
(写真:深堀瑞穂)
高瀬“makoring”麻里子さん(まこりん)
96年より谷川賢作(P)率いる、現代詩をうたうバンドDiVaのボーカルに(写真中央)。谷川俊太郎をして「まこりんの歌で聴くと、詩が活字で読むよりもずっと深く心に届くのに驚く」と言わしめた、日本語のうたの表現には定評がある。自ら率いる、ハモり女子三歌楽坊"トランスパランス"、伴奏者なしの"まこソロ"など、ライブスタイル多数。ドラマや映画音楽への参加、子供向けアルバムへの参加、舞台の歌唱指導なども。野口観光リゾートホテルCM風シリーズでもお馴染み。
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まこりんとの出会いは1999年。私が雑誌編集者時代に、DiVaのプロモーションで札幌を訪れたまこりんを取材したところまで遡ります。その後、1年ほどまこりんが札幌に在住し、その間に急速に親しくなりました。
まこりんは谷川俊太郎さんと一緒のステージに立つことも多く、私は会話の中で、俊太郎さんの素顔(とは言っても本当に触りだけ。おまんじゅうは粒あんが好きとか、そういうこと)を聞くことになります。私が初対面から「谷川さん」ではなく「俊太郎さん」と、自然とお呼びするようになったのも、まこりんの影響です。
2014年頃から、私は「俊太郎さんのものばかりを集めた場を作りたい」と思うようになり、一番初めにその話をしたのもまこりんでした。「東京ではブックカフェがすごく増えてきている。もしやるのであれば、早いほうがいいかもしれないね」と言ってくれました。(しかし実際は、かなり心配をかけていたことと思います…)
2015年、友人のギャラリーで「とても個人的な谷川俊太郎展」を開催。延べ1000人以上のお客様がきてくださり、さらにはまこりんが、オール谷川俊太郎のソロライブを開催してくれました(サポートには、札幌で活躍するミュージシャンの扇柳トールさんがついてくださいました)。会場いっぱいに集まったお客様に、素晴らしい歌声を披露してくれ、俊太郎さんの詩を歌で聴く喜びも届けてくれました。
その後、2017年5月3日に無事俊カフェをオープン。その日は別の地域でDiVaと俊太郎さんのライブがあったので、まこりんは俊太郎さん、賢作さんと一緒におめでとうの動画を送ってくれたのでした!
それまで私は、まこりんソロライブを陰ながらサポートしていたのですが(とは言ってもチラシを作ったり受付をする程度)、俊カフェができてからは、まこりんソロライブ、DiVaライブ、トランスパランスライブなど、北海道に来るたびに趣向を凝らしたライブを開催。あっという間に俊カフェのお客様にもファンが増えました。
2018年1月には俊太郎さんとDiVaで札幌へ。200席の六花亭ふきのとうホールをいっぱいにした翌日は、俊カフェでミニライブを開催。熱い視線を集めました。

さらに2019年5月の俊読にも、私のたっての希望で出演をしていただきました!まこりんらしい、バリエーションに富んだ内容で会場を沸かせました。
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そして昨年。11月に賢作さんから、俊太郎さんの訃報が届いた後の数日間。誰が知っているかわからないまま、じっと悲しみと喪失感を抱えていたとき、まこりんからぽつりとメッセージが来ました。言葉を失った私たちは、ただただ悲しみを、静かに共有しました。
その後、私からだったか記憶が曖昧なのですが、覚和歌子さん、まこりん、私の3人で、俊カフェで私たちだけが話せる俊太郎さんのお話をしませんか?という流れになり、5月29日(木)夜に、3人で俊太郎さんのことを徒然なるままに話しました。この日は俊太郎さんや覚さん、まこりんと一緒に仕事をしたことのある方々が遠方から足を運んでくださり、たぶんそこには俊太郎さんの魂もきていたのでは…と感じる濃密な時間となりました。
(時計回りに覚和歌子さん、小松からの榊原千秋さん、フルート奏者の坂上領さん、まこりん、古川。写真は坂上さん)
*この会は、9月23日(火祝)、そして俊太郎さんのお誕生日12月15日(月)にも開催予定です。
まこりんのことは、本当に書けばキリがないのです。それだけ私たちはたくさんの時間を共有してきましたし、まこりんも俊太郎さんと多くの時間を過ごしました。俊太郎さんはまこりんに、「まこりんの鈴(りん)」という美しい詩を贈りました。
魂に沁み込む歌を届けるまこりん、作詞もするまこりんがどんな詩を届けてくれるのか。とても楽しみです。




