私たちKARURAプロジェクトは、宇宙探査やロボット開発を志す学生たちが、日本全国やアメリカから集まり、模擬火星探査ローバーの開発に取り組んでいる学生団体です。
そもそも宇宙探査ローバーとは、火星のような惑星の地表を走りながら探査を行う車型ロボットです。
私たちは、世界最高峰の学生ローバー大会「University Rover Challenge(URC)」に挑戦しています。2024年には、日本から初、そして国際チームとしても初めての決勝出場を果たしました。さらに今年も、世界中の学生チームがしのぎを削る厳しい審査を突破し、2年連続での出場権を獲得しました。
大会は、アメリカ・ユタ州にある火星実験フィールドMars Desert Research Station(MDRS)で毎年5月ごろ開催されます。
ここは、「地球で最も火星環境に近い場所」とも呼ばれており、NASAも訓練のために使用しています。
大会では、火星探査を想定した4つのミッションが課され、実際の火星ローバー運用に必要な技術力が試されます。高い走破性を持つローバーや、安定した通信システム、高性能なロボットアームや生命の有無を調べる科学機器すべてを、自分たちで設計・製作・運用して挑みます。
昨年大会では、回路の接触不良によりアームが動かず、自律走行ミッションではGPS座標を取得できないなど得点が伸びませんでした。また、砂漠会場の強い直射日光によってオーバーヒートが発生し、ローバーが本来の性能を発揮できない場面もありました。極限環境での運用の難しさや、世界大会の厳しさを実感した1年目でした。
当時は、まずは大会に参加し、現場を経験することが大きな目標でした。しかしその経験を経て、今年は“参加”から“戦う”フェーズへと移り、設計を見直し新ローバーを開発、各ミッションに向けた検証や練習を重ねてきました。
URC2025では、ローバーの性能を最大限に発揮できるよう、チーム一丸となってベストを尽くします。
数年前まで、宇宙開発は国際宇宙ステーション(ISS)をはじめ国を超えた協働が盛んに行われていました。しかしここ数年はISSの運用期限が迫る一方、各国による独自の宇宙ステーションの開発が行われてきているなど、国際的な宇宙開発は縮小傾向にも見えます。
様々な国の技術、アイデア、文化を集め国を超えた宇宙開発を行うことで、決して一国では実現できないミッションを作り上げ、実現させることができると私たちは考えています。
同じ志を持った学生が国を超えたチームを作り火星ローバーの製作に挑戦する。そして早くからグローバルな宇宙開発を経験した私たちが、将来の世界の宇宙開発を担っていきたいと考えています。
2022年のチーム結成から約2年半、ローバーの設計・機体製作・回路設計・ソフトウェア開発・科学探査・現地での運用まで、すべてを学生の手で実現。発足1年半の初エントリーながらURC2024に出場を果たしたほか、JAXA「宇宙探査フィールド」や鳥取県月面実証フィールド「ルナテラス」での実証実験を行うなど、数多くのマイルストーンを達成してきました。このような実地での経験を通して、“実践的な技術力”と“チームで動く力”を磨いてきました。
2025年3月には国内大会「鳥取ローバーチャレンジ(TRC)」に出場し、URC2025に向けた機体の改良点や、やり直しのきかない“大会本番”の難しさを痛感しました。
トラブルに直面するたび、原因を突き止め、改善策を議論し、対応してきました。その積み重ねが私たちを支えています。
しかし、大会に出場するうえで、どうしても避けられないのが資金の壁。特に、高い技術と情熱を持ちながらも、金銭的な理由で現地に行けないメンバーが出てしまうのは、チーム全体にとって大きな損失であると同時に、将来を担う人材の成長機会を失うことにもつながります。
本気で、世界に挑みたい。その想いを形にするために、私たちは遠征費の一部をまかなうクラウドファンディングに挑戦します。
KARURA Projectは、日本とアメリカから集まった、宇宙、ものづくりへの情熱を持つ約80名の学生から構成され、日本国内では東北から九州まで、全国各地でメンバーが活動しています。多様な専門分野とバックグラウンドを武器に、国際的かつ遠隔拠点でのローバー開発という、前例のない活動に挑戦しています。
