
(撮影:宇壽山貴久子)
向坂くじら(さきさかくじら)さん
詩人。「国語教室ことぱ舎」代表。Gt.クマガイユウヤとのユニット「Anti-Trench」でアーティストとしても活動。2022年第一詩集『とても小さな理解のための』を刊行、近刊に詩集『アイムホーム』小説『踊れ、愛より痛いほうへ』など。1994年名古屋生まれ。慶應義塾大学文学部卒。
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『いなくなくならなくならないで』『踊れ、愛より痛いほうへ』の2作連続で芥川賞にノミネートされた向坂くじらさん。飛ぶ鳥を落とす勢いです。でも、ご本人は全然変わらないのが嬉しい存在です。
くじらさんを初めて「観た」のは、2018年の俊読。少し掠れた声と、声に寄り添うギター。「Anti-Trench」で聴く俊太郎さんの詩は、文字だけで読んでいた作品の世界に色をつけてくれたような気がしました。声フェチ(!)の私にとって、くじらさんの声は本当にツボで、お会いするたびに「声がいい」と言い続けてきました。
次に「お会い」したのは、2019年10月でした。
昨日は書きませんでしたが、桑原滝弥さんは、俊読をはじめとするご自身のイベントでいつも「被災地への支援金」を集めており、それを被災地に届けパフォーマンスをする活動もしています。俊読2019も同様に支援金を集め、「その支援金をもって、胆振東部地震の被災地に行く」と約束してくださいました。(俊読2019は来場者数は100名超。本当に多くの支援金が集まりお渡しすることができました)。
実はその俊読2019の時に、スタッフとして助けてくれた詩人の故永しほるさん(当時の筆名は大江那果さん)の出身地が、胆振東部地震で被災したむかわ町だったこともあり、2019年10月、桑原さんは東京から向坂くじらさん、URAOCBさんを、北海道からは故永しほるさんと、俊読2019に出演したハルちゃんと共に、むかわ町の「法城寺」さんでイベントを開催してくださったのでした。(私は行けなかったのですが、友人が車を出してくれ、有志のご夫婦がお手伝いをしてくださいました)

そしてその日の夜には俊カフェで、三角みづ紀さんとレンコンズも加わり、(ハルちゃんは小学生だったのでむかわ町でお別れし)、『ただ命がけで詩を詠む夜』を開催。あの「Anti-Trench」で聴いたくじらさんの声を、生で聴いて感動したのでした。
後に、俊カフェ常連である町田すみさんのご縁で、くじらさんが所属する「胎動レーベル」のikomaさんとつながったのですが、ikomaさんの活動の中にも、必ずと言っていいほどくじらさんの存在はありました。2017年に開催された『ウエノ・ポエトリカン・ジャム』でも、俊太郎さんとくじらさんは同じステージに立っていました(三角みづ紀さん、文月悠光さんも!)。

(2017 UPJにて。写真:山崎奏太郎)
2021年には「Anti-Trench」のアルバムを2枚同時発売。俊カフェでもお取り扱いをさせていただいてます。

2022年には第一詩集『とても小さな理解のための』を刊行。その発売日に向けて毎週、Xのスペースでゲストを招いてくじらさんがお話ししていたのですが、私も僭越ながらその1人に加わっちゃいました。
そして昨年の夏。芥川賞候補となって取材が殺到したくじらさんは、ふらりと北海道へ。俊カフェにも顔を出してくださり、しばしのんびり過ごしてくださいました。

昨年12月には桑原滝弥さんのYouTubeチャンネル「詩人類/桑原滝弥」にくじらさんがゲスト出演。私もお題を出す人として名前だけ参加しました。
https://youtu.be/HYltXl7Qa_k?si=FrkoLiPuOaLdMNB3
俊太郎さんとは、俊読やUPJなど同じステージに立ったことのあるくじらさん。ことばととことん向き合うくじらさんが、どんな詩を書いてくださるのかとても楽しみです。




