
谷 郁雄(たに いくお)さん
同志社大学在学中に詩人の吉増剛造さんに出会ったことがきっかけとなり、詩作を始める。これまで刊行した詩集は40冊ほどあり、さまざまなジャンルの表現者とのコラボレーション詩集を数多く刊行。ホンマタカシさん、佐内正史さん、リリー・フランキーさん、吉本ばななさん、尾崎世界観さんとのコラボ詩集などがある。作品は、数多くの合唱曲になり、中学校の教科書の巻頭詩にも選ばれている。noteで「谷郁雄の詩のノート」を無料公開中。
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谷さんとの交流が始まったのは、俊太郎さんが亡くなられた少しあとの11月23日。インスタのメッセージで、谷さんが俊太郎さんについて書かれたnoteの記事を送ってくださいました。そして、俊カフェ頑張ってくださいね、と一言添えられていました。
俊太郎さんの訃報が世に出た直後から、私は携帯への電話、メール、店の電話も途切れることなく、ただ黙々と「そのこと」を受け止めきれないまま、呆然と時間を過ごしていました。そんなときに届いた、谷さんの短いなかに込められた思い、行あしの短い詩に、ふと呼吸を取り戻したような感覚がありました。
それから以降は、時々noteの記事に「よい1日を」という一言が添えられ、メッセージが届くようになり、それは日々の楽しみとなりました。
5月に催されたお別れの会でお会いできますね!とやりとりしていたのですが、500人超という中に、谷さんのお姿を見つけることは叶わず、実はまだお会いしたことはないのでした。
でも、谷さんの作品には触れていました。
ある時、ふらりと入った本屋さんで買った一冊。言葉もさることながら、手書きの文字がすごくいいな、と思い購入しました。

俊カフェでもお取り扱いしている、poegirlという詩のブランドの中に、何人もの詩人の方々の作品のポエカードというものがあるのですが、そのなかに谷さんの詩が一篇あります。「祝福」。きれいごとばかりではない、でも心からの祝福を感じる、芯をつく詩です。
2006年刊の雑誌『少年文芸2』は、俊太郎さんの詩が載っているので買ったのですが、ページを捲ると谷さん特集がありました(書き下ろし詩/長島有里枝さん、リリー・フランキーさんとの写真コラボ/御徒町凧さんとの対談)。
そして、俊カフェ開店時から応援してくださっている松崎義行さん(後にご紹介します)の出版社・ポエムピースから出版された、谷川俊太郎さんの詩集『となりの谷川俊太郎』は、谷さんの編集です。
お会いしたことはなくとも、作品に触れているということ、編集したものに親しんでいるということは、もう出会っているといってもいいかもしれない。そう思えるのでした。
谷さんからはすでに作品が届きました。なんとやさしくユーモアにあふれているのだろうと、嬉しくなりました。どうぞお楽しみに!