KARURA Projectでは、ローバーの製作、生命探査手法の開発、チーム運営まで学生が担い、エンジニアリング、サイエンス、ビジネスという3つのチームに分かれて活動しています。
エンジニアリングチーム
ローバー機構の製作やプログラムを担当。精密な動作を要求されるミッションと大会会場の過酷な環境に対応するため、技術開発やローバー製作に取り組み、チームの技術的中核を担います。
サイエンスチーム
生命探査ミッションの手法検討と探査機器開発を担当。生命の定義という根本的な問いから実際の機器開発までを幅広く担い、理学と工学の知識を融合させた活動をしています。
ビジネスチーム
資金調達、広報、クラウドファンディングの企画・実行など、チームを運営面で支えます。このチームは、多くのエンジニア、サイエンスのメンバーが兼任しています。挑戦を広げるため、自ら発信し、支援を募る――その姿勢も、私たちの強みの一部です。
それぞれの専門分野への情熱を持った学生たちが力を合わせ
独自のローバーをつくりあげています
KARURA2025ローバー紹介動画(大会審査動画)
↑↑↑私たちの技術を5分間にギュッと詰め込んだ動画です!ぜひご覧ください↑↑↑
各SNS紹介
各SNSでは、日々の活動報告、イベントの様子、メンバーインタビューやプロジェクトの裏側など、リアルで親しみやすい情報を発信中です。ぜひ私たちの活動をチェックして、応援やご意見をお寄せください。
皆さまの声が、次なるステージへの一歩となります!
公式HP
【メディア掲載】
2023.07 日本経済新聞 鳥取砂丘に月面実証フィールド 県、宇宙産業創出へ点火
2023.09 鳥取メディア複数 鳥取の月面実証フィールドルナテラスでの実験について
2024.05 富山新聞 富山高専のメンバー中心に一面に掲載
2024.05 宇宙系VTuber宇推くりあ様とコラボ 特別配信を開催
2024.09 鳥取メディア複数 鳥取の月面実証フィールドルナテラスでの実験について
2024.09 NHK 団体紹介、鳥取実験が全国放送
2024.11 朝日中高生新聞 国境を越え自由に宇宙開発を 火星探査車の開発に取り組む国際学生団体「KARURA」
2025.03 【強豪チーム「KARURA」を取材】会場は鳥取砂丘近くにある月面実証フィールド「ルナテラス」 宇宙を目指す学生たちの戦い「鳥取ローバーチャレンジ」
他
【展示会出展・学会発表等】
2023.2 国際宇宙産業展
2023.5 ローバー展示@日本科学未来館
2024.3 未来宇宙産業フォーラム登壇
2024.6 宇宙漫談 in Tokyo登壇@日本橋 Cross Tower
2024.9 Maker Faire Tokyo 2024出展@東京ビックサイト
2024.9 第42回日本ロボット学会学術講演会 口頭発表
2024.9 日本惑星科学会誌第33巻第3号解説記事掲載
2024.9 生命の起源と進化学会夏の学校2024 ポスター発表
2024.9 日本宇宙生物科学会第38回大会口頭発表(学生優秀発表賞)
2024.11 第68回宇宙科学技術連合講演会口頭発表・ポスター発表
2024.12 JAXA主催 金属AMワークショップ 登壇
他
最新の活動報告
もっと見る【50万円突破!】エンジニア部門の紹介/日本エンジニアリング部門リーダー高松俊介
2025/05/15 21:49ご覧くださりありがとうございます!クラファン開始16日目です!現在、皆さまから50万円のご支援を頂いております!目標額の半分を突破しました!!本当に多くの方に応援していただいていることを実感しています!本日は、KARURAの日本エンジニアリング部門リーダーの高松から、エンジニアリング部門について紹介します。-----------名前:高松俊介 (たかまつしゅんすけ)学校:早稲田大学 基幹理工学研究科 機械科学・航空宇宙専攻 修士2年役職:日本エンジニアリング部門リーダー-----------初めまして!KARURAの日本エンジニアリング部門リーダーの高松俊介と申します。KARURAでは、ローバーの電源回路などの開発をしながら、エンジニアリング部門のリーダーとしてローバー製作のマネジメントをしています。本日は、私の自己紹介と、所属するエンジニアリング部門の活動について紹介をさせていただきます!KARURAに参加した経緯私は、小さな頃から模型などの工作が好きで、中学、高校では電子工作を通して電気工学、プログラミング、CADに触れてきました。