
クラファン公開に伴い、ARES Project を支えるメンバーたちの想いをお届けします。
第4弾は、ARESピカイチの美的センスを持ち、その設計に込められた"こだわり"でメンバーを圧倒する Akki。
サイエンス機構リード・ドローンリード・ローバー機構におけるボディ設計を担当するなど、幅広い領域でそのセンスを発揮し、チームをしなやかに牽引しています。
常に考え抜かれた彼の“こだわり”は、「創る」ことの奥深さと自由さを教えてくれます。
人によって「良いもの」の定義はさまざまですが、彼は新しい発想でその概念を再定義し、チームを新たな道へと導いてくれます。

AKKI:サイエンス機構リード・ドローンリード・ローバー機構(ボディ設計)
✴︎ ARES で担当していること
ARESでは主に機構面を担当しており、ARES 8 から 新号機 ARES 9 に至る板金ボディの設計に携わってきました。
今年からはサイエンス機構のリードも務め、機構の取りまとめと設計を担当しています。サイエンス機構は、理論チームが考える実験を自作の実験モジュールで実現するという、非常に挑戦的な開発体制です。理論チームと密にコミュニケーションを取りながら、アイデアを形にしていく面白さを感じています。
また、URC(University Rover Challenge)で使用するドローンの開発も担当しています。開発以外でも、スポンサー企業様とのミーティングを通して実際の企業交渉に携わる機会もいただき、技術と社会の両面で多くを学べていると感じています。
✴︎ 大切にしていること
私が設計において最も大切にしている信念は、「美しいものは、強く、そして軽い」というものです。
自然界のあらゆる造形物は、その環境において最も合理的かつ効率的な構造を持ち、結果として必然的な「機能美」を備えています。私たちが開発するローバーも例外ではありません。一見すると無機質な機械ですが、その設計には常に機能性から導かれるデザイン性と、過酷な環境に耐えうる高強度を両立させることを追求しています。
この思想の原点は、中学・高校時代に没頭した登山経験にあります。大自然の中で目の当たりにした造形物は、どれもが合理的で、強く、そして例外なく美しいものでした。この時に肌で感じた感覚が、私の設計思想の礎となっています。
また、昆虫や生物の優れた構造から着想を得て、新たなブレイクスルーを生み出すバイオミミクリーのような開発手法にも強い憧れがあります。
自然が示す合理的な「美しさ」と「強さ」を、自らの手で工学的に体現すること。
それが私の目標です。
撮影者:Akki
撮影者:Akki
撮影者:Akki

✴︎ PASSION
現在、私が最も意欲的に取り組んでいる開発の一つに、「ラマン分光計」の自作があります。これは来年のサイエンスミッションで導入を検討している極めて高度な分析装置です。通常、市販品を導入しようとすれば数百万から数千万のコストがかかります。
私たちはこの高額な装置を、学生チームならではの工夫と技術力で、圧倒的な低コストで実現するという挑戦をしています。「本当に実現できるかわからない」という高い壁に対し、限られた予算の中で「どこまで高精度なものを生み出せるか」を追求する。これこそが、私たち学生チームだからこそ味わえる開発の醍醐味であると感じ、非常に楽しく取り組んでいます。
そして、もしこの高難度なモジュールが完成したならば、それを論文などの形でチーム全体の確かな成果として発表したいという想いも、私を突き動かす大きなモチベーションの一つです。

設計中のサイエンスモジュール
✴︎ 今後ARESで挑戦したいこと
だいぶ先の話になってしまいますが、いつか本当に宇宙にいくロボットの開発に挑戦してみたいなと思っています。正直なところ、ARESに入った当初は、そこまで宇宙開発に携わりたいという強い思いはありませんでした。しかし、このチームで開発を続けるうちに、「いつの日か実際に宇宙に行くロボットを開発してみたい」という思いが芽生え、今では一つの目標になっています。
ARESでの出会いは特別です。チームメンバーの技術力が高いのはもちろんのこと、本当に個性的な仲間たちが集まっています。私自身、来年のURCで第一線の開発からは退こうと考えています(どうなるかわかりませんが笑)。また、研究室では宇宙開発とは全く違う分野に進みます。ですが、もし巡り巡って将来、このARESで出会った仲間たちと再び集まり、「本当に宇宙に行くロボット」を開発できたなら、それ以上にエキサイティングなことは無いだろうと思っています。
その壮大な未来への第一歩として、まずはARESでの直近の目標である「来年のURCで、必ず世界の頂点を取って帰ってくること。」これを実現できるよう、これからの約半年間、開発に勤しんでいきたいと思っています。






