「大丈夫か?」
部下への声掛けをするときに、まずこの言葉が出てくる人がほとんどでしょう。
そして、「はい、大丈夫です」
という言葉が返ってくることがほとんどです。この言葉で、安心してしまうのは、注意してほしいです。
「大丈夫じゃないです」と思っていても、その言葉を口にするハードルの高さは半端ではありません。
声掛けしたほうからすると、本当の気持ちを言って欲しくても、言われた方は、”大丈夫じゃない=自分はダメな人” と言ってるような気持ちになるのです。
だから、思わず「大丈夫です」と答えてしまう。
本当は、困っていたり、悩んでいることがあっても、大丈夫です、と答えてしまうと、それ以上相談できなくなるのです。
上司の方も、「大丈夫か?」と訊きつつ、「大丈夫です」という答えを期待していませんか?大丈夫であってほしい、という不安を払拭したい期待感があるかもしれません。
でも、その感情は、相手の本心を言う蓋をしてしまっていることがあるのです。
ですから、「大丈夫です」という返事を、言葉通りに信じ切ってしまうことはとても危険なのです。
大丈夫という言葉の裏にある「本心」を汲み取ることが上司には必要なスキルになりますね。
そのためには、普段からの交流が必要です。
普段の表情や仕事ぶりを知っていれば、本心で話してないな、という違和感を感じることもできますし、仕事ぶりが言うほどはかどってないな、と思えば、やはり違和感を感じられるでしょう。
それに、普段からの交流が活発であれば、大丈夫じゃなければ大丈夫じゃありません!とはっきり言ってくれるでしょう。
本来なら、思ったことを言葉にすることが一番簡単ですが、本音を言わない理由も考えてみてください。
・相手を思いやって、心配させたくない気持ち・期待に応えられないと思われたくない
こんな思いが、頭によぎるから、本音が言えないこともあるのです。
普段から本音で話ができる職場であることが、最も効率よく職場が活性化する基本の姿ではありますが、本音は危険性もあります。
本音なら何でも言って言いわけではありません。本音で話そうとすると、大抵の場合、人の非難が始まります。
これは、組織の効率化を妨げるものでしかありません。
本音は自分の気持ちや考えを言うことです。
そういう「心理的安全性」のある職場を組織は作っていくと、働く人が本音で話し合うストレスがない職場に変わっていくでしょう。
「あの時、大丈夫って言ってたんだけどなあ」と後から後悔することのないように、言葉の裏にある「本当の気持ち」を汲み取る力をつけましょう。
特別な才能は必要ありません。
普段から相手を見ること、話すこと、そして気を配ることだけです。
最後に、「大丈夫か?」よりもっといい声掛けを1つ。
大丈夫か?だと主語がないですね。
そうすると、不安な相手は「自分のこと」=自分自身 と受け取るので、自己否定が始まります。
ですから、「あのA案件、あれどんな進捗?」とか「最近、残業多いけど、ちゃんと寝てるか?」「体調悪くないか?」など、具体的に示したほうがいいでしょう。
そうすれば、部下も「はい、あの件は今〇〇な状態で、予定通りです」とか「実は最近睡眠不足なんですよ」「体調悪くないんですけど、健診でひっかかりまして~」などと答えやすくなるでしょう。
その会話から更に話が発展していきそうですね。
ちょっとした声掛け方法の違いでも、会話の幅が広がります。具体的に示すことで、相手には関心を持っていることが伝わるものなのです。