
みなさま、こんにちは。Cultiva代表の副田大介(そえだ だいすけ)です。
連日にわたる多数のご支援、誠にありがとうございます。
本日は、Cultiva糸島醸造所で使用している「木桶」についてご紹介します。
醸造所を立ち上げるにあたり、どうしても譲れなかった設備のひとつが、この木桶でした。現在主流となっているホーローやステンレスタンクと比べると、木桶は管理が難しい面があります。しかし、発酵環境として非常にユニークな可能性を持っていると考えています。
木材の内部には、乳酸菌をはじめとする多様な微生物が棲みつくことができます。時間の経過とともに、いわゆる「蔵付き」と呼ばれる微生物叢が形成され、発酵のプロファイルに影響を与えるようになります。
こうした微生物の共生関係、いわば複雑な生態系のような発酵環境が、これからの酒造りに深みや個性をもたらしてくれるのではないかと感じています。
実際、木桶が使われていた時代の日本酒造りでは、酵母や乳酸菌、その他の常在菌など、多様な微生物が自然と共存する発酵環境が当たり前でした。一方で、現代の発酵工業は、生物工学の進展によって作業性と再現性が重視され、単一の微生物による発酵が基本となっています。それは安全性と高い品質を支える重要な技術である一方で、発酵における“生態系”のような奥行きは、失われつつあるとも言えます。
私たちは、あえてその自然発酵の感覚を再構築し、共生する微生物たちが織りなす複雑な発酵環境を取り戻すことに挑戦しています。木桶は、その入り口であり、蔵という空間ごとの発酵を制御するという考え方の象徴でもあります。

この木桶の制作と搬入を手がけてくださったのは、青島桶店の青島様です。継ぎ目の見えない、精緻なつくりからは、職人の技と伝統の力を感じました。
初仕込みでは、まだ木の香りが酒に移る段階にあると思いますが、時間とともに桶に棲みついた微生物たちが、発酵の表情に奥行きを与えてくれるはずです。
どのような微生物が棲みつき、どのような発酵が立ち上がるのか。この木桶を通じて、空間としての発酵環境そのものを育てていくプロセスを、今後も丁寧に記録し、発信していきます。
引き続き、ご注目いただけますと嬉しいです。



