
【残り50日 25%達成 支援者53名 支援総額1,272,250円】
今回のプロジェクトは、総額2億円かけて、町野町の地場スーパー「もとやスーパー」を、宿泊施設のついたスーパーマーケット「MOTOYA Base」に改築するというもの。数ある資金調達の方法の中からなぜクラウドファンディングに挑戦することになったのか。「奥能登の復興」の先にある目的は何なのか。プロジェクトオーナーの本谷一知さんに聞きました。
ーークラウドファンディングをやろうと決断した背景には何があったのでしょうか?
東北に視察に行ったことが本当に大きかったんです。東日本大震災からの復興がうまくいった事例と言われているある自治体では、原発が立地していて国から直接お金を持ってこられる構造がありました。他方で、別の自治体の事例では、確かに道路は綺麗になっていたし、道の駅なども建っていたんですが、何か違うと感じました。
ーー「何か違う」というのは何が違ったのでしょうか?
血が通っている感じがしませんでした。国の資金が直接流れ込んでくる自治体の復興は充実し、そうではない自治体の復興は苦戦する。この現実を見た時に、民間企業が主導する復興革命が必要だと思い、そのためにクラウドファンディングで資金を集めようという発想になったんです。
災害復興の王道のやり方は、町野町にあるまちづくり協議会が市に陳情して、それが県に行って、県から国に上がって、国のお金が降りてくるという流れです。でも、村社会特有のわが身可愛さの前では、そのやり方は難しいものです。
町野町は23地区に分かれています。例えば私だって、町の中心をもとやスーパーから離れたところに持って行くという話になったら反対すると思いますし、誰でも自分の生活に影響が出ると思えば同じように反対すると思います。
まちづくり協議会は関係者の意見を平等に聞いて調整する必要があるため、意見の調整にも時間がかかります。復興にはスピード感も重要です。民間企業は言ってみればトップダウンの組織なのでスピードを出せますし、自社の理念や思想で町づくりもできます。
民間が主導して、スピード感を持ちながら復興を進めていくことは、非常に意義があります。まして奥能登の消えそうな町でやることは特に意義がありますよね。成功したら日本中から注目されるだろうと思っています。でも、注目されたいからやるわけではなく、その先にさらにやりたいことがあるんです。
ーーそれはどんなことですか?
「支援循環型事業」や「限界集落モデル」と名付けた事業です。
これまでに1万人ぐらいのボランティアさんがこの町を助けに来てくれました。家族連れで来てくれた方や楽しそうにボランティアしに来てくれた方も大勢いました。
来てくれた人と実際に話してみると、「助けてあげたい。社会貢献したい。というだけでなく『自分のために来てます』という人が多かったんです。半分以上の人そうだったのは意外でした。
でも、自分のためになるからと来てくれる人がこんなにいるのなら、今回は被災地になった町野町にみなさんが来てくださっていますが、日本の他の地方でも同様のことができるんじゃないかと感じたんです。
日本の地方には課題が色々あります。被災地に限らずそういった地方に外から人が入っていって一緒に課題を解決していくという解決方法もあります。それを私は「支援循環型事業」や「限界集落モデル」と呼んでいて、これから町野町でやろうとしていることをモデルケースにして、地方創生のベンチャー企業のような位置づけで事業化しようとしています。
地方の課題というのは例えば、田んぼをやりたいけど後継者がいなくて人手も足りない、1000人から2000人くらいの規模の集落だとスーパーという生活インフラがないなど、色々とあります。
他方で、その土地土地に必ずいいものがあります。能登半島に特有の文化や人の優しさがあるように。今の時代は、若い人がどんどん都会に出ていって、インターネットで情報もたくさん出てくるので、全国どこへ行っても似たような感じになってきていますが、それぞれの地方の良さを残すことがその地方の強みになります。
だから、今回のプロジェクトで作ろうと思っているMOTOYA Baseを通じて、「人助け+楽しさ」という体験型旅行を確立して、そのノウハウや事業モデルを色々な地域で展開していきたいのです。
ーー町野町の復興はもちろん、その先も見据えていらっしゃるんですね!
そうですね。ただ、この事業が広がっていくためには、ボランティアがもっと評価されるようになる必要があります。
もとやスーパーは既に、個人の方からも、ドンキホーテや、関西の食品スーパー「コノミヤ」といった企業からも支援を受けています。企業が支援してくれたケースもあるのです。でも、企業が支援に携わっていることはなかなか報道されないですよね。特定の企業の宣伝になってしまうからなど、色々な理由はあるのでしょうけど、私は動機がなんであれ困っている人を助けることはいいことだと思うし、それが良いことだと評価されて報道などで取り上げられれば、「報道に乗るなら自分たちも支援しよう」と後に続く企業も出てくるはずです。そうすれば、お金にしろ労働力にしろ、復興や課題の解決に必要なものがもっともっと現地に行き渡っていくと思います。
今はそういうものが十分に評価を得られない環境なので、評価を得られる文化を作るために一石を投じたいという気持ちがあります。日本の国家戦略には色々なものがありますが、支援を国内で循環させることも国家戦略になり得る可能性があると思っています。
お話を聞いた方:本谷一知さん
インタビューと文章:柳田正芳(合同会社6483works)





