
昨日までに4人のボランティアのインタビュー記事を公開してきました。
そして今日から2日間は寺子屋みなてらすに通う生徒のインタビューをお送りします。
今回インタビューさせていただいたのは、中3から高3の大学受験まで3年半教室に通ったAくん。
「以前は『勉強のやり方』さえわからなかった」と語る彼ですが、この春からは文学部の史学科に進みます。
なぜ、勉強を強制されないこの場所で、学習習慣を身につけ、受験を乗り越えることができたのか。 塾とも学校とも違う、ボランティアの大人たちとの関係性が支えた、彼の成長と寺子屋の魅力について伺いました。
毎週通うことで自分にあう学び方をみつけることができた
渡邊: まずは、3年半ほど「寺子屋みなてらす」に通ってみて、良かったなと思うところを教えてもらえますか?
Aくん: 通ってよかったのは、毎週土曜日に必ず勉強する時間が設けられることです。それまでは受動的に勉強するという意識があまりなくて、最低限の課題だけをやる感じだったんですが、ここに入って学校以外の時間で勉強する時間が作れました。
渡邊: それまでは家での学習習慣がなかなか難しかった?
Aくん: そうですね。やる気が起きなかったというのもあるし、一番は「勉強のやり方が自分じゃわからない」というのがありました。ネットで調べても、その人に合う勉強法って違うと思うので、やってみても「なんか違うな」となって長続きしなかったんです。 でも、みなてらすではマンツーマンで、しかも毎回違う大人の人が教えてくれる。違うスタイルの勉強の仕方をいろいろ経験できて、そこから自分に合う学び方を見つけることができました。
渡邊: なるほど。Aくんは高校受験と大学受験、どちらもここで経験しましたよね。それぞれどうでしたか?
Aくん: 高校受験では、苦手だった英語を助けてもらいました。受験で出てくる問題の解き方の配分というか、「先に問題を確認してから文章を読む」といったテクニックを教えてもらったりして。自分には思いつかないようなことだったので助かりました。
渡邊: 学校では意外とそういうテクニックまで教えてくれなかったりするもんね。大学受験はどうでした?
Aくん: 大学受験は総合型選抜だったので、面接の対策を手伝ってもらいました。僕は人見知りで、初対面の人と話すのが緊張しちゃうタイプなんです。面接官がどんな人かもわからないので、とにかくみなてらすのいろんな大人の人に面接練習の相手をしてもらいました。
塾とは違う、親や先生ではない「斜めの関係」
渡邊: 3年半、途中でやめずに通い続けられた理由は何かあったのかな?
Aくん: 高2くらいからは自習スタイルになったんですけど、休憩時間にボランティアの大人の人と雑談するのが結構楽しかったんです。 地域の大人の人たちがボランティアで来ているので、本当にいろんな経験をしている人がいて。そういう人たちの話を聞くだけでも面白くて、それがモチベーションになっていた部分はあります。
渡邊: 何か印象に残っているエピソードはある?
Aくん: ちょっと前なんですが、海外出張に行ったことがあるボランティアさんが、パソコンで現地の写真を見せてくれたんです。テレビとかじゃなくて、身近な人が実際に現地へ行った感想を聞けたので、それはすごくいい経験だったなと思っています。
渡邊: 塾とは少し違う雰囲気だよね。Aくんから見て、ここはどんな場所だと感じていましたか?
Aくん: 塾は「勉強する場」としてきっちりルールが敷かれていると思うんですけど、みなてらすは、親や先生以外の人と交流して「社会経験」や「社会性」を学ぶ場所だなと感じていました。 それに、勉強を全くやらないと怒られますけど、教師や塾の先生みたいに怒るというよりは、「やる時はちゃんとやろうね」みたいな感じなんです。勉強が苦手な子からしたら、怒られて周りの目が気まずくなることもないし、優しく受け止めてくれる場所だと思います。
強制ではない、ボランティアさんとの「約束」
渡邊: 「無理しなくていいんだよ」と受け止めてもらえる場所でありながら、それでもAくんにとって勉強の習慣がついたのはなぜだと思いますか?
Aくん: 入ったばかりの頃、連絡帳みたいなものがあって、そこでボランティアさんと「来週までにこれをやる」という宿題の約束をしたんです。それを守るために家でやってくる……という経験が、自分で勉強するきっかけになりました。
渡邊: ああ、なるほど。それはすごく重要な話かもしれない。
Aくん: 学校や塾で「やれ」と強制されるよりも、仲のいいボランティアさんとの「約束」だからできたと思うんです。いろんな話をしてくれる楽しい人たちとの約束だから、「守ろう」という気持ちになったんだと思います。
渡邊: 強制じゃなくて、関係性があったから頑張れたんだね。
Aくん: 結局、勉強って誰かに強制されてやるんじゃなくて、自分でやろうって思うことが大事だと思うんです。 寺子屋はあくまで、「自分で勉強しよう」と思うための足がかり的な存在になればいいのかなって。僕の場合は、「約束を守ろう」と思って課題を始めたところから、だんだん自分で勉強するようになったので。
渡邊: 寺子屋が「自分でやろう」と思える足がかりになったというのは、運営側としてもすごく嬉しい言葉です。4月からは大学生として、好きな歴史の勉強を深めていってください。今日はありがとうございました。
Aくん: ありがとうございました。またボランティア側でも参加したいです。