大学入学後は、自分一人では作れないような大きなものを作りたい、という想いからロボコンサークルに入会しました。↑ロボコンサークルでは、電装担当としてモータードライバー基板の開発を担当していました。しかし、入学したのは2020年。コロナ禍の中、対面での活動が禁止され、最初はサークルとしての活動もままなりませんでした。3年生の頃には状況は改善したものの、不完全燃焼な感じを拭いきれないまま引退を迎えます。その時に偶然耳にしたのが、KARURA設立の話でした。自分のものづくりに対する情熱を燃やせる場所がほしい、これまでの経験を活かして新しいことを始めたいという気持ちから、チームの立ち上げ準備に参加しました。チームが発足した後は、試作初号機と2025年大会機体の製作でエンジニアリング部門のマネジメントを担当しています。KARURAは学年の制限なく活動ができるのも魅力の一つです。私のような大学院生や、高校生など、幅広い層のメンバーが活躍しています!エンジニアリング部門の活動KARURAには3つの部門があり、エンジニアリング部門は、主にローバー本体の開発を担当しています。ローバーの全体像ローバーの製作は、単に部品を組み立てるだけではなく、機構、電装、ソフトウェアなどそれぞれの分野で開発すべきものがあります。そこでKARURAでは、機構、分野ごとにサブチームを設けて、必要な要素に特化した開発をしています。エンジニアリング部門では、3つのサブチームが日米の国際チームであり、両国のメンバーが協力してローバー開発に取り組んでいます。モビリティ:ローバーの車体部分の製作と制御を担当。車体部分はローバーのコンポーネントの中で唯一、全てのミッションで使用するため、特に耐久性や信頼性が求められます。アーム:ロボットアームの製作と制御を担当。複雑かつ精密な動きを実現するため、自作の減速機構や逆運動学を用いた操作の省力化に取り組んでいます。AN(自律走行):自律走行ミッションのソフトウェア作成を担当。自律走行に求められる、センシング、自己位置推定、経路計画などの技術を開発しています。アメリカには、これらに加えて、2つのサブチームがあります。通信:ローバーと地上局の通信機器開発を担当。大会で求められる、長距離、高容量の通信を実現するため、ハードウェア、ソフトウェア両方の開発をしています。地上局:ローバーの操縦に使用するソフトウェアの開発を担当。大量の情報を効率よく操縦者に伝えるための操作インターフェースを設計しています。日米共同のものづくり日本とアメリカの学生が協働でものづくりに取り組むことは、KARURAの最大の特徴であると同時に、最もチャレンジングな課題でもあります。私たちは、この課題に挑戦するため、オンラインツールを活用しつつ、最も良い国際協力体制とはどのようなものかを模索しています。分担の形は、それぞれのサブチームの特徴に合わせて変化させています。例えば、モビリティは日本とアメリカ両方で必要なため、互換性を残しながら2通りの設計で機体を製作することで、試作の回数を増やしています。一方、アームのチームでは両国のメンバーが分担して設計、製作して1台のアームを完成させます。このように、KARURAのメンバーは学生による国際的な宇宙開発のモデルケースとなるべく、日々試行錯誤を重ねています!↑日本とアメリカのメンバーによるオンラインミーティング。会話はもちろん英語です。活動の様子ここでは、活動の様子を写真とともに紹介します!↑KARURAの関東付近の活動拠点である「Tokyo Innovation Base」。作業スペースだけではなく、工作機械もあるため、ローバー製作に必要な本格的な加工が可能です。↑ローバーの実験は屋外で行うことも多いです。屋外での実験は電源や時間の制約が多く、効率的なマネジメントが求められます。おわりに最後まで読んでいただき、ありがとうございました!URCまで残り2週間ほどとなり、製作も大詰めを迎えています。大会に万全の状態で臨めるように、残りの期間も全力で準備を進めていきますので、これからも応援をよろしくお願いします! もっと見る【クラファン開始!】自己紹介とチームの野望/日本リーダー辻紅那
