
みなさま、こんにちは。Cultiva代表の副田大介(そえだ だいすけ)です。
本日の画像は、私のルーツでもある「大麦」の圃場です。なぜ大麦なのか。それは今回のテーマである「タンパク質」に注目するきっかけとなった原料だからです。
ということで今回は、私が原料成分の中でも特に重要視している「タンパク質」についてお話しします。
製造プロセスの各段階において、さまざまな分析を行っています。
私が原料のタンパク質に注目するようになったきっかけは、麦焼酎メーカーの研究職時代に遡ります。当時は大麦のタンパク量と酒質の関係を詳しく調べており、タンパク含量の異なる様々な大麦から麦焼酎を仕込み、その香りや味を官能評価や機器分析で比較していました。すると、成分値のわずかな違いでも、酒質が大きく変わることに驚かされました。
焼酎は蒸留酒のため、タンパク質が分解されてできるアミノ酸は、香気成分の一部を除いて製品にはほとんど残りません。それにもかかわらず、原料のタンパク量を変えることで香りや味が変化した事実は、研究者として大きな刺激になりました。
そして、この視点は同じく麹を使う清酒やどぶろくにも活かせると確信しています。なぜなら、これらの醸造酒では、アミノ酸やペプチドがそのままお酒の中に残るため、タンパク質由来の香味が直接的に反映されるからです。アミノ酸の影響が少ない焼酎ですら変化があったことを踏まえると、タンパク質を軸とした酒質設計によって、米の個性を活かしたどぶろくがどのような香り・味を見せるのか、私自身とても楽しみです。
酒類のアミノ酸総量の比較
そもそも清酒は、ビールやワインなど他の醸造酒に比べてアミノ酸量が多いお酒です。これは麹を用いた「並行複発酵」という世界的にも珍しい発酵形式の特徴で、麹の酵素が米のタンパク質をアミノ酸やペプチドに分解し、独特の香味を生み出します。いわば、タンパク質由来の分解物は清酒のアイデンティティとも言える要素です。
従来、清酒造りでは、低タンパクな酒造好適米を高度に磨き、アミノ酸量の少ないお酒を造るのがセオリーとされてきました。しかし原料研究者として私は、タンパク質にこそ原料特性が最も現れると考えています。だからこそ、それを活かした醸造で、アミノ酸やペプチドを米の個性として存分に引き出したいと思っています。万人に飲みやすいお酒も大事ですが、一人ひとりが「この米のお酒が好きだ」と思える出会いを提供できるような仕組みを整えていきたいと考えています。
次回は、このタンパク質を実際の分析結果とともにご紹介します。引き続き、Cultivaの挑戦を応援していただけますと嬉しいです。




