11月29日。
骨髄以外の臓器は、どのようなかたちで造血に関わっているのか。
ここでは、調査の結果わかったことだけをお知らせします。
◎肝臓と脾臓は胎児の造血器であり、出生後も潜在的造血器として、異変に応じて造血できるよう待機している。胎児は肝臓と脾臓で造血をおこない、生まれてくると、造血の場は骨髄へ移行する。ただし、骨髄の造血能がきわだっておとろえると、肝臓と脾臓はふたたび造血を始める。
出生後の肝臓の仕事は栄養(糖質・脂質・タンパク質)の分解と合成、アルコールやアンモニアなどの解毒。脾臓の仕事は古い赤血球の破壊(赤脾髄)とリンパ球の産生(白脾髄)。肝臓と脾臓は動脈と静脈によって直接連結されている。
◎腎臓は、血中の酸素濃度が低下すると、エリスロポエチンと呼ばれるホルモンを分泌して赤血球を増産させる。その意味で、腎臓は造血器のひとつと解釈することもできる。硬骨魚類は脾臓と腎臓で造血する。クジラ(水生哺乳類)は腎臓で造血する。オタマジャクシ(蛙の幼生期)は肝臓と腎臓で造血する。腎臓は体内で最も太い動脈や静脈と直接連結されているので、全身をめぐる血液は必ず腎臓を通過する。人の体内では、腎臓の主な機能は血液の濾過(糖・アミノ酸・ナトリウム・リンの再吸収)である。
◎動物の系統樹をたどると、最も原始的な造血器は腸管(小腸・大腸)である。小腸・大腸とも、門脈によって肝臓と連結されている。消化されたばかりの栄養豊富な血液は、腸管で吸収されてまず肝臓へ送られる。現在、人の腸管はリンパ球を産生する拠点でもある、と報告されている。
◎人の表皮が赤血球の増産をうながすエリスロポエチンを産生するという報告については、傳田光洋『賢い皮膚(副題:思考する最大の〈臓器〉)』、ちくま新書795,2009年、第4章 皮膚が感じる、表皮は酸素濃度を感じている、145頁、を参照。
人体中、どの臓器が造血してどの臓器が造血していないのかについて、はっきりした事実は今も確定していないようです。現代の解剖学や生理学で「造血系」という単元が成立するほど、人の造血に関する事実はまだ明らかにされていません。生きている人の内部を観察するのは技術的にむずかしいのかもしれないし、また、倫理的制約がるのかもしれません。
(続く)





