
みなさま、こんにちは。Cultiva代表の副田大介(そえだ だいすけ)です。
8/17の投稿では、米の品種による「タンパク量の違い」についてご紹介しました。全体のタンパク量は、山田錦が6.4%(乾物基準)、ヒノヒカリが8.0%(乾物基準)という結果で、米の品種によってタンパク量が異なること、さらに精米歩合によっても変動するため、「精米後のタンパク量」を知ることが仕込みに与える影響を評価する上で重要であることをお伝えしました。
今回はさらに深掘りし、「タンパク質の組成」に注目した依頼分析の結果をご紹介します。
米のタンパク質は、その溶解性の違いから4種類に分類されます。
アルブミン(純水可溶性)
グロブリン(食塩水可溶性)
プロラミン(アルコール可溶性)
グルテリン(アルカリ可溶性)
参考までに、小麦にも似た分類があります。小麦では、グリアジン(米のプロラミンに相当)とグルテニン(米のグルテリンに相当)が主成分で、これらが水と混ざり合うことで「グルテン」を形成します。グルテンは粘弾性をもち、パンや麺、天ぷら、ケーキなど、私たちの食生活に欠かせない食品に加工されます。
一方、米はグルテンを形成することはありませんが、小麦と同じくプロラミンやグルテリンの存在が、仕込みや酒質に大きく影響します。これらのタンパク質は米粒の中で「プロテインボディ」という構造をつくって蓄積されています。
プロテインボディI(PBI):主にプロラミンから成り、水をはじき吸水を妨げる性質を持つ。難消化性で酒粕へ移行する。
プロテインボディII(PBII):主にグルテリンとグロブリンから成り、麹のタンパク質分解酵素で分解されやすい。易消化性で酒の味に直結する。
PBIが多いと米の吸水速度は遅くなり、水を吸いにくくなります。低精白米で吸水に時間をかけるのは、PBIが吸水を阻害するためであり、長時間の浸漬が必要になるのです。清酒では搾った後に酒粕として除去されますが、Cultivaのどぶろくは搾らずに瓶詰めするため、このPBIも含めて口にすることになります。結果として、テクスチャーの違いを感じられる可能性があります。
一方でPBIIは、酵素により分解されてペプチド(アミノ酸が連なったもの)やアミノ酸となり、もろみに溶け込みます。そのためPBIIは酒の味を決める主要因のひとつと考えられます。

それでは、今回の分析結果です。山田錦(精米歩合90%)のタンパク質組成は以下のようになりました。
グルテリンα(37–39kD):27.6%
グルテリンβ(22–23kD):19.4%
グロブリン(26kD):7.8%
プロラミン(16kD):7.5%
プロラミン(13kD):13.8%
前駆体タンパク質(39kD以上):23.9%
前駆体を除いた場合、PBIIに相当するグルテリン+グロブリンが約72%、PBIに相当するプロラミンが約28%という結果になりました。米は易消化性であるPBIIのタンパク質が多いことが分かります。ヒノヒカリとの比較は、今回のリターン品(解説PDF)で詳しくご紹介したいと思います。
以上まとめると、米の「タンパク質の量」だけでなく「組成」にも着目する必要があり、それが発酵中の米の溶解性や生成されるアミノ酸のバランスを左右すると言われています。これはCultivaが追求する「酒米テロワール」を理解する上で欠かせない視点です。
クラウドファンディングも残り2日を切りました。米の違いを酒の違いとして表現する「酒米テロワール」をかたちにしていけるよう、最後まで全力で取り組みます。まだご支援を検討中の方は、この機会にぜひ応援いただけますと嬉しいです。




