11月14日。WEBSITE「市民の医学情報局」の掲載予定のコンテンツについて紹介させていただきます。
◎癌の闘病小説『南風』。
主な登場人物は癌を告知された女性と、その彼氏(のちの許婚者)。このふたりの対話は随所にありますが、その他の人物たち、主人公の父、母、姉、そして彼氏の父は物語の遠景で生活していて、主人公との対話にはほとんど加わりません。主人公の職場の同僚たちも物語の遠くにいて、対話の相手としては現れません。
主人公の女性は、自分が癌を発病した事実を家族に打ち明けないまま彼氏とふたりで闘病の方法を模索、ひとたび闘病を決意すると、その彼氏にも会社から通達された海外への出張を勧め(次回の検査に合わせて一度帰国する)、闘病はひとりきりで始めます。闘病を始める際も、家族には「過労のためしばらく療養する」と伝えるだけです。闘病中は、家族や職場の同僚とはスマートフォンで連絡を取り合うだけ、という設定にしました。
癌の闘病は孤独なものです。通常は病院での治療や薬剤、ホルモン調整剤の服用などで対応するわけですが、日常生活では、闘病者の癌の退縮に貢献できるような人物はいません。家族ですら、癌の退縮につながる何かを提供できるわけではありません。闘病者の不安と孤独は独特なもので、それを救済できる第三者は事実上存在しません。
(続く)





