
2008年4月、下田と龍馬の歴史を知ってもらいたいと、仲間と共に「伊豆龍馬会」立ち上げました。ちょうど土佐屋さんがオープンされて間もない頃だったかと思います。
オーナーの斉藤さんが大の龍馬好きであったこと、この建物が、下田に龍馬が降り立った時代(下田での龍馬脱藩赦免が1863年1月、下田で蝦夷地開拓の夢を語ったのが1864年6月)よりも前に建てられた歴史的建造物(土佐屋さんは1854年建造)であること、龍馬の故郷、土佐の名前を冠したお店であることから、私にとっては心震える場所です。
龍馬会の繋がりは日本だけでなく世界中に広がっています。龍馬好きの仲間が下田に来てくれた時は必ず土佐屋さんに連れていきました。
全国龍馬社中の橋本会長、タイ龍馬会の苅部会長、東京龍馬会、東海ブロックの皆々様、偉人の子孫の方々…数え上げればきりがありませんし、どなたも土佐屋さんが大好きになりました。
またたくさんの出会いも頂きましたが、一番印象的だったのは、土佐屋さんのカウンターに座った時、斉藤さんに「石垣さんに紹介したい人がいるよ」と隣にいた方を紹介して頂いたことでした。その人物は、西郷隆盛、勝海舟とも深い縁があり、大正時代に2度も内閣総理大臣に就任された山本権兵衛の玄孫の方でした。
神奈川県の方でちょうどこれから龍馬会を立ち上げたいと考えられていて、そこから本当に深いお付き合いをさせて頂いています。
伊豆龍馬会のイベントで、坂本家第9代目当主の坂本登さんをお招きした時、土佐屋さんでの時間に緊張の心がほぐれ、「龍馬さんとお吉さんはきっと下田で会っていたね…」という言葉を坂本さんにかけて頂いた事に心が躍り、土佐屋さんの暖簾をくぐった時に見えた素晴らしい月に、龍馬の史跡がある宝福寺の竹岡ご住職と共に、どちらともなく「いい月だね」と言い合えた事は、二人の間で、今でも語り草になっています。
私の中では、下田から土佐屋さんが無くなるなんて事は考えられません。
風待ち港下田は、昔から内外問わず多くの人が交わった土地です。
これからも歴史を守りながら、人を繋ぎ、笑顔溢れる土佐屋さんであってほしい…。心からそう思います。
伊豆龍馬会 副会長 石垣直樹



