昨日、軽井沢で知られる野菜農家の方を訪ねました。互いに“畑馬鹿”と呼びたくなるような会話。美味しい野菜をつくるには――話は尽きません。
その方は町の農業委員でもあり、先日、当社が新聞に掲載されたこともあって、農業委員会でも話題になったそうです。「休耕地ばかりが増える軽井沢で、救世主かもしれない」そんな冗談交じりの言葉をかけていただきました。
けれど、現実はまだまだ。毎朝4時に起き、4時半から畑に出ます。どれだけ手を動かしても、「終わった」と思える日は来ません。雑草は毎日伸び、土はなかなか急には変わらないものです。
それでも、何かを変えたい。そう願って、今日も畑に立っています。
情熱なき人は、善事も悪事も為すに能わず。
夢中になって作業しているとき、あるいは諦めかけたとき、この言葉がふと心に浮かびます。朝日新聞「天声人語」を書いていた、故・深代惇郎(じゅんろう)氏の日記にある言葉です。
私が中学生の頃、深代さんは夭折されました(享年46)。学生時代、ご夫人とお話をしたことがあります。また、たまたま知り合うことになった深代さんの親友にもよくしていただき、我が家の玄関には、深代さんのヨーロッパ総局長時代にロンドンからその方に宛てた手紙が今も飾られています。
変わらない風景の中で、変わるものがある、来年は雑草も少なくなってくれるよねと信じて。畑に向かう朝は、今日も続きます。





