クラウドファンディングを通じてご支援いただいた皆様、本当にありがとうございます!ここから『新版 ボードゲーム教育概論』発行まで、書籍制作担当(松本)から進捗報告をときどきアップしていきます。この進捗報告が、支援者の皆様に書籍が届くまでの楽しみを少しでも深めていただければ幸いです。制作はついにブラッシュアップ段階へまず、現在の書籍全体の進捗状況ですが、全180ページ中95%に当たる170ページ分のデザイン初校がすでに完了し、現在、協会メンバー総出で集中的な校正作業に入っています。残り10ページについても原稿は完成しており、最終的な調整フェーズにあります。本書は、1ページあたりの情報量が非常に多いため、誤字脱字のチェックはもちろんのこと、文章の一つ一つの内容について、校正を通じた最後のブラッシュアップに最も時間を費やしています。皆様に最高のクオリティでお届けするため、この重要な工程に注力しています。過去のボードゲーム教育概論I・IIから共通したコンテンツである「ゲーム作品の学びの要素分析」のページでは、概論I・IIで紹介した33作品に、新たな51作品を加え、全84作品を紹介しています。まず掲載ゲームを決めるのに議論し、決めたら1作ごとに叩き台の文章を作り、叩き台の文章を担当者が一度整理し、整理した文章をみんなで議論して修正し、修正した文章を編集担当が調整する…と、気の遠くなる工程を経て、やっとデザインされたページの初校が完成します。ここからさらに、改善を重ね、再校、3校と作って本にまとめる予定です。言語化された「ファシリテーター」の役割また本書は、ゲーム分析以外の理論や実践を語る読み物が合計40ページ以上存在します。ここで今回は、第1章の後半で詳細に整理した「ボードゲーム教育を実践する際のファシリテーターの考え方と姿勢」の内容をプッシュさせてください。これまでボードゲーム教育の実践者の方達は、自身について「ファシリテーター」という言葉を自然と使っていました。なぜ「ティーチャー」でも「チューター」でもないのか。その理由を聞いても「うーん、やっぱり教えるって感じではないよね」といった答えばかりで、その役割の根拠は明確に言語化されていませんでした。しかし今作では、これまでの制作で実践者の方々から何十時間もヒアリングしてきた深いインサイトを整理し、その役割を徹底的に紹介します。ボードゲーム教育における大人の役割は、何かを「教える」ことではなく、ボードゲーム自身が持つ力を最大限に引き出すこと。そして、子どもたちがゲームという環境を通じて、自力で「気づいていく」体験を重視するからこそ、「教える」行為には慎重になり、いかに本人の力で伸びていくかに重きを置いていることを本書で明確に示します。特に今回の記事では、ボードゲームという「遊び」が持つ構造から「なぜ教えるではなく、促進するなのか」「何を促進するのか」を整理し、ファシリテーターの役割を8つの類型としてまとめ上げました。マジックサークルを強固にボードゲーム教育におけるファシリテーターの役割の8類型の中で、もっとも基礎的であり、かつ象徴的とも言える役割が、「マジックサークルを強固にすること」です。平たく言えば、「いかに子どもたちをボードゲームのプレイに没頭させるか」という役割です。たとえば、日常の関係性(友達の強引さなど)をゲームの世界に持ち込ませないように、ファシリテーターが積極的にケアし、工夫を凝らします。このケアによって、ゲームを壊す要因を防ぎ、その結果として、ゲームの中での競争や対立が現実の関係に影響が出ないようになり、子どもたちの心理的安全を守りながら、深い没入状態と深い学びの状態を作り出すのです。このように、新版では、具体的な「実践のコツ」と、その背後にある「教育理論」をこれまで以上に深く、そして丁寧に繋げています。「楽しむ」心のパワーこれまでの制作作業を通して、改めて強く感じているのは、「楽しい」という気持ちがいかに人を育てるか、そのパワーです。私たちが制作に情熱を注いでいるのは、この「楽しい」という感情の持つ力を信じ、それを最大限に活用しようと、多くの方々を動機づける本にしたいと考えているからです。(そしてこの制作作業自体が楽しくもあります)引き続き、皆様のお手元に最高の形で書籍をお届けできるよう、制作チーム一同、ブラッシュアップに励んでまいります。





