
被爆80年にあたる今年、ckinoco(キノコ)は、個展「特別なあたりまえ」を7月29日からリーダン・ディートにて開催致します。本展では1945年に広島県で生まれ育った板前の人生を下敷きに、広島の歩みを振り返る展示を試みます。
展覧会「特別なあたりまえ」
作家 ckinoco(キノコ)
期日 7月29日ー8月4日
レセプション 7月29日 18時から20時まで
会場 ReadanDeat (リーダン・ディート)
〒730-0802 広島県広島市中区本川町2-6-10 和田ビル203
TEL:082-961-4545
営業時間 11:00-18:00 定休日 火曜日
https://readan-deat.com/
今年、原爆が投下されて80年。僕の父親も80歳になる。遠く離れていても、帰る場所は広島。僕にとってここは、「あたりまえ」が詰まった街だ。あたりまえに歩く道、あたりまえにいる親、あたりまえの平和。だけど、「あたりまえ」って、一体なんだろう?
父・小平直人は、広島の繁華街で寿司屋を営んでいる。その店には、ヤクザ、政治家、医者、教授、風俗嬢、サラリーマン、外国人、赤ちゃんや子どもまで、誰もが同じカウンターで寿司を食べている。外では、多くの人がネオンの下で騒ぎ、笑っている。世界には、砲弾の音を聞きながら電気すらない生活をしている国もある。「日本は平穏だなあ」と、つくづく思う。明け方、人通りも少なくなり、店のゴミを外に出したとき、ふと白んだ空を見上げて思う。
「たった80年前、ここは焼け野原だったんだ」
僕の「あたりまえ」は、そんな場所にある。この店や、そこに集うたくさんの人たちが、僕を育ててくれた。喧嘩もあったし、事故もあった。でも、この場所を焼け野原に変えるほどの原爆に比べたら、些細なことだ。そんな「あたりまえ」が、いつまで続くのかはわからない。時代もあるし、自分の年齢もそう。
今、それを考えるタイミングなんだろう。この展覧会では、広島で半世紀以上寿司を握り続けてきた小平直人と、彼の店を訪れた人々の姿を、当時の写真とともに振り返り、戦後から今日までの80年を見つめ直したい。幼少期や、開業前後の記念写真、店内でのスナップ、テレビ出演時の写真などを通じて、広島に生きる日常の風景が浮かび上がってくる。
そしてもう一つ。
動き続ける人々とは対照的に、言葉を発さず、じっとこの街の復興と変化を見守ってきた存在が「被爆樹木」だ。広島市内には、いくつもの被爆樹木がある。街路樹のように立っている木もあれば、私有地にあり目立たない木もある。いつも通り過ぎてしまう「あたりまえの木」かもしれないけど、彼らは原爆を耐え抜いた、あの日の証人でもある。そんな木々には、いつでも会いに行けるし、触れることもできる。歴史の傷跡を残す自然が息づくこの街は、はたして本当に「あたりまえの街」なのだろうか。
そう考えれば考えるほど、広島の人や街は「特別」な存在に思えてくる。そんな特別なあたりまえを、僕は心から愛している。
この思いに賛同してくれたckinocoのメンバーとともに、僕たちの「あたりまえ」を見つめ直す展覧会を開きます。
ckinocoのメンバー
小平篤乃生
展覧会の構成は、
ー 小平直人の幼年期から現代までの写真アーカイブをギャラリーのガラス壁全体に展示。
展示数はハガキサイズぐらいの写真40枚程度(非売品)
ー 「被爆都市手帳ヒロシマ」の限定ポスター
ー 胡子神社のこま札(創業の年から今年まで)(非売品)
ー すし庵のお持ち帰りの折り箱 (非売品)
ー 被爆都市手帳ヒロシマ(折りたたみ式)
ー 展覧会記念の「すし庵」手拭い
ー 展覧会記念の「すし庵」湯呑み
関連イベント
「すし庵」にて、ckinoco制作の被爆都市手帳ヒロシマのポスターと立花文穂のポスター、小平篤乃生のフォトドローイング作品を展示致します。
すし庵
広島市中区薬研堀4-11
082-241ー1900
営業時間18時から23時、定休日は日曜、月曜、祝日
会期期間は7月29日から
カウンターのみのお店のため、観覧は店での飲食をする人に限られます。




