11月23日
人体をかたちづくるほとんどの細胞は、核をもち細胞分裂により自身を複製する、いわゆる「真核細胞」です。真核細胞は細胞内小器官ミトコンドリアをもち、栄養の代謝とエネルギーの合成を同じ方法でおこないます。この点、免疫系と呼ばれる白血球の細胞群も同様です。
ところが、私の知るかぎり、栄養の代謝とエネルギー合成の中枢であるミトコンドリアをもたない細胞があります。それは、赤血球と角膜です。
赤血球は、人体でもっともありふれたものでありながら、謎の多い細胞です。造血幹細胞からつくられますが、成長すると核を細胞の外へ放出してしまいます。また赤血球は、ミトコンドリアすらもちません。赤血球の役割は、酸素の運搬です。
人の赤血球は、その歴史の中で絶えざる小型化をくりかえしてきたようです。これはまず、毛細血管を通過して細胞へ酸素を供給するためなのでしょう。また、人の直立二足歩行を成り立たせるため、つまり直立時、身体の最上部に位置する脳へ絶えず新鮮な血液を供給するためでもあるだろう、とも考えられます。
赤血球の場合、絶えざる小型化をくりかえしてきた結果、大量に産生されなければならない、という必要もあります。人体でもっとも個数の多い細胞は赤血球のようです。その総数は、人の体細胞の約半数を占める、と聞いたことがあります。
赤血球が産生された後、血球の外部へ抜け出た核がどこへ行くのか、今も明らかにされていません。
免疫系と関連のある血球成分ではないので、角膜については、私もよく知りません。ミトコンドリアは角膜にとって、光学的情報を伝達する際のさまたげとなるのでしょうか。識者の方に御教示いただければ、と願います。





