「大地の再生」で水はけ改善も行っていく予定です。家の土台(根太)に使われていた松を焼いて、焼杭をつくり、ハンマーで叩き入れました。松は常に水に濡れている状態(=酸素がない状態)だと腐らないらしいです。木もそれぞれ特徴があって、適した場所で使い分けられます。「木」だけしか知らなかった時より、解像度が上がるのが面白い。田舎暮らしをして広がった世界のひとつです。次に、母屋の土台を直した時に床下からゴロゴロ出てきた石を「ぐり石」として、詰めていきます。しっかり固定するように金づちでたたきながら。途中藁や燻炭なども。てっきり隙間なくびっちり土が詰まっている方がいいのかと思っていましたが、空気が通り有機物が生きる環境の方が安定するとのこと。この作業は石ころ遊びしているみたいで面白い。最後に礎石を据えます。この石も床下や敷地にあったものたち。このあと多少表面をグラインダーで削りますが、できるだけ水平になるように礎石を据えて、周りの土を戻します。買ってきたものじゃなくてその場にあるものでできていくのがとっても面白いし、気持ちいい。2軒下の家のおじさんは、今の家は自分の山にあるヒノキを切って建てた、と言っていました。かつては子孫のために木を植えて、その木やその土地にあるもので家ができて、それがその土地の風景になっていった。でも今は安い外国産材があるから、先祖が木を植えた山は放置されてうっそうとしてしまっていたり。木が育つために約60年。60年後のことなんて誰にも分からないから、難しい問題ですね。世界の変化に追いつくことも大事だけれど、変わらず残していくものも大事だなぁと思うこの頃。さてさて、基礎工事が完了!浴槽の高さはこれくらいに!いい眺めや~伊吹君、こうちゃん、ありがとう!次回は建前です!