2025/05/01 21:55ご覧くださりありがとうございます。クラファン開始2日目にして、なんと22万円のご支援を頂いております!皆様の声援が力になります!本当にありがとうございます。本日は、KARURA日本リーダー・共同代表の辻から、自己紹介とチームの野望についてお話しいたします。-----------名前:辻紅那(つじくれな)学校:東京理科大学創域理工学部機械航空宇宙工学科3年役職:日本リーダー・共同代表-----------初めまして!KARURAの日本リーダーを務める辻紅那と申します。私は将来、地球外生命体や宇宙資源を調査する宇宙探査機の開発をしたいという夢があります。この夢を叶えるため、大学入学と同時にKARURAに飛び込みました!チームではリーダーとしてチーム全体のマネジメントや運営を担っている他、ハードウェアメンバーとしてタイヤの設計を担当しています。今日は、私の自己紹介、そしてチームの特徴や野望について紹介します!これまでの歩み私の一番の強みは、「行動力」だと思っています。自分が興味を持ったもの、学びになると思ったものにはとりあえず飛び込んでみることがモットーです。私は小学生時代から宇宙が大好きで、中学生の頃には宇宙工学に携わることを夢見ていました。中学2年生から人工衛星を開発する社会人団体(リーマンサットプロジェクト)に所属し開発に関わったり、高校生時代にはロケットガール&ボーイ養成講座というプログラムに参加し、半年かけてハイブリッドロケットのミッション設定、製作、打ち上げまで全てを経験しました。この時出会った仲間とは、今もKARURAで一緒に開発を行っています。高校時代に製作したハイブリッドロケット特許を取得した「無重力空間において使用可能なハンガー」そのほか、高校は機械科に通い、授業で機械工学の基礎を学んだり、研究に取り組んだりしました。その中で、「宇宙空間でも使えるハンガー」を発案し、このアイデアで令和3年度パテントコンテスト選考委員長特別賞を受賞し、実際に特許を取得しました。経験をKARURAへこのような幅広い経験が全てKARURAでの活動に繋がり、色々な場面で活かされています!それと同時に、モビリティ部品の技術、マネジメントやビジネスの心得など、KARURAで新しく学んだことも数えきれないくらいあります。KARURAにはこのように、これまで他の団体やプログラムで経験を積んできてその経験を発揮しているメンバーもいれば、全くの未経験からKARURAで多くを学び成長しているメンバーもいます。経験も知識も分野もバラバラな学生が、同じ目標のもとで切磋琢磨しあうこと。それこそが、KARURAの一番の強みだと感じています!私たちのチームには、日本全国から「宇宙開発に携わりたい!」「地球外生命を見つけたい!」などの情熱を持つメンバーが集まってきています。関東に住んでいなくても、宇宙系の専攻でなくても、火星探査ローバー開発に携われる。そして、同じ情熱を持つ仲間とともに成長できる、そういったチームを目指しています。KARURAの野望KARURAが数年、数十年続いていくことで、このチームから宇宙開発を牽引する人材が育っていくこと、そのような人材に自分たちがなることが目標です。今はURCで優勝することが目標ですが、いつか実際に火星にローバーを持って行けるように開発を続けたいと思っています。そして今KARURAでともに開発に携わる仲間と、大人になってから宇宙開発の舞台で再会し、再び同じ目標のために研究・開発をすることを夢見ています!!この一見壮大で難しい挑戦に向けて、私たちは現在、目の前の課題にコツコツ取り組んでいます。大きな目標を達成するため、まずはURCで自分たちの実力を出し切ってきます!あなたの応援が、私たちの挑戦を大きく前に進めてくれます。一緒にこの挑戦を盛り上げていけたら嬉しいです!ぜひ応援よろしくお願いいたします!【番外編】リターン紹介私がおすすめするクラファンリターンは、タイヤ型キーホルダーです!実際のタイヤを忠実に再現し、外側の黒い部分は本物と同じ素材であるTPU(ゴムのような弾性のあるプラスチック)、中にはベアリングが入っているなど、細部にもこだわっています。KARURAロゴのアクリルキーホルダーもついて、可愛く仕上がっています。実は、タイヤ開発を行っている私が設計を担当しました!ここでしか手に入らないKARURAらしいリターンになっていますので、ぜひチェックしてみてください!※画像はイメージです もっと見る
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